猫における甲状腺機能亢進症は、高齢猫で最も頻度の高い内分泌疾患であり、日常診療で遭遇する機会が非常に多い疾患である。本書では、まず甲状腺そのものの解剖学・組織学・生理学的な基礎を整理し、その上でホルモン合成の分子機序、視床下部-下垂体-甲状腺(HPT)軸による調節を確認する。後半では、猫の甲状腺機能亢進症の病態生理、臨床検査の考え方、そしてチアマゾールを中心とした薬理学的治療までを、臨床現場で使える形で解説する。
図0 視床下部-下垂体-甲状腺(HPT)軸の全体像(詳細は第4章で解説)
CHAPTER 1
甲状腺の解剖学
頸部における甲状腺の位置、肉眼形態、血管・神経との位置関係、そして外科的に重要な副甲状腺との関係を確認する。
1-1位置と肉眼形態
猫の甲状腺は頸部腹側、気管の両側面、おおよそ第5〜8気管軟骨輪付近、輪状軟骨のやや尾側に位置する左右一対の内分泌腺である。イヌでは左右の葉を連結する峡部(isthmus)を持つ個体が多いのに対し、ネコでは峡部を欠き、左葉と右葉が完全に分離していることが多い点が種差として知られる。
健常な成猫における甲状腺葉は長径1〜2cm程度の扁平な紡錘形〜楕円形を呈し、薄い線維性被膜に包まれる。触診上は正常であれば触知が難しいが、機能亢進症では過形成・腫大により「甲状腺スリップ」という触診手技で結節として触知できるようになることが多い(触診の詳細は第6章で扱う)。
図1 腹側から見た猫の甲状腺の位置関係(模式図・左右は解剖学的な左右に対応)
1-2血管・神経支配
甲状腺への動脈血は主に頭側甲状腺動脈(頭側甲状腺動脈は総頸動脈の分枝であることが多い)によって供給され、静脈血は甲状腺静脈を経て還流する。豊富な血管網を持つことは内分泌腺として当然の特徴であり、外科的に甲状腺を摘出する際には出血のコントロールが重要な手技上のポイントとなる。
1-3副甲状腺との関係
猫では各甲状腺葉に対して外副甲状腺(external parathyroid gland)と内副甲状腺(internal parathyroid gland)が付随する。外副甲状腺は甲状腺葉の被膜表面またはその近傍に独立して存在するのに対し、内副甲状腺は甲状腺実質の被膜内に埋没するかたちで存在することが多い。
この位置関係は甲状腺摘出術における合併症と直結する。特に内副甲状腺は甲状腺組織と一体化しているため、両葉を摘出する術式では副甲状腺機能が温存されずに術後低カルシウム血症を来すリスクがある。臨床では術式選択(被膜内摘出法など)や術後のカルシウム値モニタリングが重要になる。
1-4異所性甲状腺組織
胎生期に甲状腺原基が舌根部から頸部へ下降する過程で、一部の甲状腺組織が正常位置以外(縦隔内などの胸腔内が代表的)に迷入して残存することがある。これを異所性甲状腺組織と呼ぶ。
CHAPTER 2
甲状腺の組織学
濾胞という機能単位の構造、濾胞上皮細胞とC細胞の役割、そして機能亢進症の大部分を占める過形成・腺腫の組織像を確認する。
2-1濾胞構造とコロイド
甲状腺の組織学的な基本単位は「濾胞」である。濾胞は単層の濾胞上皮細胞が球状に配列した構造で、内部にコロイドと呼ばれる均質な物質を蓄えている。コロイドの主成分は糖蛋白質であるサイログロブリンであり、甲状腺ホルモンの前駆体を貯蔵する巨大な「倉庫」としての役割を果たす。
図2 大小の濾胞とコロイド、傍濾胞細胞(C細胞)の位置関係(模式図)
2-2濾胞上皮細胞
濾胞上皮細胞は甲状腺ホルモン合成の主役であり、その形態は機能状態を反映して動的に変化する。機能が亢進している状態では細胞は高い円柱状となり、コロイドの取り込み(エンドサイトーシス)が活発になる一方、機能が低下している状態では細胞は扁平化し、コロイドが濾胞内に多く貯留する傾向を示す。
この形態変化は病理組織学的な評価においても重要であり、機能性の腺腫や過形成病変では円柱状〜立方状の細胞が増殖し、大小不同の濾胞が乱雑に配列する像が観察される。
