犬と猫の消化吸収メカニズム図鑑

CANINE & FELINE DIGESTIVE SYSTEM

犬と猫の
消化吸収メカニズム図鑑

同じ「消化管」という一本の路線を通りながら、犬と猫はところどころで違う線路を走っている ―― そんなイメージで全身の消化・吸収の仕組みをたどり、後半では消化器系の薬がどこに、どう効くのかを解説します。 下の路線図の駅をタップ(クリック)すると、該当する章にジャンプします。

→ 横にスクロールできます

序章 全体像 第2章 口腔・食道 第3章 第4章 膵臓 第5章 肝臓・胆汁 第6章 小腸 第7章 大腸 第8章 種差まとめ
消化管の主経路 膵臓・肝臓からの分泌が合流 ★ = 犬と猫で特に違いが大きい駅

◆ 第2部:消化器系薬理学 ◆

第1部で学んだ生理学を踏まえ、実際に使われる消化器系薬がどの受容体・経路に作用するのかを解説します。

第1部・生理学 | 第1章

序章:犬と猫の消化器系全体像と、この本の読み方

なぜ「路線図」で考えるのか

犬と猫はどちらも食肉目(Carnivora)に属し、消化管の基本設計は共通しています。口腔から食道・胃・小腸・大腸へと続く一本の管があり、そこに膵臓と肝臓が消化液を送り込む――この構造そのものは犬も猫も同じです。ただし、猫は野生の祖先からほぼ姿を変えていない「絶対的肉食動物(obligate carnivore)」としての性質を色濃く残しているのに対し、犬は肉食動物でありながら人間の農耕社会と共に暮らす中で炭水化物への適応度をある程度高めてきました。本書では、この共通の一本道を路線図に見立て、駅(器官)ごとに生理学を確認しながら、犬と猫の線路がわずかに分岐するポイント(★駅)を重点的に見ていきます。

消化管の基本設計

肉食動物の消化管は、草食動物に比べて全体に短く、単純な構造をしています。動物性タンパク質・脂質は植物の細胞壁(セルロース)のような分解しにくい成分を含まないため、大がかりな発酵タンクとしての盲腸・結腸を持つ必要が薄いためです。猫は犬よりもさらに消化管が短い傾向にあり、これは猫がより純粋な動物性食に特化していることの表れと考えられています。

胃内容物の滞留時間や口から肛門までの通過時間は、食事の内容(水分量・脂肪量・粒子の大きさ)や個体差によって大きく変動しますが、一般に胃はおおむね数時間、消化管全体の通過にはおよそ半日から1日前後を要するとされています。これはあくまで目安であり、後述するように胃や腸の運動機能そのものに犬猫差があるわけではなく、主に食事内容と個体差が大きく影響します。

猫 ―「絶対的肉食動物」という原則

猫の消化・代謝システムは、動物性タンパク質を主要なエネルギー源とすることを前提に最適化されています。これは単なる「好み」ではなく、生理学的な必然です。本書の各章で繰り返し登場する猫の特徴を、ここで先に一覧にしておきます。

  • 唾液にも膵液にも、デンプン消化酵素(アミラーゼ)の活性が犬に比べて低く、炭水化物の消化・利用能力に限りがある(第2章・第4章)
  • 必須アミノ酸タウリンを体内で合成する能力が低く、食事からの摂取にほぼ全面的に依存する(第5章)
  • 胆汁酸の抱合が原則としてタウリン抱合のみに限られる(グリシン抱合ができない)(第5章)
  • 必須脂肪酸アラキドン酸を、リノール酸から自ら十分に合成できず食事から直接摂取する必要がある(第6章)
  • 尿素回路を正常に働かせるために、食事ごとに一定量のアルギニンを必要とする(不足すると急性の高アンモニア血症を起こしうる)

これらはいずれも「猫は小さな犬ではない」という、獣医学でよく語られる原則を裏づける具体例です。

犬 ― 適応力の高い肉食動物

犬は猫よりも雑食的な要素を取り込む余地が大きく、膵臓由来のアミラーゼ活性も猫よりかなり高い傾向にあります。興味深いことに、犬のゲノムには膵アミラーゼ遺伝子(AMY2B)のコピー数がオオカミよりも増えている系統が多いことが知られており、人と共に農耕社会で暮らす中でデンプンを多く含む食事に適応してきた進化の痕跡だと考えられています。とはいえ犬もあくまで肉食動物であり、良質な動物性タンパク質を基盤とした食事が基本であることに変わりはありません。

表1-1. 犬と猫の消化器系:ざっくり比較
項目
食性の分類肉食動物(適応力がやや高い)絶対的肉食動物
唾液アミラーゼなしなし
膵アミラーゼ活性比較的高い低め
空腹時の胃内pHの目安強酸性強酸性
消化管の長さの傾向やや長いより短い
タウリン合成能比較的保たれる低く、食事依存が高い

★ 本書の読み方

路線図やページ中の★マークは「犬と猫で特に差が大きいポイント」の目印です。まずは表紙の路線図から気になる駅(章)へ飛んでみてください。サイドバーの検索窓から気になるキーワード(例:「タウリン」「プロトンポンプ」)を探すこともできます。

なお本書はあくまで生理学・薬理学の教育的な参考情報であり、実際の診断・処方は必ず獣医師にご相談ください。

第1部・生理学 | 第2章

口腔と食道最初の駅 ― 消化はまだ始まらない

歯と摂食行動:「噛む」より「切って呑む」

犬・猫の歯列は、獲物の肉を切り裂くための裂肉歯(れつにくし)を中心に発達しており、人の臼歯のようにすりつぶすことには不向きです。実際、多くの犬・猫はドライフードやある程度の大きさの肉塊を、あまり咀嚼せずに丸呑みに近い形で嚥下する傾向があります。つまり口腔での「機械的消化」は限定的で、消化の主役はこの先の胃・小腸に委ねられています。

唾液の役割:実は消化酵素をほとんど含まない

耳下腺・下顎腺・舌下腺・頬骨腺という4対の唾液腺から分泌される唾液は、食塊を湿らせて滑りをよくし、安全に飲み込めるようにすることが主な役割です。ヒトの唾液に含まれるアミラーゼ(デンプン分解酵素)は、犬にも猫にもほとんど存在しません。「よく噛んで唾液と混ぜればデンプンの消化が始まる」というヒトの常識は、犬にも猫にもそのまま当てはまらない点に注意が必要です。唾液にはこのほか、リゾチームや免疫グロブリンA(IgA)などの抗菌・防御成分も含まれています。

嚥下反射

嚥下は、意識的に食塊を咽頭へ送り込む口腔期と、その後は反射的に進む咽頭期・食道期に分かれます。延髄の嚥下中枢が、軟口蓋の挙上・喉頭蓋による気道の閉鎖・食道上部括約筋の弛緩といった一連の動きを協調させ、食塊が気管に入らないよう安全に食道へ送り込みます。

食道の筋肉構成 ― 犬と猫が分岐する駅

嚥下によって始まる一次蠕動と、食道内に残った内容物を感知して起こる二次蠕動により、食塊は食道を通って胃へと運ばれます。ここで、犬と猫の間に解剖学的にはっきりした違いがあります。

