ホルモンは、血液に投函するお手紙にゃん

専用パイプ(導管)を使わずに血液に直接流して、鍵穴(受容体)を持つ細胞だけが受け取るにゃん。脳をトップとした3段階の命令リレーと自動ブレーキ(フィードバック)で、全身のバランスをキープしているにゃん。

HPT軸 TRH → TSH → T3・T4
代謝と熱産生
HPA軸 CRH → ACTH → コルチゾール
ストレス対抗
HPG軸 GnRH → LH・FSH → 性ホルモン
生殖と性周期

1内分泌ってなに?外分泌との対比

内分泌Endocrine:ホルモンを専用パイプ(導管)なしで直接血液にぽいっと流して、遠くのポストへ届ける仕組みにゃん。

外分泌Exocrine:汗や唾液みたいに、専用パイプ(導管)を使って体の外や管の中に出す仕組みにゃん。

内分泌腺 血管 標的細胞(受容体あり) 導管なし → 血液にのって全身へ

内分泌:血液に流して遠くへ届ける

外分泌腺 導管 体表・管腔へ

外分泌:導管を通して体外や管腔へ出す(汗・唾液など)

ホルモンは全身をめぐるけど、開けられるのは「鍵穴(受容体)」を持つ細胞だけ!「宛名付きの手紙を全員のポストに投げ込む」イメージだにゃん。

2まず覚える4つの言葉にゃんここが土台

内分泌の問題は、この4語の理解でほとんど解けるにゃん。

HホルモンHormone

微量で体を調節する化学メッセージ。構造によって3つに分かれるにゃ。

ペプチド系インスリン等ステロイド系コルチゾール等アミン系甲状腺ホルモン等

標的細胞と受容体Target cell / Receptor

手紙を受け取る「鍵穴」を持つ細胞。鍵穴がなければ何も起きずにスルーされるにゃん。

ネガティブ・フィードバックNegative feedback

出すぎ防止の「自動ブレーキ」。末梢のホルモンが増えると、上位の司令部へ「もう十分作りました!」と報告が届いて分泌が抑えられるにゃん。

ホメオスタシスHomeostasis/恒常性

体温・血糖値・血圧などを一定に保つベストコンディション維持機能。内分泌系のゴールはここにあるにゃん!

3内分泌器官とホルモンどこから何が出るか

「脳の最高司令部」から「現場の工場」へ命令が下りるイメージで整理するにゃん!

頭のなか|司令塔チーム

視床下部最高中枢

TRH甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンCRH副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモンGnRH性腺刺激ホルモン放出ホルモンGHRH成長ホルモン放出ホルモンソマトスタチンGH抑制ドパミンプロラクチン抑制因子

発射命令(TRH, CRH, GnRH, GHRH)とストップ命令(ソマトスタチン:GH抑制、ドパミン:PRL抑制)の両方で全体を統括するにゃん。

下垂体前葉中継所

GH成長ホルモンTSH甲状腺刺激ACTH副腎皮質刺激FSH卵胞刺激LH黄体形成PRLプロラクチン

骨・筋肉を動かすGHや乳腺を発達させるPRLのほか、末梢の各工場へ指令(TSH, ACTH, FSH, LH)を飛ばすにゃん。

下垂体後葉産生は視床下部

ADHバゾプレシン/抗利尿ホルモンオキシトシン

水分回収&血圧キープの「ADH(バゾプレシン)」、子宮収縮&射乳を促す「オキシトシン」を蓄えて出すにゃん(※作るのは視床下部にゃん)。

松果体体内時計

メラトニン

「メラトニン」が光の刺激に応じて睡眠・覚醒リズムをコントロールするにゃん。

首まわり|代謝とカルシウム

甲状腺Thyroid

T3トリヨードサイロニンT4サイロキシンカルシトニンC細胞から

全身の代謝エンジンを激アツにする「T3・T4」と、血中カルシウムを下げる「カルシトニン」を出すにゃん。

上皮小体Parathyroid gland

PTH上皮小体ホルモン/パラソルモン

「PTH(パラソルモン)」が骨からCaを出させて血中カルシウムをアップ!カルシトニンと逆向きライバル関係にゃん。

おなかの中|ストレス・血糖・水分

副腎皮質外側の3層

コルチゾール束状帯:糖質コルチコイドアルドステロン球状帯:鉱質コルチコイドDHEA等アンドロゲン網状帯

束状帯:コルチゾール(糖を作ってストレスと戦う!)
球状帯:アルドステロン(塩分・水分を回収して血圧キープ!)
網状帯:DHEA等アンドロゲン(副性徴に関与)