2-3傍濾胞細胞(C細胞)
傍濾胞細胞(parafollicular cell、通称C細胞)は、濾胞上皮細胞の間や濾胞と濾胞の間に散在する神経堤由来の細胞である。甲状腺ホルモンとは異なる経路でカルシトニンを分泌し、血中カルシウム濃度の調節に関与する。
C細胞は甲状腺ホルモン合成には直接関与しないため、猫の甲状腺機能亢進症の病態そのものには通常関与しない。ただし組織学的な鑑別(C細胞腫瘍など他疾患との区別)の観点からは押さえておくべき細胞種である。
2-4過形成・腺腫の組織像
猫の甲状腺機能亢進症の組織学的背景の大部分は、良性の腺腫様過形成または甲状腺腺腫である。これらの病変では、大小不同の濾胞、扁平上皮化生、乳頭状の増殖像、線維性被膜による部分的な結節形成などが観察され、多くは両葉性・多結節性に生じる。
重要用語
- 腺腫様過形成正常の濾胞構造を保ちながら細胞数・濾胞数が増加する、境界不明瞭な過形成性病変。
- 甲状腺腺腫被膜に囲まれた良性の結節性病変で、機能性(自律性ホルモン産生)を持つことが多い。
- 甲状腺癌猫の甲状腺機能亢進症の原因のうち1〜2%程度とされる悪性腫瘍で、より浸潤性・転移性を示しうる。
CHAPTER 3
甲状腺ホルモンの合成
ヨウ素の取り込みから有機化、カップリング、貯蔵・分泌、そして末梢組織での活性化までの一連の分子機序を追う。
3-1ヨウ素の取り込み
甲状腺ホルモン合成の出発点は血中ヨウ化物イオン(I⁻)の取り込みである。濾胞上皮細胞の基底膜側には Na⁺/I⁻ シンポーター(NIS)が発現しており、細胞外から細胞内へヨウ化物を能動的に濃縮輸送する。この機構により、甲状腺内のヨウ素濃度は血中の数十倍にまで高められる。
3-2有機化とカップリング
細胞内に取り込まれたヨウ化物は頂端膜側へ輸送された後、甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)の触媒作用によって酸化され、コロイド中のサイログロブリン分子上のチロシン残基に結合する(有機化)。これによりモノヨードチロシン(MIT)およびジヨードチロシン(DIT)が生成される。
続いて同じくTPOの触媒により、MITとDITが結合するとT3(トリヨードサイロニン)が、DIT同士が結合するとT4(サイロキシン)が生成される(カップリング反応)。この段階までの反応は、いずれもサイログロブリン分子の上で進行する点が特徴的である。
3-3貯蔵と分泌
合成されたT4・T3は、サイログロブリン分子に組み込まれたままコロイド内に貯蔵される。これは甲状腺が体内で唯一、ホルモンを細胞外の巨大な貯蔵プールとして保持する内分泌腺であることを意味し、数週間分のホルモンを備蓄できるとされる。
TSHによる刺激を受けると、濾胞上皮細胞はコロイド滴をエンドサイトーシスにより取り込み、リソソームと融合させてサイログロブリンを加水分解する。これによりT4・T3が遊離し、細胞外(血中)へと分泌される。
図3 甲状腺ホルモンの合成から分泌までの流れ(模式図)
3-4末梢での活性化と血中運搬
甲状腺から分泌されるホルモンの大部分はT4であるが、T4はそれ自体では生物活性が低いプロホルモン的な性質を持つ。末梢組織に発現する脱ヨード酵素(デヨージナーゼ)がT4から1個のヨウ素を除去することで、より活性の高いT3へと変換される。脱ヨード酵素の種類によっては不活性なrT3(リバースT3)が生成される経路も存在する。
血中では、T4・T3の大部分はサイロキシン結合グロブリン(TBG)などの結合蛋白質に結合した状態で存在し、結合していない遊離型(fT4・fT3)のみが組織へ移行して生物活性を発揮する。猫は他の動物種と比較してTBGの血中濃度が低いことが知られており、結合蛋白質の量的な違いが遊離画分の挙動に影響しうる点は、猫の甲状腺ホルモン検査値を解釈するうえで念頭に置くべき特徴である。
