血球は、骨のなかの工場で毎日つくられているにゃん!
赤血球・白血球・血小板は、もとをたどればすべて「1種類の造血幹細胞」から生まれるにゃ。そこから2つのルートに分岐して、体の状態に合わせて造血因子が「増産だにゃん!」と指令を出しているんだにゃ。
酸素を運ぶ
止血の先発隊
リンパ球
1造血はどこで起こるか赤色骨髄という工場
血液中の細胞が生み出されるプロセス(造血:Hematopoiesis)は、主に骨の内部にある赤色骨髄で行われているにゃん!
赤色骨髄=血球をどんどん作っている稼働中の工場だにゃん。
黄色骨髄=造血を休んで脂肪を溜めている倉庫だにゃん。
静脈洞へGO=工場で完成した成熟血球だけが、薄い血管壁(静脈洞)を通り抜けて全身の血流へ繰り出すにゃん!
骨の断面
成長とともに手足の骨は中央から脂肪化していく
静脈洞から血流へ
成熟した血球だけが壁を通り抜ける
2造血幹細胞(HSC)すべての始まり
骨髄の中の特別な環境「造血ニッチStem cell niche」には、全血球の親分である造血幹細胞(HSC)が住んでいるにゃん。HSCは2つのスーパーパワーを持っているにゃ!
自己複製能
工場の従業員を自分で増やせる
多能性
必要な職種の細胞に姿を変えられる
複自己複製能Self-renewal
自分と同じ幹細胞をコピーして増やし、親分が絶滅しないように保つ能力だにゃん。
多多能性Multipotency
赤血球、白血球、血小板など、必要な職種の細胞へ姿を変えられる(分化する)能力だにゃん!
3分化の2つのルート骨髄系とリンパ系
造血幹細胞(HSC)から変身がスタートするとき、まず運命が2つに大きく分かれるにゃん。
造血の系統樹
左が骨髄系(CMP)、右がリンパ系(CLP)
図は横スクロールできます →
CMP共通骨髄系前駆細胞Common myeloid progenitor
- 赤血球系
- 前赤芽球などを経て、最後に核をポイッと追い出す脱核をして、酸素を運ぶ成熟赤血球になるにゃん。
- 巨核球系
- でっかい巨核球(Megakaryocyte)に育ち、その細胞質が細かくちぎれることで血小板ができるにゃん。
- 骨髄芽球・単球系
- 自然免疫を担当する顆粒球(好中球・好酸球・好塩基球)や、組織でマクロファージになる単球へ変化します。
CLP共通リンパ系前駆細胞Common lymphoid progenitor
- リンパ球
- 獲得免疫の主役であるB細胞・T細胞・NK細胞になるにゃん。
- T細胞だけの寄り道
- T細胞の未熟な前駆細胞は骨髄を出て胸腺へ移動し、そこで選別・成熟を受けます。「T」はThymus(胸腺)の頭文字です。
T細胞だけの「胸腺留学」だにゃん!
B細胞やNK細胞は骨髄内でそのまま育つけど、T細胞の未熟な前駆細胞だけは骨髄を出て**胸腺(Thymus)**へ引っ越し、そこで厳しく選別・成熟を受けるんだにゃん!「T」はThymusの頭文字だにゃ。
迷ったときの一発見分け方だにゃん!
「リンパ球(B・T・NK)だけがリンパ系(CLP)、あとは全部骨髄系(CMP)」と覚えるのがコツだにゃ!赤血球も血小板も好中球も単球も、みーんなCMPの子どもたちだにゃん。
4造血因子量とバランスの調節
「いまどの血球が足りないか」をキャッチして増産指令を出すのが、液性因子である造血因子(Hematopoietic growth factor)だにゃん!
エリスロポエチン(EPO)
腎臓から出て赤血球を増やす
トロンボポエチン(TPO)
巨核球を成熟させ血小板を出させる
G-CSF/GM-CSF
感染時に前線の細胞を増産する
| 造血因子 | 主な産生場所 | 役割・作用 |
|---|---|---|
| エリスロポエチン(EPO) | 腎臓 | 体内の酸素不足を察知し、赤血球の生産を強力にアクセルオン! |
| トロンボポエチン(TPO) | 肝臓・腎臓 | 巨核球を成熟させて、血小板の放出を促すにゃん。 |
| G-CSF/GM-CSF | 免疫細胞など | 感染や炎症が起きたとき、前線で戦う好中球や単球を猛スピードで増やすにゃん。 |
表は横スクロールできます →
名前の由来で覚えるとカンタンだにゃん!
エリスロ(赤)= 赤血球
トロンボ(血栓)=血小板
GM(Granulocyte-Macrophage)= 顆粒球・マクロファージ
酸素センサーを兼ねているEPOの産生場所が「腎臓」なのは、国試やテストで超狙われやすいポイントだにゃん!