★ 種差ポイント:骨格筋か、平滑筋か

の食道は、咽頭から胃の噴門部まで、ほぼ全長にわたって骨格筋(随意筋)で構成されているという、哺乳類の中でもやや珍しいタイプです。これにより蠕動が強力かつ協調的に働き、後述する能動的な嘔吐(第10章)の際にも食道が力強い排出路として機能します。

は多くの哺乳類と同様に、食道の遠位側で骨格筋から平滑筋(不随意筋)へと移行します。おおまかには近位2/3が骨格筋、遠位1/3が平滑筋という構成で、この移行部はレントゲン検査で横走する特徴的な"herringbone(ヘリンボーン)"様の模様として観察されることがあります。

→ 横にスクロールできます

骨格筋(随意筋)― 全長 骨格筋(近位2/3) 平滑筋 移行部(ヘリンボーン様所見) 咽頭側 胃側
図2-1. 食道の筋肉構成の違い。犬は全長が骨格筋、猫は遠位1/3が平滑筋に移行する。

下部食道括約筋(LES)

食道と胃の境界にある下部食道括約筋は、常に一定の緊張(筋緊張)を保つことで胃内容物の逆流を防いでいます。嚥下時には一時的に弛緩して食塊を胃へ通過させ、それ以外の時間は閉じた状態を保ちます。この機能がうまく働かない、あるいは食道の蠕動そのものが障害されると、犬でしばしば見られる巨大食道症(メガエソファガス)のような病態につながることがあります。

第1部・生理学 | 第3章

胃における消化強酸のタンク ― 壁細胞というスイッチ

胃の区分と役割

胃は噴門部・胃底部・胃体部・幽門部に区分されます。犬・猫の胃は容量に対する伸展性が高く、一度にまとまった量を食べて後の時間で消化するという、野生下での「捕食の機会は不定期」という生活に合わせた貯蔵タンクとしての役割を持ちます。ここで食塊は強酸性の胃液と混和され、タンパク質分解の第一段階が始まります。

胃酸分泌の仕組み ― 壁細胞というスイッチ

胃酸(塩酸, HCl)を分泌するのは、胃底腺に存在する壁細胞です。壁細胞の管腔側(内腔側)の膜には、H⁺/K⁺ ATPase(プロトンポンプ)と呼ばれる輸送体があり、これが細胞内の水素イオン(H⁺)をエネルギーを使って胃内腔へ汲み出し、代わりにカリウムイオン(K⁺)を取り込みます。汲み出されたH⁺は塩化物イオン(Cl⁻)と結びついて塩酸(HCl)となり、胃内腔はpH1〜2という強酸性に保たれます。

このプロトンポンプの働きは、壁細胞の基底膜(血液側)にある3種類の受容体からの刺激によって高まります。

  • M3受容体:迷走神経終末から放出されるアセチルコリンが結合(食事を見る・匂いを嗅ぐといった脳相の刺激や、胃の伸展刺激で活性化)
  • CCK2受容体(ガストリン受容体):幽門洞のG細胞が分泌するガストリンが結合(胃内のペプチド・アミノ酸によって刺激)
  • H2受容体:胃底腺近くのECL細胞(腸クロム親和性様細胞)が傍分泌的に放出するヒスタミンが結合

この3つの経路は互いに補強し合いながら、最終的にすべてH⁺/K⁺ ATPaseの活性を高める方向に収束します。特にヒスタミン‐H2経路は、他の2経路の効果を増幅させるハブのような役割を果たしていると考えられています。この収束構造こそが、次のパートで解説する制酸薬(H2拮抗薬・プロトンポンプ阻害薬)がどこを狙って作用するかを理解する鍵になります。

→ 横にスクロールできます

胃内腔(pH 1〜2, HCl) 壁細胞 (Parietal cell) H⁺/K⁺ ATPase H⁺ K⁺ 迷走神経 (アセチルコリン) M3受容体 ガストリン (G細胞・幽門洞) CCK2受容体 ヒスタミン (ECL細胞・傍分泌) H2受容体 細胞内シグナル増幅 (cAMP・Ca²⁺ ↑)
図3-1. 壁細胞における胃酸分泌の3経路。いずれもH⁺/K⁺ ATPase(プロトンポンプ)の活性化に収束する。第11章の制酸薬の作用点はこの図の中にあります。

ペプシンによるタンパク質消化の開始

胃底腺の主細胞は、不活性型のペプシノーゲンを分泌します。ペプシノーゲンは胃内の強酸性環境にさらされることで自己触媒的に活性型のペプシンに変換され、タンパク質を大まかなペプチド断片に分解し始めます。ペプシンは酸性環境でのみ働く酵素であり、この点でも胃酸分泌の意義が大きいことがわかります。

胃の運動:貯留・攪拌・排出

食塊が入ると胃底部は反射的に弛緩して内圧の上昇を抑えつつ大量の内容物を受け入れます(受容性弛緩)。胃体部・幽門部では強い攪拌運動が起こり、内容物は胃液と混和されながら少しずつ小さな粒子(粥状液, カイム)へと砕かれていきます。幽門括約筋は門番のように働き、十分に小さくなった内容物だけを少量ずつ十二指腸へ送り出します。脂肪の多い食事は、小腸から分泌されるコレシストキニン(CCK)を介したフィードバックによって胃の運動と排出速度を抑制するため、胃内滞留時間が長くなる傾向があります。

内因子(Intrinsic Factor)

★ 種差ポイント:内因子はどこから来るか

ヒトではビタミンB12(コバラミン)の吸収に必要な内因子は主に胃の壁細胞から分泌されますが、犬と猫では事情が異なります。犬と猫における内因子の主要な供給源は胃ではなく膵臓です(特に猫ではほぼ膵臓由来に限られるとされます)。そのため、慢性膵炎や膵外分泌不全(EPI)を起こすと、胃自体に問題がなくてもビタミンB12欠乏に陥りやすくなります。この点は第4章・第6章・第13章でも改めて取り上げます。

第1部・生理学 | 第4章

膵臓の外分泌機能枝分かれの駅 ― 消化酵素の本社工場

膵臓の二つの顔

膵臓には血糖調節を担う内分泌部(ランゲルハンス島、インスリン・グルカゴンなど)と、消化を担う外分泌部があります。本章で扱うのは外分泌部、つまり腺房細胞と導管細胞が作る「消化液の工場」としての膵臓です。

腺房細胞と消化酵素

膵臓の腺房細胞は、三大栄養素すべてに対応する消化酵素を作っています。

  • タンパク質分解酵素:トリプシノーゲン、キモトリプシノーゲン、プロカルボキシペプチダーゼ、プロエラスターゼなど ― いずれも不活性な前駆体(チモーゲン)として分泌される
  • 脂肪分解酵素:膵リパーゼ(これ自体は活性型のまま分泌される)と、その働きを助ける補因子プロコリパーゼ
  • デンプン分解酵素:膵アミラーゼ(こちらも活性型のまま分泌される)

興味深いのは、タンパク質分解酵素だけが軒並み「前駆体」として分泌される点です。これは、活性型のまま分泌してしまうと膵臓自身のタンパク質を消化してしまう(自己消化)危険があるためで、膵炎はまさにこの安全装置が膵臓内で誤って作動してしまう病態と考えられています。