重要用語
- NISNa⁺/I⁻シンポーター。ヨウ化物イオンを細胞内に濃縮輸送する膜蛋白質。
- TPO甲状腺ペルオキシダーゼ。ヨウ素の有機化とカップリング反応を触媒する酵素で、チアマゾールの標的でもある。
- サイログロブリン甲状腺ホルモンの前駆体を組み込んだ糖蛋白質で、コロイドの主成分。
CHAPTER 4
視床下部-下垂体-甲状腺軸とホルモンの作用
HPT軸によるホルモン分泌の調節機構と、甲状腺ホルモンが全身の臓器に及ぼす作用を整理する。
4-1HPT軸の基本構造
甲状腺ホルモンの分泌は、視床下部-下垂体-甲状腺(HPT)軸と呼ばれる階層的な調節系によって制御される。視床下部は甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)を分泌し、これが下垂体前葉を刺激して甲状腺刺激ホルモン(TSH)の分泌を促す。TSHは甲状腺濾胞細胞のTSH受容体に結合し、cAMPを介する細胞内シグナル伝達を通じて、ヨウ素取り込み・ホルモン合成・分泌のすべての過程を促進する。
図4 視床下部-下垂体-甲状腺(HPT)軸のフィードバック機構(模式図)
4-2負のフィードバック
血中の遊離T4・T3が上昇すると、視床下部および下垂体前葉に作用してTRH・TSHの分泌が抑制される。この負のフィードバック機構により、通常は甲状腺ホルモンの血中濃度が一定の範囲に保たれる。
4-3甲状腺ホルモンの全身作用
甲状腺ホルモンはほぼすべての組織に受容体を持ち、基礎代謝率の調節を中心とした広範な生理作用を及ぼす。代謝面では酸素消費量・熱産生を増加させ、心血管系では心筋細胞のβ1アドレナリン受容体発現を増加させることで心拍数・心収縮力を高める。消化管では運動性を亢進させ、中枢神経系では興奮性を高める方向に働く。骨格筋では蛋白代謝を促進する一方、過剰な状態では異化が優位となり筋量減少につながる。
これらの生理作用の多くは、次章で扱う猫の甲状腺機能亢進症における多臓器への影響と表裏一体の関係にある。生理的な範囲を超えてホルモンが過剰になることで、通常はプラスに働くはずの作用が臓器への負荷として現れる、という視点を持っておくと病態生理の理解がつながりやすい。
CHAPTER 5
猫の甲状腺機能亢進症 — 病態生理
疫学と病因を確認したうえで、ホルモン過剰が心血管系・腎臓・消化器などにどのような影響を及ぼすかを整理する。
5-1疫学と病因
猫の甲状腺機能亢進症は高齢猫における最も頻度の高い内分泌疾患であり、平均発症年齢はおおむね12〜13歳前後とされる。若齢での発症はまれで、加齢とともに発症リスクが高まる疾患である。
病因の大部分(98%以上)は良性の腺腫様過形成または甲状腺腺腫であり、自律性にホルモンを産生する細胞クローンが両葉性・多結節性に増殖することで生じる。悪性の甲状腺癌が原因となるのは全体の1〜2%程度にとどまる。明確な単一の原因は特定されていないが、室内飼育や特定の食餌形態、内分泌かく乱物質への曝露などの環境要因が病態に関与している可能性が疫学研究で議論されている。
5-2心血管系への影響
甲状腺ホルモンの慢性的な過剰は、心筋細胞におけるβ受容体発現増加を介して持続的な頻脈と心収縮力増大をもたらす。この状態が長期間続くと、求心性の心肥大(肥大型心筋症様の変化)を来し、重症例ではうっ血性心不全に進展するリスクがある。全身性高血圧を合併することも多く、心血管系への負荷はさらに増大する。
5-3腎臓への影響
甲状腺ホルモンの過剰は腎血流量および糸球体濾過量(GFR)を増加させる方向に働く。これは、併存する慢性腎臓病(CKD)による腎機能低下を検査値の上で「マスク」してしまう、という臨床上重要な現象につながる。
5-4その他の臓器への影響