5赤色骨髄と黄色骨髄稼働中の工場と、脂肪の倉庫
造血を行わない(休止している)骨髄は脂肪細胞が多く黄色く見えるため、黄色骨髄Yellow bone marrowと呼ばれます。ただし、ただの倉庫ではありません。
年齢による入れかわり
幼少期は全身が赤色骨髄、成長とともに手足から脂肪化
緊急時のバックアップ
黄色骨髄は「造血の予備タンク」
脂エネルギーの蓄積脂肪細胞
主に脂肪細胞(アディポサイト)で満たされており、体内のエネルギー貯蔵庫として機能しています。
再緊急時の造血バックアップ再転換
大出血や重度貧血、強い酸素不足のピンチになると、休んでいた黄色骨髄が赤色骨髄へと逆戻り(再転換)して造血を再開するんだにゃん!
MSC間葉系幹細胞の保持Mesenchymal stem cell
骨髄内には造血幹細胞だけでなく、骨・軟骨・脂肪細胞になれる間葉系幹細胞もいて、骨の代謝や組織修復をサポートしているにゃん。
| 項目 | 赤色骨髄(稼働工場) | 黄色骨髄(休止倉庫) |
|---|---|---|
| 主な成分 | 造血細胞、赤血球、各種前駆細胞 | 脂肪細胞(約80%以上) |
| 主な役割 | 造血(血球の継続的な生産) | 脂肪貯蔵・造血の予備タンク |
| 主な存在場所 | 骨盤、脊椎、胸骨、肋骨など(体幹の骨) | 大腿骨や上腕骨の中央部(四肢の長管骨) |
| 年齢変化 | 幼少期に最も多く、加齢で減少 | 加齢とともに増加(骨髄の脂肪化) |
表は横スクロールできます →
生まれたばかりの時期は全身の骨髄が赤色骨髄で活発に血を作っているにゃん。成長とともに手足の骨から徐々に脂肪化して黄色骨髄に置き換わるけれど、いざとなれば赤に戻せるという余力を残しているにゃん。
造血のしくみのミニテスト(10問)
0 / 10 問正解選ぶとすぐに正解と解説が出ます。まちがえた項目だけ、上の図や表に戻って確認してください。
Q1.造血が主に行われる場所はどこ?
正解:赤色骨髄 骨髄の中の造血ニッチに造血幹細胞が存在します。黄色骨髄は脂肪が主体で、通常は造血を休止しています。
Q2.造血幹細胞がもつ2つの重要な能力の組み合わせはどれ?
正解:自己複製能と多能性 自分のコピーを作って枯渇を防ぎつつ、さまざまな血球へ分化できます。
Q3.赤血球が成熟の最終段階で行うことはどれ?
正解:脱核 核を失うことで、酸素を運ぶことに専念した成熟赤血球になります。細胞質がちぎれるのは巨核球から血小板ができる過程です。
Q4.血小板はどの細胞からできる?
正解:巨核球 巨大に成長した巨核球の細胞質が細かくちぎれることで血小板ができます。
Q5.顆粒球(好中球・好酸球・好塩基球)や単球はどちらの系統から生まれる?
正解:CMP リンパ球(B・T・NK細胞)だけがCLP由来で、赤血球・血小板・顆粒球・単球はすべてCMP由来です。
Q6.T細胞の未熟な前駆細胞が選別・成熟を受ける場所はどこ?
正解:胸腺 T細胞の「T」はThymus(胸腺)に由来します。B細胞やNK細胞は骨髄で成熟します。
Q7.エリスロポエチン(EPO)の産生場所と作用の組み合わせはどれ?
正解:腎臓/赤血球 腎臓が体内の酸素不足を察知して分泌します。腎不全で貧血が起こるのはこの機能が落ちるためです。
Q8.トロンボポエチン(TPO)の主な作用はどれ?
正解:巨核球の成熟と血小板の放出 主に肝臓(と腎臓)で産生されます。好中球・単球を増やすのはG-CSF/GM-CSFです。
Q9.黄色骨髄の説明として正しいのはどれ?
正解:脂肪細胞が主体で、再転換できる 大出血・重度の貧血・著しい酸素不足などの刺激で赤色骨髄に戻り、造血を再開します。
Q10.成熟した血球が骨髄から血液循環へ出ていくときに通る構造はどれ?
正解:静脈洞 骨髄内にある薄い壁の血管で、成熟した血球だけがこの壁を通り抜けて全身へ送り出されます。
造血のしくみ|掲載の図はすべてしくみと位置関係を示す模式図です。細胞の大きさや形は実際とは異なります。
ミニテストの結果はこのページ内だけで保持され、保存されません。