活性化のカスケード

不活性なトリプシノーゲンは、十二指腸の腸管ブラシ縁に存在するエンテロキナーゼ(エンテロペプチダーゼ)によって初めて活性型のトリプシンに変換されます。ここが全体のスイッチです。生まれたトリプシンは、そこから先は自分自身の力でさらにトリプシノーゲンを次々と活性化する(自己触媒)と同時に、キモトリプシノーゲン・プロカルボキシペプチダーゼ・プロエラスターゼ・プロコリパーゼといった他の前駆体も次々に活性化していきます。つまりトリプシンは、膵消化酵素カスケード全体の「起爆装置」です。

→ 横にスクロールできます

トリプシノーゲン(不活性) エンテロキナーゼ (腸管ブラシ縁) 自己触媒的に 増幅 トリプシン (活性型・起爆装置) キモトリプシノーゲン → キモトリプシン プロカルボキシ ペプチダーゼ → カルボキシペプチダーゼ プロエラスターゼ → エラスターゼ プロコリパーゼ → コリパーゼ 活性化された酵素群が、十二指腸内でタンパク質・脂質の分解を一気に進める
図4-1. 膵消化酵素の活性化カスケード。エンテロキナーゼが引いた最初の引き金を、トリプシンが増幅・拡散させる。

膵リパーゼは最初から活性型で分泌されますが、脂肪滴の表面で働くには補因子コリパーゼが必要です。コリパーゼも本来はプロコリパーゼという前駆体型で分泌され、トリプシンによって活性化されて初めてリパーゼをしっかり脂肪滴に留めることができます(胆汁酸だけだとリパーゼが脂肪滴表面から追い出されてしまうため、コリパーゼがいわば「アンカー」の役目を果たします)。

膵液の重炭酸 ― 酸を中和する

膵臓の導管細胞は、酵素とは別に重炭酸イオン(HCO₃⁻)を豊富に含む水様の液を分泌します。これは胃から送られてくる強酸性の内容物を中和し、十二指腸粘膜を酸から守るとともに、膵消化酵素が最も効率よく働けるpH環境を作り出す役割を担っています。

ホルモンによる調節

十二指腸粘膜のS細胞は、酸性の内容物が届くとセクレチンを分泌し、これが導管細胞を刺激して重炭酸に富む膵液の分泌を促します。一方、脂肪やタンパク質の分解産物が届くとI細胞がコレシストキニン(CCK)を分泌し、これが腺房細胞を刺激して消化酵素に富む膵液の分泌を促すと同時に、次章で扱う胆嚢の収縮も引き起こします。セクレチンとCCKは、いわば「酸には重炭酸で、脂肪・タンパク質には酵素で」という具合に、内容物の性質に応じて膵臓の仕事を切り替える司令塔です。

★ 種差ポイント:猫の膵アミラーゼは控えめ

第1章で触れたとおり、猫は膵アミラーゼの活性が犬に比べて低く、デンプンの消化能力に限りがあります。また、犬・猫では慢性膵炎から膵外分泌不全(EPI)に至ることがあり、その場合は脂肪・タンパク質・炭水化物のいずれも消化できず未消化のまま大腸に達するため、多量の軟便・下痢や体重減少が起こります。EPIの治療(酵素補充療法)は第13章で扱います。

第1部・生理学 | 第5章

肝臓と胆汁枝分かれの駅 ― 脂肪のための「せっけん」工場

肝臓が作る「脂肪の洗剤」― 胆汁酸

肝細胞はコレステロールを材料に、コール酸やケノデオキシコール酸といった一次胆汁酸を合成します(律速酵素はCYP7A1と呼ばれる酵素です)。胆汁酸は水になじむ部分と脂になじむ部分を併せ持つ両親媒性の分子で、脂肪の粒を細かい油滴(ミセル)に乳化する、いわば「天然の洗剤」として働きます。この乳化によって、水溶性である膵リパーゼが脂肪の表面に効率よくアクセスできるようになります。

抱合 ― 犬と猫が分かれる駅

胆汁酸はそのままでは働きにくいため、分泌前にアミノ酸と結合(抱合)されて水への溶けやすさを高めます。この抱合に使われるアミノ酸の選択に、犬と猫のはっきりした違いがあります。

★ 種差ポイント:タウリン抱合しか使えない猫

犬はグリシン抱合とタウリン抱合の両方を状況に応じて使い分けることができます。一方、猫は原則としてタウリン抱合のみに限られており、グリシン抱合を行う能力がほとんどありません。さらに猫は腸内でタウリンを再利用する効率も犬より低いとされ、糞便中への胆汁酸(タウリン)喪失が起こりやすい体質です。

猫はもともと体内でのタウリン合成能力自体も低いため、この「タウリン抱合しか使えない」という胆汁酸代謝の特徴と合わさって、食事からの継続的なタウリン摂取が欠かせません。タウリン欠乏は拡張型心筋症や中心性網膜変性を引き起こすことが知られる、猫の栄養学における代表的な注意点です。

胆汁の貯蔵と放出:胆嚢とCCK

肝臓で作られた胆汁は、食間は胆嚢に貯えられ、水分が吸収されて濃縮されます。食事によって脂肪やタンパク質が十二指腸に届くと、前章で登場したコレシストキニン(CCK)が分泌され、胆嚢を収縮させると同時にオッディ括約筋を弛緩させて、濃縮された胆汁を勢いよく十二指腸へ送り込みます。

腸肝循環

十二指腸で仕事を終えた胆汁酸は、そのまま排泄されるわけではありません。小腸を通過する間はミセル形成を続けながら脂肪吸収を助け、回腸の末端に達すると、ASBT(頂端膜ナトリウム依存性胆汁酸トランスポーター)と呼ばれる輸送体によって能動的に再吸収されます。再吸収された胆汁酸は門脈を通ってそのまま肝臓に戻り、再び胆汁として分泌されます。この「肝臓 → 胆嚢 → 腸管 → 回腸で再吸収 → 門脈 → 肝臓」というリサイクルの輪を腸肝循環と呼び、体内の胆汁酸の大部分がこのサイクルの中で繰り返し再利用されています。

→ 横にスクロールできます

① 肝臓 胆汁酸を合成 ② 胆嚢 貯蔵・濃縮 ③ 十二指腸〜小腸 脂肪をミセル化 ④ 回腸末端 ASBTで再吸収 胆汁として分泌 CCKにより 収縮・放出 小腸を通過しながら脂肪吸収を助ける 門脈を通って 肝臓へ戻る 胆汁酸の大部分は このサイクルで再利用される
図5-1. 胆汁酸の腸肝循環。①〜④を繰り返しながら胆汁酸は効率よくリサイクルされる。猫はこのサイクルからのタウリン喪失が相対的に多いと考えられている。

肝臓のそのほかの役割(参考)

肝臓は胆汁の生成以外にも、栄養素の代謝・貯蔵、薬物や毒素の解毒、血漿タンパクの合成など多岐にわたる役割を担っています。これらは「消化・吸収」というテーマからはやや外れるため本書では深入りしませんが、第15章で扱う薬剤の多くが肝臓で代謝される点は、種差を考えるうえでも重要です。