心血管系・腎臓以外にも、甲状腺ホルモン過剰は全身の臓器に影響を及ぼす。
消化器
腸管運動の亢進により嘔吐・下痢が生じやすく、食欲が亢進していても異化が優位となるため体重減少を来す。
筋骨格系
蛋白異化の亢進により全身の筋量が減少し、筋力低下や活動性の変化として現れることがある。
行動・神経系
中枢神経系の興奮性亢進により、活動性の増加、易興奮性、攻撃性の変化などがみられることがある。
被毛・外貌
被毛の粗剛化・脱毛、削痩など、外貌の変化として飼い主が気づく最初のサインになることも多い。
CHAPTER 6
甲状腺機能亢進症の検査と診断
身体検査所見から血液検査、画像検査、そしてスクリーニングの重要性までを、臨床の流れに沿って整理する。
6-1身体検査所見
猫の甲状腺機能亢進症を疑う代表的な身体検査所見として、体重減少、多食、多飲多尿、活動性の亢進、間欠的な嘔吐、被毛の乱れ、頻脈、心雑音や奔馬調律などが挙げられる。頸部の触診では「甲状腺スリップ」という手技により、腫大した甲状腺葉が結節として触知できることがある。
6-2血液検査(TT4・fT4・TSH)
総T4(TT4)測定は第一選択のスクリーニング検査であり、多くの症例で高値を示す。ただし、軽度〜境界域の症例や、併存する非甲状腺性疾患(non-thyroidal illness)の影響でTT4が偽正常化することがある点には注意が必要である。
TT4が正常〜境界域であるにもかかわらず臨床的に機能亢進症が疑われる症例では、遊離T4(fT4、平衡透析法による測定が望ましい)を追加する。fT4は感度が高い一方で、非甲状腺性疾患でも上昇しうるため特異度はTT4よりやや劣り、単独では診断せず、TT4や臨床所見と組み合わせて評価することが推奨される。TSHについては、猫用の測定系には感度上の限界があるものの、低値〜検出感度以下という結果は機能亢進症を支持する所見として参考になる。
| 検査項目 | 位置づけ | 解釈上の注意点 |
|---|---|---|
| TT4 | 第一選択のスクリーニング | 非甲状腺性疾患で偽正常化しうる |
| fT4(平衡透析法) | 境界域症例での追加検査 | 感度は高いが特異度はやや低い |
| TSH | 補助的な位置づけ | 猫用測定系の感度に限界あり |
6-3画像検査と除外診断
甲状腺シンチグラフィーは、機能性甲状腺組織の分布を可視化できる核医学検査であり、片葉性か両葉性か、異所性甲状腺組織の有無、悪性を示唆する浸潤性の取り込みパターンなどの評価に有用である。頸部超音波検査も甲状腺の大きさや結節性変化を評価する補助的な手段として利用される。
臨床症状(体重減少、多飲多尿など)が類似する疾患として、慢性腎臓病、糖尿病、消化器疾患、腫瘍性疾患などが鑑別に挙がるため、CBC・生化学検査・尿検査を組み合わせた総合的な評価により除外診断を進める。
問診・身体検査 体重減少、多食、頻脈、甲状腺スリップなどの所見を確認する。
TT4測定 高値であれば機能亢進症を強く支持。境界域〜正常であれば次のステップへ。
fT4・TSHの追加測定 臨床所見と合わせて総合的に判断する。
CBC・生化学・尿検査 CKDなど併存疾患の有無を評価し、治療方針に反映する。
必要に応じ画像検査 シンチグラフィーや超音波検査で局在・広がりを評価する。
6-4スクリーニングの重要性
猫の甲状腺機能亢進症は緩徐に進行することが多く、初期には軽微な変化しか示さない場合もある。そのため、7〜8歳以上の高齢猫では年1〜2回の健康診断の際にTT4測定を組み込むことが推奨される。早期発見は、心血管系や腎臓への負荷が蓄積する前に治療を開始できるという点で大きな意味を持つ。
重要用語
- TT4総T4。血中のT4のうち、結合型・遊離型を合わせた総量を測定する値。
- fT4遊離T4。結合蛋白質に結合していない、生物活性を持つ画分。
