獣医師法|【獣医師国家試験対策】

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獣医師法は、獣医師の免許と、獣医師が診療するときに守るべき義務を定めた法律です。国家試験では、法規の中で最も多く出題されており、過去5回すべてで問われています。

本記事では、条文の順番に沿って「免許を得る → 免許を失う → 診療を独占する → 診療に伴う義務を果たす」という流れで整理しました。条文の内容は、e-Gov法令検索の法令データに基づいて確認しています。

過去問分析

過去の出題では、次の形式が問われています。

  • 業務の独占:獣医師でなければ診療できない飼育動物(うずらなど)
  • 免許:罰金以上の刑を受けた場合の免許の扱い
  • 義務:応招義務、診療せずに薬を処方することの禁止、診療簿の記載と保存期間(牛などは8年)
この記事で押さえること
  • 獣医師の任務と、名称独占・業務独占
  • 免許を「与えない」場合と「与えないことがある」場合の違い
  • 免許の取消し・業務停止の理由と、獣医事審議会の役割
  • 獣医師でなければ診療できない飼育動物の範囲
  • 無診察での禁止、応招義務、保健衛生の指導、診療簿、2年ごとの届出
  • 臨床研修が努力義務であること

1. 総則 — 獣医師の任務と名称

  • 任務(1条):獣医師は、飼育動物に関する診療と保健衛生の指導その他の獣医事をつかさどることで、動物に関する保健衛生の向上と畜産業の発達を図り、あわせて公衆衛生の向上に寄与する
  • 飼育動物(1条の2):一般に人が飼育する動物
  • 名称独占(2条):獣医師でない者は、獣医師またはこれに紛らわしい名称を使ってはならない

2. 免許

2-1. 免許を受けるには

獣医師国家試験に合格し、手数料を納めて、農林水産大臣の免許を受けます(3条)。免許は、農林水産省に備える獣医師名簿に登録することによって与えられ、獣医師免許証が交付されます(6条・7条)。

2-2. 免許を与えない場合(欠格事由)

  • 与えない(絶対的欠格事由、4条):未成年者
  • 与えないことがある(相対的欠格事由、5条):心身の障害により獣医師の業務を適正に行えない者(省令で定めるもの)、麻薬・大麻・あへんの中毒者、罰金以上の刑に処せられた者、獣医師道に対する重大な背反行為や獣医事に関する不正の行為があった者または著しく徳性を欠くことが明らかな者、品位を損なう行為で免許を取り消された者

相対的欠格事由にあたる人から申請があったときは、農林水産大臣は獣医事審議会の意見を聴いて、免許を与えるかどうかを決めます。

2-3. 免許の取消しと業務停止(8条)

本人から申請があれば、免許は取り消されます。そのほか、次の場合には、農林水産大臣が獣医事審議会の意見を聴いて、免許の取消しまたは期間を定めた業務停止を命じることができます。

  • 正当な理由なく診療を拒んだとき(応招義務の違反)
  • 2年ごとの届出をしなかったとき
  • 相対的欠格事由(罰金以上の刑など)にあたることになったとき
  • 獣医師としての品位を損なう行為をしたとき
罰金以上の刑を受けたら

罰金以上の刑(酒気帯び運転などによる罰金を含む)を受けると、免許を取り消されたり業務停止を命じられたりすることがあります。「必ず取り消される」わけではなく、獣医事審議会の意見を聴いて処分が決められる点が問われます。

3. 試験と臨床研修

  • 試験の目的(10条):飼育動物の診療上必要な獣医学と、獣医師として必要な公衆衛生に関する知識と技能について行う
  • 実施(11条):獣医事審議会が、農林水産大臣の監督の下で、毎年少なくとも1回行う
  • 受験資格(12条):大学(短期大学を除く)で獣医学の正規の課程を修めて卒業した者、外国の獣医学校の卒業者などで審議会が認定した者、予備試験に合格した者
  • 臨床研修(16条の2):診療を業務とする獣医師は、免許を受けた後も、大学の附属の診療施設や農林水産大臣の指定する診療施設で臨床研修を行うよう努める(努力義務)

4. 業務 — 診療の独占と義務

4-1. 飼育動物診療業務の制限(17条)

獣医師でなければ、次の飼育動物の診療を業務としてはなりません(業務独占)。

  • 法律で定める動物:牛、馬、めん羊、山羊、豚、犬、猫、鶏、うずら
  • 政令で定める動物:オウム科、カエデチョウ科、アトリ科の全種の鳥

愛玩動物看護師は、この規定にかかわらず、獣医師の指示の下で診療の補助を行うことができます(愛玩動物看護師法の解説)。

4-2. 自ら診察しないでしてはならないこと(18条)

  • 自ら診察しないで診断書を交付すること
  • 自ら診察しないで劇毒薬、生物学的製剤(ワクチンなど)その他省令で定める医薬品(要指示医薬品など)を投与・処方すること
  • 自ら出産に立ち会わないで出生証明書・死産証明書を交付すること
  • 自ら検案しないで検案書を交付すること