第1部・生理学 | 第6章

小腸における消化と吸収最大の駅 ― 吸収の本舞台

絨毛と微絨毛 ― 吸収面積を稼ぐ構造

小腸粘膜は輪状ひだ・絨毛・微絨毛という三段構えの構造によって、表面積を劇的に拡大しています。絨毛の表面を覆う吸収上皮細胞(腸細胞)の管腔側の膜には、さらに無数の微絨毛が並び、これが「刷子縁(ブラシ縁)」と呼ばれる構造を作ります。この刷子縁の膜上には、糖質・タンパク質の最終消化を担う酵素と、栄養素を細胞内に取り込む各種の輸送体が密集しています。

糖質の消化と吸収

膵アミラーゼによって腸管内腔である程度分解されたデンプンは、マルトースやα-限界デキストリンといった小さな断片になっています。これらは刷子縁にあるマルターゼ・グルコアミラーゼやスクラーゼ・イソマルターゼによって、最終的にグルコース(ブドウ糖)にまで分解されます。乳汁中の乳糖(ラクトース)はラクターゼによってグルコースとガラクトースに分解されます。

できあがった単糖は、刷子縁膜上のSGLT1(ナトリウム依存性グルコース輸送体)によってナトリウムイオンと共役する形でグルコース・ガラクトースが能動的に取り込まれます(果糖はGLUT5によって取り込まれます)。細胞内に入った単糖は、基底膜側のGLUT2を通って血液(門脈)へと受け渡されます。

タンパク質の消化と吸収

胃のペプシンと膵臓のトリプシン・キモトリプシンなどによってすでに小さなペプチドにまで分解されたタンパク質は、刷子縁のペプチダーゼによってさらに分解されます。ジペプチド・トリペプチドは、水素イオン(H⁺)と共役するPepT1という輸送体によって効率よく細胞内へ取り込まれ、細胞内のペプチダーゼによって最終的にアミノ酸にまで分解されます。遊離アミノ酸は複数の専用輸送体によってそれぞれ取り込まれ、基底膜側から門脈血流へと送り出されます。

脂質の消化と吸収 ― 血液ではなくリンパへ

胆汁酸によって作られたミセルは、脂肪酸とモノグリセリドを刷子縁のすぐそばまで運びます。これらは受動拡散によって腸細胞内に入り、滑面小胞体で中性脂肪(トリグリセリド)に再合成されます。さらにアポタンパクと結合してカイロミクロンという粒子を形成し、開口分泌によって細胞外へ放出されます。ここが糖質・タンパク質と大きく異なる点で、カイロミクロンは血管(門脈)には入らず、絨毛内のリンパ管(乳び管)へと吸収されていきます。

→ 横にスクロールできます

① 糖質 ② タンパク質 ③ 脂質 腸管内腔 グルコース/ガラクトース ジ・トリペプチド 脂肪酸+モノグリセリド(ミセル) 腸細胞(エンテロサイト) SGLT1 PepT1 受動拡散 (果糖はGLUT5) 単糖のまま 細胞内を通過 細胞内ペプチダーゼで アミノ酸に分解 滑面小胞体で中性脂肪に 再合成→カイロミクロン化 GLUT2 アミノ酸輸送体 開口分泌 門脈血流へ (グルコース・ガラクトース・アミノ酸) リンパ管へ (門脈を通らない)
図6-1. 小腸上皮細胞における三大栄養素の吸収経路。糖質・アミノ酸は門脈血流へ、脂質(カイロミクロン)はリンパ管(乳び管)へと、行き先が異なる点に注目。
表6-1. 主な刷子縁酵素・輸送体
分類名称働き
糖質分解酵素マルターゼ・グルコアミラーゼ / スクラーゼ・イソマルターゼマルトース等 → グルコース
糖質分解酵素ラクターゼ乳糖 → グルコース+ガラクトース
タンパク質分解酵素アミノペプチダーゼ等オリゴペプチド → ジ・トリペプチド/アミノ酸
糖質輸送体SGLT1 / GLUT5 / GLUT2単糖の細胞内取り込み・血液への受け渡し
ペプチド輸送体PepT1ジ・トリペプチドの細胞内取り込み

ビタミンB12(コバラミン)の吸収

第3章で触れたとおり、犬・猫における内因子は主に膵臓由来です。食事中のコバラミンはまず内因子と結合し、この複合体が回腸末端に存在するクビリン・アムニオンレスからなる受容体複合体(通称キューバム)によって特異的に吸収されます。したがって、膵外分泌不全や重度の腸疾患で内因子の供給や回腸末端の吸収機能が損なわれると、コバラミン欠乏が起こりやすくなります。特に猫では内因子のほぼ全量が膵臓由来とされ、この経路への依存度が高いと考えられています。

乳糖不耐について

ラクターゼの活性は離乳後に犬でも猫でも大きく低下します。成犬・成猫に牛乳を与えると、分解されなかった乳糖が大腸まで届いて浸透圧性の下痢を起こすことがあるのはこのためです。「動物にミルクは自然」というイメージとは裏腹に、成体の犬猫の多くは乳糖をうまく消化できません。

第1部・生理学 | 第7章

大腸の機能と腸内細菌叢終着駅の手前 ― 水分回収と発酵の場

大腸の主な仕事:水と電解質の回収

小腸でほとんどの栄養素を吸収し終えた内容物は、大腸に入る頃には水分の多い液状に近い状態です。大腸粘膜はここから水とナトリウムなどの電解質を積極的に再吸収し、内容物を徐々に固形の便へと濃縮していきます。大腸は栄養素そのものを吸収する場というより、水分バランスを整える場としての性格が強い器官です。

腸内細菌叢と発酵

大腸には膨大な数の常在細菌が生息し、小腸で消化しきれなかった食物繊維や難消化性デンプン、一部のタンパク質を発酵させています。この発酵によって酢酸・プロピオン酸・酪酸といった短鎖脂肪酸(SCFA)が作られ、特に酪酸は大腸粘膜細胞(結腸細胞)にとって主要なエネルギー源となります。短鎖脂肪酸はまた大腸内をやや酸性に保つことで病原性の細菌が増えにくい環境を作り、粘膜バリアの維持にも寄与していると考えられています。

犬と猫で腸内細菌叢は違うか

絶対的肉食動物である猫と、やや雑食寄りの犬とでは、日常的な食事の組成(タンパク質・脂肪の割合や炭水化物量)が異なるため、それに応じて優勢な腸内細菌の顔ぶれにも違いが生じると考えられています。一般に、より高タンパクな食事はタンパク質を発酵する細菌を、より炭水化物を含む食事は食物繊維を発酵する細菌を、それぞれ相対的に優勢にする傾向があるとされます。ただし個体差・食事内容による変動が大きく、「犬の腸内細菌叢」「猫の腸内細菌叢」として単純に一括りにできるものではない、という点には注意が必要です。

大腸の運動と排便

大腸では、内容物を行きつ戻りつさせながら水分吸収を促す分節運動(ハウストラ収縮)と、内容物を一気に直腸方向へ送る大蠕動(mass movement)が組み合わさって働いています。大蠕動はしばしば食事の摂取によって誘発され(胃‐結腸反射)、直腸に便が達すると排便反射が起こります。