- non-thyroidal illness甲状腺以外の疾患の影響でTT4が見かけ上正常〜低値になる現象。
CHAPTER 7
甲状腺機能亢進症の薬理学的治療
チアマゾール(メチマゾール)の作用機序を中心に、副作用モニタリングと他の治療選択肢との比較を整理する。
7-1チアマゾールの薬理
チアマゾール(国際一般名。米国ではメチマゾールという呼称が広く用いられ、同一の薬剤を指す)は、猫の甲状腺機能亢進症に対する薬物療法の中心的存在である。作用機序は甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)の阻害であり、ヨウ素の有機化とMIT・DITのカップリング反応を妨げることでホルモン合成そのものを抑制する。
既に合成されコロイド内に貯蔵されているホルモンには影響を及ぼさないため、臨床効果が現れるまでには数週間を要する点は投与開始時に飼い主へ説明しておくべきポイントである。剤形には経口錠剤のほか、耳介内側の無毛部に塗布する経皮ゲル製剤があり、消化器症状が問題になる症例で経皮製剤への変更が有用な場合がある。
図5 チアマゾールによる甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)阻害の模式図
7-2副作用とモニタリング
チアマゾールの副作用の多くは投与開始後2〜3ヶ月以内に発現する。代表的なものとして、嘔吐・食欲不振などの消化器症状、白血球減少や血小板減少などの血液学的異常、肝酵素上昇、そしてまれに顔面の自己免疫様掻痒・皮膚炎が挙げられる。
7-3その他の治療選択肢
チアマゾールによる薬物療法以外にも、放射性ヨード治療(I-131)、外科的甲状腺摘出術、ヨウ素制限食による食事療法といった選択肢がある。それぞれ根治性・侵襲性・管理の煩雑さが異なるため、症例ごとの特性に応じて選択される。
| 治療法 | 特徴 | 主な留意点 |
|---|---|---|
| チアマゾール(薬物療法) | 非侵襲的・可逆的 | 生涯にわたる継続投与と定期モニタリングが必要 |
| 放射性ヨード治療(I-131) | 根治的、機能性組織に選択的 | 実施施設が限られ、入院・隔離期間が必要 |
| 外科的甲状腺摘出術 | 根治的 | 麻酔リスク、副甲状腺損傷による低カルシウム血症のリスク、異所性組織には無効 |
| ヨウ素制限食 | 非侵襲的 | 他のヨウ素含有食品・おやつの完全除去が必要で管理が煩雑 |
7-4治療方針の選択
治療法の選択にあたっては、併存疾患(特に慢性腎臓病の有無)、飼い主の投薬・管理能力、費用、専門施設へのアクセスなど、複数の要素を総合的に考慮した個別化が求められる。多くの症例では、まずチアマゾールによる薬物療法を導入して代謝状態と腎機能への影響を評価したうえで、根治的治療への移行を検討するという段階的なアプローチが取られる。
参考文献
- Feldman EC, Nelson RW, Reusch C, Scott-Moncrieff JC. Canine and Feline Endocrinology (4th ed.). Elsevier.
- Mooney CT, Peterson ME (eds.). BSAVA Manual of Canine and Feline Endocrinology. British Small Animal Veterinary Association.
- Peterson ME. Feline hyperthyroidism に関する総説(Journal of Feline Medicine and Surgery ほか)
- Journal of Veterinary Internal Medicine 誌 甲状腺機能亢進症の診断・治療に関するコンセンサスステートメント関連文献