ただし、診療中に死亡した場合の死亡診断書は、この限りではありません。緊急の場合でも、診察せずに薬を処方することは認められていません。

4-3. 診療と診断書の交付の義務(19条)

  • 応招義務:診療を業務とする獣医師は、診療を求められたときは、正当な理由がなければ拒んではならない
  • 交付義務:診療・立会い・検案をした獣医師は、診断書などの交付を求められたとき、正当な理由がなければ拒んではならない

応招義務の違反そのものには罰則がありませんが、免許の取消しや業務停止の理由になります。

4-4. 保健衛生の指導(20条)

獣医師は、飼育動物を診療したときは、その飼育者に対して、衛生管理の方法など、保健衛生の向上に必要な事項を指導しなければなりません(義務)。

4-5. 診療簿と検案簿(21条)

  • 診療をしたら診療簿に、検案をしたら検案簿に、遅滞なく記載する
  • 3年以上で省令で定める期間保存する。牛・めん羊・山羊など(省令で定める反芻動物)は8年、そのほかの動物は3年
  • 農林水産大臣や都道府県知事は、必要なとき、職員に診療簿と検案簿(電磁的記録を含む)を検査させることができる

牛などの保存期間が長いのは、牛海綿状脳症(BSE)のように、発症までの期間が長い病気の調査に備えるためです。

4-6. 届出の義務(22条)

獣医師は、2年ごとの年の12月31日現在の氏名・住所などを、翌年の1月31日までに、住所地の都道府県知事を経由して農林水産大臣に届け出なければなりません。

5. 獣医事審議会

獣医師国家試験に関する事務や、獣医師法・獣医療法で定められた事項を処理するため、農林水産省に置かれています(24条)。免許の欠格事由の判断や、免許の取消し・業務停止の処分のときに意見を述べます。

6. 獣医師法で国家試験に狙われるポイント

  • 任務:動物に関する保健衛生の向上、畜産業の発達、公衆衛生の向上
  • 名称独占と業務独占:2条と17条
  • 免許:農林水産大臣。獣医師名簿への登録で与えられる
  • 欠格事由:未成年者には与えない。罰金以上の刑などは与えないことがある(獣医事審議会の意見)
  • 取消し・業務停止:診療拒否、届出をしない、欠格事由、品位を損なう行為
  • 飼育動物:牛・馬・めん羊・山羊・豚・犬・猫・鶏・うずら+オウム科・カエデチョウ科・アトリ科の鳥
  • 無診察での禁止:診断書、劇毒薬・生物学的製剤・要指示医薬品などの投与と処方、出生・死産証明書、検案書
  • 応招義務:正当な理由がなければ拒めない
  • 診療簿:遅滞なく記載、牛・めん羊・山羊などは8年、ほかは3年
  • 届出:2年ごと、12月31日現在、翌年1月31日まで、都道府県知事経由で農林水産大臣へ
  • 臨床研修:努力義務

7. 獣医師法の確認問題

Q1. 獣医師法で、獣医師の免許を「与えない」とされている者と、「与えないことがある」とされている者の例を答えよ。

A. 与えないとされているのは未成年者。与えないことがあるとされているのは、罰金以上の刑に処せられた者、麻薬・大麻・あへんの中毒者、心身の障害により業務を適正に行えない者、獣医事に関する不正の行為があった者などで、その場合は獣医事審議会の意見を聴いて決められる。

Q2. 獣医師でなければ診療を業務としてはならない飼育動物のうち、法律に直接書かれている動物を挙げよ。

A. 牛、馬、めん羊、山羊、豚、犬、猫、鶏、うずら。このほか政令で、オウム科、カエデチョウ科、アトリ科の全種の鳥が定められている。

Q3. 急を要する状況で、獣医師が動物を診察しないまま要指示医薬品を処方した。この行為は認められるか。

A. 認められない。獣医師法は、自ら診察しないで劇毒薬、生物学的製剤、要指示医薬品などを投与・処方することを禁止しており、緊急の場合でも例外にはならない。

Q4. 牛の診療簿の保存期間と、それがほかの動物より長い理由を述べよ。

A. 8年。牛海綿状脳症のように発症までの期間が長い病気の調査に備えるためである。そのほかの動物の診療簿は3年。

Q5. 獣医師の届出義務の内容を、時期と届出先を含めて述べよ。

A. 2年ごとの年の12月31日現在の氏名・住所などを、翌年の1月31日までに、住所地の都道府県知事を経由して農林水産大臣に届け出なければならない。届出をしなかった場合は、免許の取消しや業務停止の理由になる。

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理解度チェック

詳細な解説

参考文献

執筆・編集:Vet Study Library 編集部
監修:獣医師(農林水産省 獣医師名簿第44733号登録)/小動物臨床、環境衛生監視員としての実務経験、獣医療系出版社での獣医学情報誌・獣医学書籍の編集経験、医療系情報サイトでの執筆経験
公開日:2026年9月29日/最終更新日:2026年9月29日
本記事は獣医学生および獣医療従事者の学習支援を目的とした教育用コンテンツです。実際の診療上の判断は担当獣医師の責任において行ってください。