第1部・生理学 | 特別編

三大栄養素の変化の流れ糖質・タンパク質・脂質、それぞれの旅をたどる

この章の狙い

第2章〜第7章では「口腔」「胃」「膵臓」というように器官ごとに生理学を見てきました。この特別編では視点を変え、糖質・タンパク質・脂質という3つの栄養素それぞれについて、口に入ってから吸収されるまでにどのような姿に変化していくのかを、ひとつづきの流れとして追いかけます。同じ器官を通っていても、栄養素によって「そこで何が起こるか」がまったく違う点に注目してください。

→ 横にスクロールできます

口腔 十二指腸 (膵液・胆汁が合流) 小腸刷子縁 吸収 → 到達先 糖質 タンパク質 脂質 デンプン (変化なし) デンプンのまま (酵素なし) マルトース等へ (膵アミラーゼ) グルコース等へ (マルターゼ等) SGLT1/GLUT2 → 門脈血流 タンパク質 (変化なし) ポリペプチドへ (ペプシン+HCl変性) オリゴペプチドへ (トリプシン等カスケード) ジ・トリペプチド/ アミノ酸へ PepT1/輸送体 → 門脈血流 中性脂肪 (変化なし) 粗く乳化 (胃の攪拌) ミセル化+分解 (胆汁酸+膵リパーゼ→脂肪酸等) 受動拡散で 細胞内へ 再合成→ カイロミクロン → リンパ管へ 糖質・アミノ酸は主に門脈から肝臓へ。脂質(カイロミクロン)だけは リンパ管を経由し、門脈を通らずに全身循環へ合流する
図7B-1. 糖質・タンパク質・脂質、それぞれの消化管内での変化の流れの比較。同じ器官でも栄養素ごとに起こっていることが異なる。

糖質(炭水化物)の変化の流れ

デンプンは口腔でも胃でも、実はほとんど姿を変えません。第2章で見たとおり犬・猫の唾液にはアミラーゼが存在せず、そのまま胃を通過します(ちなみにヒトの唾液アミラーゼは胃酸で速やかに失活するため、仮にあったとしても胃の中では長続きしません。犬・猫の場合はそもそも唾液アミラーゼ自体がないため、この点は関係がありません)。本格的な変化が始まるのは十二指腸で、膵アミラーゼによってデンプンがマルトースやα-限界デキストリンといった小さな断片に切り分けられます。そして小腸刷子縁のマルターゼ・グルコアミラーゼ・スクラーゼ・イソマルターゼ・ラクターゼによって、最終的にグルコース・ガラクトース・フルクトースという単糖にまで分解されて初めて吸収されます。吸収された単糖はSGLT1・GLUT5で細胞内に入り、GLUT2を通って門脈血流へ、そして肝臓へと向かいます。

タンパク質の変化の流れ

タンパク質は3つの栄養素の中で唯一、胃の時点ですでに変化が始まっています。塩酸によって高次構造がほどかれ(変性)、主細胞由来のペプシンによって大まかなポリペプチドへと分解されるのです。十二指腸に入ると、第4章で見たトリプシンを起爆剤とする膵消化酵素のカスケードが働き、ポリペプチドはさらに細かいオリゴペプチドへと切り刻まれます。仕上げは小腸刷子縁で、ペプチダーゼによってジペプチド・トリペプチド、そして遊離アミノ酸にまで分解されます。ジ・トリペプチドはPepT1によって、遊離アミノ酸は専用の輸送体によってそれぞれ細胞内に取り込まれ、細胞内でさらにアミノ酸へと分解された上で門脈血流へ、そして肝臓へと送られます。

脂質の変化の流れ

中性脂肪(トリグリセリド)も、口腔・胃の段階では化学的にはほとんど変化しません。胃の攪拌運動によって粗い脂肪滴に砕かれる程度で、本格的な分解はやはり十二指腸から始まります。第5章の胆汁酸がここで脂肪を細かいミセルへと乳化し、第4章の膵リパーゼとその補因子コリパーゼがトリグリセリドをモノグリセリドと遊離脂肪酸に分解します。これらは小腸粘膜細胞に受動拡散で取り込まれ、細胞内の滑面小胞体で再びトリグリセリドへと組み立て直され、アポタンパクと結合してカイロミクロンという粒子になります。ここが糖質・タンパク質と決定的に違う点で、カイロミクロンは開口分泌によって細胞外に出た後、門脈ではなくリンパ管(乳び管)へと吸収されていきます。

3つの流れを比べて見えてくること

3つの栄養素はいずれも、最終的には小腸刷子縁を「共通のゴールライン」として吸収されますが、そこに至るまでの道のりはずいぶん違います。タンパク質だけは胃の時点ですでに分解が始まっている一方、糖質と脂質は十二指腸で膵液・胆汁と合流するまで本格的には動き出しません。そして吸収された後の行き先も、糖質・アミノ酸は門脈を通って直接肝臓に向かうのに対し、脂質(カイロミクロン)だけはリンパ管という別の経路を経て全身循環に合流します。同じ管の中を進みながら、栄養素ごとにこれほど異なる旅をしているのだと考えると、消化管の見え方が少し変わってくるのではないでしょうか。

第1部・生理学 | 第8章

犬と猫の消化生理 種差まとめ第1部の終着駅

消化管に沿って振り返る

口腔から大腸まで、一本の路線をたどりながら犬と猫の消化・吸収の仕組みを見てきました。前章の特別編では糖質・タンパク質・脂質それぞれの変化の流れも確認しました。ここで、路線図の★駅を中心に、これまでの種差ポイントを一枚の表にまとめておきます。

表8-1. 犬と猫の消化生理 種差まとめ
器官・トピック
食道の筋肉構成全長がほぼ骨格筋遠位1/3が平滑筋に移行
唾液アミラーゼなしなし
膵アミラーゼ活性比較的高い低め
内因子(IF)の供給源主に膵臓(一部胃)ほぼ膵臓のみ
胆汁酸の抱合グリシン・タウリンの両方タウリンのみ
タウリン合成能比較的保たれる低く、食事依存が高い
アラキドン酸リノール酸からある程度合成可能合成能が低く食事必須
アルギニン要求性比較的緩やか1回の欠乏食でも急性高アンモニア血症の恐れ
乳糖分解能(成体)離乳後に低下離乳後に低下

「猫は小さな犬ではない」を支える追加の2ポイント

第5章のタウリンに加えて、猫の絶対的肉食性を象徴するもう2つの栄養学的な特徴に触れておきます。

★ アルギニン ― たった一食の不足でも危険

尿素回路を正常に働かせるには、犬・猫ともにアルギニンが必要ですが、猫は特にこの依存度が高いとされます。アルギニンが著しく不足した食事を一度摂っただけでもオルニチン回路が滞り、急性の高アンモニア血症(流涎・運動失調・痙攣など)を起こしうる点は、ゆっくり進行する多くの栄養欠乏とは性質が異なる、猫に特有の急性リスクとして知られています。