副腎髄質内側

アドレナリンエピネフリンノルアドレナリンノルエピネフリン

アドレナリン/ノルアドレナリンが交感神経とタッグを組んで、心拍・血圧爆上げの「闘争・逃走反応(緊急バトルモード)」を起こすにゃん!

膵臓ランゲルハンス島

インスリンβ細胞グルカゴンα細胞ソマトスタチンδ細胞膵ポリペプチドPP細胞

血糖値を下げる「インスリン(β細胞)」と上げる「グルカゴン(α細胞)」がペア。δ細胞の「ソマトスタチン」は隣のα・β細胞を直接止めるご近所ブレーキ(パラクリン作用)にゃん。

腎臓内分泌臓器として

エリスロポエチンレニン活性型ビタミンD3カルシトリオール

赤血球を作らせる「エリスロポエチン」、血圧調整スイッチを入れる「レニン」、Ca吸収を助ける「活性型ビタミンD3」を出すにゃん。

β細胞 インスリン α細胞 グルカゴン δ細胞 ソマトスタチン ランゲルハンス島(膵島) δ細胞は隣の細胞に直接ブレーキをかける = パラクリン作用

ご近所ブレーキ(パラクリン作用)
δ細胞のソマトスタチンが、すぐ隣のβ細胞とα細胞の分泌を直接止める

生殖腺と胎盤

精巣Testis

テストステロンアンドロゲン/雄性ホルモン

精子形成の促進、雄の二次性徴の発現、筋肉・骨格の発達。

卵巣Ovary

エストロゲン卵胞ホルモンプロゲステロン黄体ホルモン

エストロゲン(発情・排卵トリガー)、プロゲステロン(周期調節・妊娠準備)。

胎盤一時的な内分泌臓器

eCGPMSG・馬絨毛性ゴナドトロピンプロゲステロンエストロゲン

エストロゲンは妊娠期の維持と分娩時の産道準備、プロゲステロンは妊娠の維持を担う(馬・羊・ヒトなどでは妊娠後半に胎盤が主役へ交代)。

※eCG(PMSG)は馬に特有で、胎子由来の細胞がつくる子宮内膜杯から分泌される。

主な内分泌器官と分泌ホルモン / 一覧
内分泌器官分泌ホルモン(略称・別名)主な生理作用
視床下部TRH/CRH/GnRH/GHRH/ソマトスタチン(GH抑制)/ドパミン(PIF)下垂体前葉ホルモンの分泌を促進・抑制して全体を統括する最高中枢
下垂体前葉GH/TSH/ACTH/FSH/LH/PRL骨・筋肉の成長促進、乳腺発達。末梢の各内分泌腺に指令を出す
下垂体後葉
(産生は視床下部)
ADH(バゾプレシン)/オキシトシン腎での水分再吸収と血圧上昇、子宮収縮・射乳
甲状腺T3/T4/カルシトニン(C細胞)代謝活性化・熱産生/血中Ca低下
上皮小体PTH(パラソルモン)骨からのCa放出・腎での再吸収 → 血中Ca上昇
副腎皮質コルチゾール(束状帯)/アルドステロン(球状帯)/DHEA等アンドロゲン(網状帯)糖代謝・抗炎症・抗ストレス/Na再吸収・血圧維持/副性徴
副腎髄質アドレナリン/ノルアドレナリン交感神経系と協調し、心拍数・血圧を上げる闘争・逃走反応
膵臓(ランゲルハンス島)インスリン(β)/グルカゴン(α)/ソマトスタチン(δ)/膵ポリペプチド(PP)血糖降下/血糖上昇/隣接細胞へのパラクリン抑制
精巣テストステロン精子形成、二次性徴、筋・骨格の発達
卵巣エストロゲン/プロゲステロン発情誘起・排卵のトリガー/性周期の調節・妊娠準備
松果体メラトニン光刺激に応じて体内時計(睡眠・覚醒リズム)を調節
腎臓エリスロポエチン/レニン/活性型ビタミンD3赤血球産生の促進/血圧調整系の起動/Ca吸収促進
胎盤(一時的)eCG(PMSG)/プロゲステロン/エストロゲン妊娠の維持、分娩時の産道準備