★ アラキドン酸 ― 変換できないので直接摂る

猫はリノール酸からアラキドン酸を合成する酵素(Δ6-不飽和化酵素)の活性が低く、動物性脂肪に含まれるアラキドン酸を食事から直接摂取する必要があります。犬はこの変換をある程度自力で行うことができます。

ここまでで、消化管という一本の路線をひととおり走り抜けました。第2部では、この生理学の地図の上に、実際に使われる消化器系の薬がどこに、どのように効くのかを重ねて見ていきます。

第2部・薬理学 | 第9章

消化器系治療薬 総論生理学の地図に薬を重ねる

第2部の読み方

第1部で見た生理学の地図の上に、実際に使われる消化器系の薬がどこへ、どのように作用するのかを重ねていきます。本書が扱うのはあくまで作用機序(どこにどう効くか)という考え方の部分であり、具体的な用量や投与間隔といった処方情報は扱いません。実際の診断・処方は必ず獣医師にご相談ください。

症状から探す:消化器系治療薬の見取り図

表9-1. 主な症状・目的と薬剤分類の対応
症状・目的薬剤分類代表的な薬解説章
嘔吐制吐薬マロピタント、オンダンセトロン、メトクロプラミド 等第10章
胃酸過多・胃潰瘍制酸薬・胃粘膜保護薬ファモチジン、オメプラゾール、スクラルファート 等第11章
消化管運動の低下消化管運動機能改善薬メトクロプラミド、モサプリド 等第12章
膵外分泌不全・下痢酵素補充・整腸薬・止瀉薬膵酵素製剤、プロバイオティクス、ロペラミド 等第13章
便秘下剤ラクツロース、ビサコジル 等第14章
慢性腸症(IBDなど)抗炎症薬・免疫抑制薬プレドニゾロン、シクロスポリン 等第15章

この先のページの読み方

第10章以降では、薬をひとつずつカード形式で紹介します。各カードには「分類」「作用機序」「特徴・注意点」を記載し、特に犬と猫で使い分けや注意点が異なる場合はその旨を明記します。生理学の該当章(★駅)を思い出しながら読むと、なぜその薬がそこに効くのかがつながりやすくなります。

第2部・薬理学 | 第10章

制吐薬嘔吐反射のどこを止めるか

嘔吐はどう起こるか

嘔吐は、延髄の「嘔吐中枢(嘔吐パターン発生器)」が複数の入力を統合し、腹筋の収縮・食道の逆蠕動・声門の閉鎖といった一連の動きを協調させることで起こります。入力源は大きく4つに分けられます。

→ 横にスクロールできます

大脳皮質・辺縁系 (視覚・嗅覚・恐怖・学習) 前庭系(内耳) (乗り物酔い 等) 消化管の迷走神経 求心路 (刺激・拡張・炎症) 化学受容器引金帯 (CTZ, 第四脳室最後野) D2 / 5-HT3 / NK1 等 血液脳関門の外側 嘔吐中枢 (嘔吐パターン発生器) NK1受容体も発現 嘔吐の運動出力 (腹筋収縮・食道逆蠕動・声門閉鎖)
図10-1. 嘔吐反射の経路。CTZは血液脳関門の外側にあるため、血中の毒素・薬物・代謝産物を直接感知できる。制吐薬の多くはCTZまたは嘔吐中枢の受容体を標的にする。

CTZ(化学受容器引金帯)は血液脳関門の外側という特殊な位置にあるため、血液中の毒素や薬物、尿毒症性の代謝産物などを直接感知できます。これが、多くの制吐薬がCTZの受容体を標的にする理由です。以下、代表的な制吐薬を作用点ごとに見ていきます。

NK1受容体拮抗薬

マロピタント

作用機序
嘔吐中枢および末梢の迷走神経終末にあるNK1受容体への物質P(サブスタンスP)の結合を阻害する。中枢性・末梢性いずれの嘔吐刺激経路にも働くため、広域スペクトルの制吐薬とされる。
特徴・注意点
犬・猫ともに広く使われる中心的な制吐薬。乗り物酔いや術前の嘔吐対策から、内臓疾患由来の嘔吐まで幅広く用いられる。
5-HT3受容体拮抗薬

オンダンセトロン / ドラセトロン

作用機序
CTZおよび消化管の迷走神経求心路終末にある5-HT3(セロトニン)受容体を遮断する。化学療法薬や毒素刺激によって腸クロム親和性細胞から放出されるセロトニンが関与する嘔吐に特に有効とされる。
特徴・注意点
制吐効果に加えて、緩やかな消化管運動への影響を併せ持つ場合がある。
D2受容体拮抗薬(プロキネティクス兼用)

メトクロプラミド

作用機序
CTZのドパミンD2受容体を遮断して中枢性の制吐効果を発揮する。同時に消化管平滑筋のD2受容体遮断・5-HT4受容体刺激を介してアセチルコリン遊離を促進し、胃排出を促進する(プロキネティック作用。第12章で再登場)。
特徴・注意点
猫はドパミン受容体を介した制吐効果が犬ほど強く出ないとされ、単剤での制吐効果は他剤に比べて限定的と考えられている。
フェノチアジン系

クロルプロマジン

作用機序
CTZのD2受容体に加え、ヒスタミンH1受容体・α1アドレナリン受容体・ムスカリン受容体など複数の受容体を非選択的に遮断する広域制吐薬。
特徴・注意点
効果は強いが、α1遮断による血圧低下や鎮静を伴いやすく、脱水や循環血液量減少がある患者では使用に注意を要する。
抗ヒスタミン薬(H1拮抗薬)

ジフェンヒドラミン / メクリジン

作用機序
前庭系および嘔吐中枢にあるH1受容体・ムスカリン受容体を遮断し、主に前庭性(動揺病・車酔い)の嘔吐を抑える。
特徴・注意点
消化管刺激やCTZ由来の嘔吐に対する効果は限定的で、主に車酔い対策として用いられる。

第2部・薬理学 | 第11章

制酸薬・胃粘膜保護薬第3章の経路図に、薬を重ねる

2つの戦略:「分泌を止める」か「届いた酸に対処するか」

胃酸に関わる薬は大きく2つの発想に分けられます。ひとつは第3章で見た壁細胞の分泌経路そのものを遮断する戦略(H2拮抗薬・プロトンポンプ阻害薬)、もうひとつは分泌された酸や荒れた粘膜に直接働きかける戦略(制酸剤・粘膜保護薬)です。まずは前者から見ていきましょう。

→ 横にスクロールできます

アセチルコリン ガストリン ヒスタミン 壁細胞 H2拮抗薬 (ファモチジン) H⁺/K⁺ ATPase (プロトンポンプ) PPI (オメプラゾール パントプラゾール等) ※最終共通経路を直接遮断 胃酸(HCl)分泌 → 胃内腔へ 制酸剤・スクラルファートは分泌そのものは止めず、 胃内腔に届いた後の酸・粘膜に直接働きかける
図11-1. 図3-1の経路にH2拮抗薬・PPIの作用点を重ねたもの。PPIは3つの刺激経路すべての最終共通経路であるプロトンポンプを直接遮断するため、最も強力かつ持続的な酸分泌抑制が得られる。
H2受容体拮抗薬

ファモチジン

作用機序
壁細胞基底膜のH2受容体を遮断し、ヒスタミンを介した酸分泌刺激(および他経路の増幅効果)を弱める。
特徴・注意点
プロトンポンプ阻害薬に比べると酸分泌抑制効果は穏やかで持続時間も短い。
プロトンポンプ阻害薬(PPI)

オメプラゾール / パントプラゾール

作用機序
酸性の分泌細管内で活性化されるプロドラッグで、壁細胞のH⁺/K⁺ ATPase(プロトンポンプ)そのものに不可逆的に結合して働きを止める。刺激がACh・ガストリン・ヒスタミンのいずれ由来であっても、最終共通経路であるポンプを直接止めるため、最も強力かつ持続的な酸分泌抑制が得られる。
特徴・注意点
効果発現までにやや時間を要するが、酸分泌抑制効果は長時間持続する。

「届いた酸・荒れた粘膜」に対処する薬

次の2つは、分泌経路をブロックするのではなく、すでに胃内腔にある酸や、傷んだ粘膜そのものに直接働きかけるタイプの薬です。

制酸剤

水酸化アルミニウム / 炭酸カルシウム 等

作用機序
胃内腔にすでに存在する塩酸を直接の化学反応で中和する。分泌そのものは抑制しない。
特徴・注意点
効果は速いが持続時間は短い。他の薬剤と結合(キレート形成)して吸収を妨げることがあるため、内服のタイミングをずらす配慮が必要になる場合がある。
胃粘膜保護薬

スクラルファート

作用機序
酸性環境下でゲル状に重合し、潰瘍部にさらされたタンパク質に選択的に結合して物理的な保護膜を形成する。局所でのプロスタグランジン・粘液・重炭酸の産生を促す作用も報告されている。
特徴・注意点
作用に酸性環境を要するため、制酸剤やPPIと同時に投与すると効果が落ちる可能性があり、投与タイミングを離す配慮がされることが多い。
プロスタグランジン製剤

ミソプロストール

作用機序
合成PGE1アナログとして、壁細胞のEP受容体を介して酸分泌を抑えると同時に、粘液・重炭酸分泌や粘膜血流を高めて胃粘膜の防御機構全体を底上げする。NSAIDsによる胃粘膜障害の予防・治療に用いられる。
特徴・注意点
プロスタグランジン製剤であるため、妊娠している(または妊娠の可能性がある)個体には原則として使用しない。

第2部・薬理学 | 第12章

消化管運動機能改善薬「止める」薬から「動かす」薬へ

「動きを助ける」という発想

ここまでの制吐薬・制酸薬は、それぞれ嘔吐反射や酸分泌という「働きすぎ」を抑える薬でした。プロキネティクス(消化管運動機能改善薬)はその逆で、胃排出の遅延や腸管運動の低下といった「働き不足」を補い、協調した蠕動を取り戻すことを目的とします。

D2拮抗・5-HT4刺激薬

メトクロプラミド

作用機序
第10章で見たCTZのD2受容体遮断による制吐作用に加え、消化管平滑筋・筋層間神経叢のD2受容体遮断と5-HT4受容体刺激を介してアセチルコリンの遊離を促進し、胃排出および下部食道括約筋の緊張を高める。
特徴・注意点
制吐薬とプロキネティクスの両方の性格を併せ持つ、汎用性の高い薬剤。
5-HT4受容体作動薬

シサプリド

作用機序
筋層間神経叢の5-HT4受容体を強力に刺激し、アセチルコリンの遊離を促すことで食道から結腸に至る広範囲の蠕動を促進する。
特徴・注意点
心筋のhERGカリウムチャネルにも作用してQT延長・不整脈のリスクが指摘され、ヒト用医薬品としてはほぼ市場から撤退した経緯がある。獣医領域では調剤薬局を通じて用いられることがある。
選択的5-HT4受容体作動薬

モサプリド

作用機序
5-HT4受容体への選択性が高く、シサプリドと同様の機序で胃・腸の運動を促進する。
特徴・注意点
心血管系への影響(hERGチャネルへの作用)がシサプリドに比べて小さいとされ、比較的安全性の高いプロキネティクスとして位置づけられる。
モチリン受容体作動薬

低用量エリスロマイシン

作用機序
本来は抗菌薬だが、消化管平滑筋・神経のモチリン受容体を刺激し、空腹期に見られる強い協調的収縮(移動性運動複合体, MMCの相III)を誘発することで胃排出を促進する。
特徴・注意点
抗菌薬として使う通常量よりもかなり低い用量で、プロキネティクスとしての作用が期待される。

第2部・薬理学 | 第13章

酵素補充・整腸薬・止瀉薬足りないものを補い、流れを整える

膵外分泌不全(EPI)と酵素補充療法

第4章で触れた膵外分泌不全(EPI)では、腺房細胞の萎縮により消化酵素そのものが著しく不足し、脂肪・タンパク質・炭水化物のいずれも十分に消化できなくなります。多くの場合、内因子(第3章)の欠乏を通じてビタミンB12(コバラミン)不足も併発します。

膵酵素補充製剤

パンクレライパーゼ 等

作用機序
ブタ膵臓などに由来するリパーゼ・プロテアーゼ・アミラーゼの混合末を食事に混ぜて経口投与し、失われた膵消化酵素の働きを外から代替する。
特徴・注意点
多くの症例で、内因子欠乏によるビタミンB12不足への並行した補充が必要となる。

整腸・腸内環境へのアプローチ

プロバイオティクス

各種生菌製剤

作用機序
病原性細菌との定着部位・栄養の獲得競合(拮抗排除)、短鎖脂肪酸や抗菌性物質の産生、腸管免疫の調整、上皮のタイトジャンクション強化などを介して腸内環境のバランスを整える。
特徴・注意点
製剤や菌株によって想定される作用の強さ・エビデンスの厚みは異なる。
食物繊維

サイリウム 等

作用機序
水分を保持して便の性状を整えるとともに、発酵性の繊維は腸内細菌により短鎖脂肪酸(特に酪酸)に代謝され、結腸粘膜細胞のエネルギー源として利用される(第7章参照)。

吸着薬・止瀉薬

吸着薬

カオリン・ペクチン / 次サリチル酸ビスマス

作用機序
腸管内の毒素・水分・細菌を物理的に吸着し、症状を緩和する。ビスマス製剤はさらに軽度の抗分泌・抗炎症作用を持つとされる。
特徴・注意点
ビスマス製剤は代謝の過程でサリチル酸を生じる。猫はサリチル酸のグルクロン酸抱合(肝臓での解毒代謝)の効率が犬やヒトに比べて低いため、蓄積・中毒のリスクに注意が必要とされる。
オピオイドμ受容体作動薬

ロペラミド

作用機序
腸管壁のオピオイドμ受容体に作用して蠕動運動を抑制し、分節運動を優位にすることで腸管の通過時間を延ばし、水分・電解質の吸収時間を稼ぐ。通常は血液脳関門のP糖タンパク(P-gp)によって中枢への移行がくみ出されるため、中枢作用は限定的とされる。