表は横スクロールできます →

ペアで覚えると最強だにゃん。カルシトニン(下げる)とPTH(上げる)インスリン(下げる)とグルカゴン(上げる)

4視床下部–下垂体–標的腺軸3段階の指令リレーにゃん

命令は「視床下部(社長)→ 下垂体前葉(部長)→ 標的腺(現場工場)」の3段階リレーで進むにゃん。

  1. 第1指令:視床下部から「放出ホルモン(TRH/CRH/GnRH)」
  2. 第2指令:下垂体前葉から「刺激ホルモン(TSH/ACTH/LH・FSH)」。
  3. 最終作用:標的腺から「最終ホルモン(T3・T4/コルチゾール/性ホルモン)」
ウルトラショートループ(超短環) 視床下部 下垂体前葉 標的腺(末梢の工場) 全身の標的細胞 放出ホルモン TRH・CRH・GnRH 刺激ホルモン TSH・ACTH・LH/FSH 最終ホルモン T3・T4/コルチゾール など ロングループ(長環) ショートループ(短環)

アクセル(実線)とブレーキ(点線)
点線の先端が「⊣」になっているのは抑制のサインにゃ

自動ブレーキ(会社の連絡網に例えると一発!)

ロングループ長環

現場工場から最高司令部(社長)へ「もう十分作りました!」とダイレクト報告するメイン回路にゃん。

ショートループ短環

中継所(部長)から社長へ「手配完了です」と内線連絡するスピード回答回路にゃん。

ウルトラショートループ超短環

社長が「あ、自分出しすぎたにゃ」と自分でブレーキをかけるローカル回路にゃん。

3つのループは「どこから出た信号が、どこまで戻るか」の距離のちがいだけにゃん。標的腺から戻れば長環、下垂体から戻れば短環、視床下部が自分に戻せば超短環。名前どおりで覚えられるにゃん。

53大軸(HPT・HPA・HPG)同じ形が3回くり返される

型は全部同じ「3段階リレー」!登場する名前と役割を差し替えるだけにゃん。

HPT軸(甲状腺軸)視床下部–下垂体–甲状腺

基礎代謝と体温をアップ!

TRH → TSH → T3・T4

HPA軸(副腎軸)視床下部–下垂体–副腎皮質

ストレスに対抗してエネルギー確保!

CRH → ACTH → コルチゾール

HPG軸(性腺軸)視床下部–下垂体–性腺

生殖機能・性周期

GnRH(パルス状に間欠分泌するのがキモ!)→ LH・FSH → 性ホルモン
例外|排卵直前の「LHサージ」
排卵直前だけは、抑制ではなくポジティブ・フィードバックが働く。
視床下部:TRH 下垂体前葉:TSH 甲状腺 T3・T4 代謝・熱産生を上げるにゃ

HPT軸:全身の基礎代謝と体温

視床下部:CRH 下垂体前葉:ACTH 副腎皮質(束状帯) コルチゾール ストレスに対抗するにゃ

HPA軸:ストレス対抗・血糖維持

視床下部:GnRH 下垂体前葉:LH・FSH 精巣・卵巣 性ホルモン GnRHはパルス状に分泌にゃ

HPG軸:生殖機能・性徴・性周期

例外|排卵直前のLHサージ

LHサージ エストロゲン 排卵 濃度

ポジティブ・フィードバック
エストロゲンの上昇が、逆にLHの大量放出を呼ぶ

排卵時の特殊制御Positive feedback

普段はネガティブ・フィードバック(ブレーキ)だけど、排卵直前だけはエストロゲン濃度の上昇を合図に「行け行けゴーゴー!」のポジティブ・フィードバックへ切り替わるにゃん!下垂体からLHが爆発的に出て(LHサージ)、一気に排卵を起こす特殊お祭りモードだにゃん。