⚠ 安全性に関する注意:MDR1(ABCB1)変異とロペラミド

コリー系品種をはじめとする一部の犬種では、P糖タンパクをコードするMDR1(ABCB1)遺伝子に変異があり、血液脳関門でのP-gpのくみ出し機能が低下していることがあります。この場合、通常はほとんど中枢に入らないはずのロペラミドが脳内に移行しやすくなり、過度の鎮静や呼吸抑制など重篤な症状を起こす危険があるとされています。

第2部・薬理学 | 第14章

下剤便秘への4つのアプローチ

便秘への4つのアプローチ

下剤は作用の仕組みによって、大きく浸透圧性・膨張性・刺激性・潤滑性の4つに分けて理解すると整理しやすくなります。

浸透圧性下剤

ラクツロース

作用機序
小腸でほとんど吸収されない合成二糖で、浸透圧によって結腸内に水分を引き込む。さらに結腸内の細菌によって短鎖脂肪酸に発酵され、結腸内を酸性化する。この酸性化はアンモニア(NH₃)をイオン化型のアンモニウム(NH₄⁺)に変え、吸収されにくい形で便中にとどめる働きも持つ。
特徴・注意点
便秘の治療に加えて、この「アンモニアを閉じ込める」作用を利用し、肝性脳症(高アンモニア血症)の管理にも応用される、第5章の腸肝循環ともつながりの深い薬剤。
膨張性下剤

フスマ / サイリウム 等

作用機序
水分を保持して便のかさを増し、腸管の物理的な伸展刺激によって蠕動運動を促す。
刺激性下剤

ビサコジル

作用機序
結腸粘膜の感覚神経終末や筋層間神経叢を直接刺激し、電解質輸送を変化させて腸管内への水分分泌を増やすとともに、強い蠕動を誘発する。
特徴・注意点
作用が強いため、短期的な使用にとどめるのが基本とされる。
潤滑性下剤

流動パラフィン(鉱物油)

作用機序
便塊の表面を潤滑にし、大腸での水分の再吸収を妨げることで、便を排出しやすくする。

⚠ 安全性に関する注意:潤滑性下剤の誤嚥リスク

流動パラフィンのような潤滑性下剤を口から無理に(シリンジなどで強制的に)飲ませようとすると、気道に入り込み誤嚥性肺炎を起こす危険があるとされています。

第2部・薬理学 | 第15章

炎症性腸疾患治療薬免疫の働きすぎを鎮める

慢性腸症・IBDへの薬物療法の考え方

慢性的な腸炎(いわゆるIBD, 炎症性腸疾患)の治療では、食事療法と並行して、行き過ぎた免疫反応そのものを鎮めることを目的とした薬が使われます。ここでは代表的な薬を作用機序ごとに見ていきます。

副腎皮質ステロイド

プレドニゾロン

作用機序
細胞質内の糖質コルチコイド受容体に結合し、核内に移行して遺伝子転写を調節する。NF-κBなどの炎症性転写因子の働きを抑えて炎症性サイトカインの産生を減らすとともに、ホスホリパーゼA2を阻害してアラキドン酸カスケード由来の炎症性メディエーター産生も抑える、広範な抗炎症・免疫抑制作用を持つ。

★ 種差ポイント:猫にはプレドニゾロンを

プレドニゾンはそれ自体はほぼ不活性なプロドラッグで、肝臓で活性型のプレドニゾロンに変換されて初めて効果を発揮します。猫はこの変換効率が低いとされ、確実に効果を得るために、猫では最初からプレドニゾロンそのものを用いることが推奨されます。

局所作用型ステロイド

ブデソニド

作用機序
プレドニゾロンと同様に糖質コルチコイド受容体を介して働くが、経口摂取後に肝臓での初回通過代謝(主にCYP3A)を非常に高い割合で受けるため、消化管局所ではしっかり効きながら全身に回る量は少なく抑えられる。
特徴・注意点
プレドニゾロンに比べて全身性のステロイド副作用が少ないとされ、腸に限局した炎症で選択されることがある。
カルシニューリン阻害薬

シクロスポリン

作用機序
T細胞内のカルシニューリンという酵素を阻害し、T細胞受容体刺激後のIL-2遺伝子の転写を抑えることで、T細胞の活性化・増殖を抑制する。
特徴・注意点
ステロイドの効果が不十分な症例などで選択されることがある免疫抑制薬。
プリン代謝拮抗薬

アザチオプリン

作用機序
体内で6-メルカプトプリンを経てチオグアニンヌクレオチドへと変換されるプロドラッグで、DNA合成の材料に紛れ込むことでリンパ球の増殖を妨げる。この代謝経路にはチオプリンメチル転移酵素(TPMT)という酵素が関わる。

⚠ 安全性に関する注意:猫とアザチオプリン

猫はTPMTの活性が犬に比べて顕著に低いことが知られており、アザチオプリンの代謝が遅れて薬が蓄積しやすく、重篤な骨髄抑制を起こす危険が高いとされます。そのため猫での使用は避けられるか、用いる場合でも極めて慎重な経過観察が必要とされます。

抗菌薬(免疫調整作用も)

メトロニダゾール

作用機序
嫌気性菌や一部の原虫の細胞内で還元されて生じるフリーラジカル中間体がDNAを損傷し、抗菌・抗原虫作用を発揮する。これに加えて細胞性免疫を抑制する作用も報告されており、抗菌作用と免疫調整作用の両面からIBDの管理に用いられることがある。
特徴・注意点
高用量・長期投与では、運動失調や眼振といった神経毒性(前庭・小脳症状)のリスクが指摘されている。

第2部・薬理学 | 第16章

まとめ・臨床上の注意点終着駅 ― 種差に基づく安全性チェックリスト

路線の終わりに

口腔から大腸まで消化管という一本の路線をたどり(第1部)、その地図の上に消化器系の薬がどこへ効くのかを重ねてきました(第2部)。犬と猫は同じ路線図の上を走りながらも、食道の筋肉構成、内因子の供給源、胆汁酸の抱合様式、薬物代謝の効率など、いくつもの駅で線路が分かれていることを見てきました。最後に、本書に登場した「種差に基づく安全性上の注意点」を一枚のチェックリストにまとめます。

表16-1. 種差に基づく安全性チェックリスト
薬剤・要因対象注意点関連章
ロペラミドMDR1(ABCB1)変異を持つ犬種中枢移行による過度の鎮静・呼吸抑制のおそれ第13章
アザチオプリンTPMT活性低下により骨髄抑制のリスクが高い第15章
プレドニゾンプレドニゾロンへの変換効率が低く、プレドニゾロンを直接使用第15章
次サリチル酸ビスマスグルクロン酸抱合能低下によりサリチル酸が蓄積しやすい第13章
ミソプロストール妊娠中(の可能性がある)個体プロスタグランジン製剤のため原則使用しない第11章
潤滑性下剤すべての個体無理な経口投与による誤嚥のリスク第14章
タウリン不足の食事拡張型心筋症・網膜変性のリスク第5章
アルギニン欠乏食1回の食事でも急性高アンモニア血症のおそれ第8章

本書について

本書は犬・猫の消化・吸収の生理学および消化器系薬の作用機序を紹介する教育的な参考資料であり、特定の個体に対する診断・処方・用量の決定を目的としたものではありません。実際の診断・治療方針については、必ずかかりつけの獣医師にご相談ください。

― 完 ―