3大軸の構造比較 / 型は同じ、名前が違うだけ
軸の名称視床下部下垂体前葉標的腺 → 最終ホルモン主な生理的役割
HPT軸(甲状腺軸)TRHTSH甲状腺 → T3・T4全身の基礎代謝・体温上昇
HPA軸(副腎軸)CRHACTH副腎皮質 → コルチゾールストレス対抗・血糖維持・抗炎症
HPG軸(性腺軸)GnRHLH・FSH精巣・卵巣 → 性ホルモン生殖機能・性徴発現・性周期

表は横スクロールできます →

上位からのアクセル(刺激)と、末梢からのブレーキ(フィードバック)が絶妙に拮抗することで、体内のホメオスタシスが精密に保たれているんだにゃん。どちらか一方が壊れると、内分泌疾患として表に出てくるにゃん。

ミニテスト(10問)

0 / 10 問正解

選ぶとすぐに正解と解説が出るにゃん。まちがえたら、上の表やカードに戻って確認してにゃ。

Q1.内分泌の説明として正しいのはどれ?

正解:導管を経由せず直接血液中へ分泌する 導管を介して体外や管腔内へ出すのは外分泌(汗・唾液など)です。

Q2.血中カルシウム濃度を低下させるホルモンはどれ?

正解:カルシトニン 甲状腺のC細胞から分泌され、血中Caを下げます。上げるのは上皮小体のPTHで、両者は対になっています。

Q3.下垂体後葉から放出されるホルモンの組み合わせはどれ?

正解:ADH・オキシトシン どちらも産生は視床下部で、後葉は貯蔵・放出の場です。他の選択肢はすべて前葉ホルモンです。

Q4.HPA軸の指令の順番として正しいのはどれ?

正解:CRH → ACTH → コルチゾール 視床下部の放出ホルモン → 下垂体前葉の刺激ホルモン → 標的腺の最終ホルモン、という3段階はどの軸でも共通です。

Q5.副腎皮質の球状帯から分泌されるのはどれ?

正解:アルドステロン 外側から球状帯=アルドステロン、束状帯=コルチゾール、網状帯=アンドロゲン。アドレナリンは皮質ではなく髄質です。

Q6.排卵直前に大量のLHが一気に放出される「LHサージ」は、どの制御によるもの?

正解:ポジティブ・フィードバック 通常は抑制方向ですが、排卵直前だけはエストロゲンの上昇が下垂体をさらに刺激します。

Q7.視床下部自身のホルモンが、自分自身の分泌を抑える回路はどれ?

正解:ウルトラショートループ(超短環) 下垂体から視床下部へ戻るのがショートループ、標的腺の最終ホルモンが上位へ戻るのがロングループです。

Q8.膵島で、隣のβ細胞とα細胞の分泌を直接抑えるのはどの細胞のホルモン?

正解:δ細胞のソマトスタチン 血流に乗せず隣の細胞に直接作用するパラクリン作用です。同名のホルモンが視床下部ではGH抑制として働く点も要注意。

Q9.赤血球の産生を促すホルモンと、その分泌臓器の組み合わせはどれ?

正解:エリスロポエチン/腎臓 腎臓は内分泌臓器でもあり、ほかにレニン(血圧調整系の起動)と活性型ビタミンD3(Ca吸収促進)を分泌します。

Q10.GnRHの分泌様式として正しいのはどれ?

正解:パルス状(間欠的)に分泌される 持続的に投与するとかえって下垂体の反応が落ちてしまうため、パルス状であることが生殖内分泌では重要です。