応用獣医学 > 獣医事法規 > 獣医療法と愛玩動物看護師法
獣医療法は、獣医師が診療を行う診療施設と、地域で獣医療を提供する体制について定めた法律です。愛玩動物看護師法は、獣医師とともにチームで獣医療を担う愛玩動物看護師の資格と業務を定めた法律です。どちらも必須問題で出題されています。
本記事では、獣医師法が「人」を定めているのに対し、獣医療法は「場所」を、愛玩動物看護師法は「チームのもう一人」を定めている、という関係で整理しました。条文の内容は、e-Gov法令検索の法令データに基づいて確認しています。
過去の出題では、次の形式が問われています。
- 獣医療法:往診のみで診療する場合の届出(診療車両ではなく住所)、診療施設に必要な設備(消毒設備)
- 愛玩動物看護師法:愛玩動物看護師が行える業務(猫の採血など)、麻薬施用者免許が与えられないこと
- 診療施設の開設の届出(開設から10日以内、都道府県知事)
- 診療施設の管理者は獣医師であること
- 往診のみの獣医師は、住所を診療施設とみなして届け出ること
- 広告できるのは専門科名と学位・称号などに限られること
- 愛玩動物看護師の診療の補助は、獣医師の指示の下で行う業務独占であること
- 対象の愛玩動物は犬・猫と一部の鳥であること
1. 獣医療法
1-1. 目的と定義
診療施設の開設と管理、獣医療を提供する体制の整備に必要なことを定めて、適切な獣医療の確保を図ることが目的です(1条)。診療施設とは、獣医師が飼育動物の診療の業務を行う施設をいいます(2条)。
1-2. 診療施設の開設と管理
- 開設の届出(3条):診療施設を開設した者は、開設の日から10日以内に、所在地の都道府県知事に届け出なければならない。休止・廃止・届出事項の変更も同じ
- 構造設備(4条):省令で定める基準に適合しなければならない。診療に必要な消毒設備や、エックス線装置を使う場合の放射線の防護などが定められている
- 管理者(5条):開設者は、自ら獣医師として管理する場合のほか、獣医師に管理させなければならない。獣医師でない人も開設者にはなれるが、管理者は必ず獣医師
- 使用制限命令(6条):構造設備が基準に合わないときなどは、都道府県知事が使用の制限や修繕を命じることができる
1-3. 往診のみで診療する場合(7条)
往診だけで診療を行う獣医師などは、その住所を診療施設とみなして、開設の届出を行います。届け出るのは往診に使う車両ではなく、住所です。診療用の機器を持つ場合は、その管理についても診療施設と同じ規定が準用されます。
往診のみの獣医師が届け出るのは住所で、診療車両の届出を求める規定はありません。過去問でこの点が問われています。
1-4. 獣医療を提供する体制(10条・11条)
農林水産大臣は、獣医療を提供する体制を整備するための基本方針を定めなければなりません(獣医事審議会の意見を聴く)。都道府県は、基本方針に即して都道府県計画を定めることができます。産業動物の獣医師の確保などは、この体制の中で進められます。
1-5. 広告の制限(17条)
何人も、獣医師や診療施設の技能、療法、経歴について広告してはなりません。ただし、次のものは広告できます。
- 獣医師または診療施設の専門科名
- 獣医師の学位または称号
- そのほか、広告しても差し支えないものとして省令で定めるもの
飼い主が誇大な広告で誤った選択をしないよう、技能や治療成績をうたう広告は制限されています。
1-6. 報告と立入検査(8条)
農林水産大臣や都道府県知事は、開設者や管理者に報告を求め、職員に診療施設への立入検査をさせることができます。この立入検査は、犯罪捜査のためのものと解釈してはならないと定められています。
2. 愛玩動物看護師法
2-1. 愛玩動物看護師とは
愛玩動物看護師は、農林水産大臣と環境大臣の免許を受けた国家資格です。愛玩動物看護師国家試験に合格して免許を受けます。業務は次の3つです(2条2項)。
- 診療の補助:愛玩動物の診療の一環として行われる、衛生上の危害を生じるおそれが少ない行為で、獣医師の指示の下に行われるもの(採血、投薬、マイクロチップの装着など)
- 愛玩動物の看護:病気やけがの愛玩動物の世話
- 飼い主などへの支援:愛護と適正な飼養についての助言
2-2. 業務独占と名称独占
- 業務独占:診療の補助は、獣医師法17条(獣医師でなければ診療を業務としてはならない)の規定にかかわらず、愛玩動物看護師が業として行える(40条)。獣医師と愛玩動物看護師以外は、業として行えない
- 名称独占:愛玩動物看護師でない者は、愛玩動物看護師やこれに紛らわしい名称を使ってはならない
- 独占ではない業務:看護と飼い主への支援は、愛玩動物看護師の独占業務ではない
2-3. 対象となる愛玩動物
獣医師法17条の飼育動物のうち、犬、猫と、政令で定めるオウム科、カエデチョウ科、アトリ科の全種の鳥です。牛や馬などの産業動物は対象ではありません。
2-4. できないこと
- 獣医師の指示なしに診療の補助を行うこと
- 診断や手術など、衛生上の危害を生じるおそれが大きい行為
- 麻薬施用者の免許を受けること:麻薬施用者の免許は医師・歯科医師・獣医師に与えられるもので、愛玩動物看護師は受けられない(動物用医薬品の法規の解説)
3. 獣医療法と愛玩動物看護師法で国家試験に狙われるポイント
- 獣医療法の目的:適切な獣医療の確保
- 開設の届出:開設の日から10日以内、所在地の都道府県知事へ。休止・廃止・変更も
- 管理者:獣医師でなければならない(開設者は獣医師でなくてもよい)
- 往診のみ:住所を診療施設とみなして届出
- 構造設備:消毒設備、放射線の防護など
- 体制:農林水産大臣が基本方針、都道府県は計画を定めることができる
- 広告:技能・療法・経歴は不可。専門科名と学位・称号などは可
- 愛玩動物看護師:農林水産大臣と環境大臣の免許。診療の補助は獣医師の指示の下での業務独占、名称独占。対象は犬・猫と一部の鳥。麻薬施用者にはなれない
4. 獣医療法と愛玩動物看護師法の確認問題
Q1. 動物病院を開設したときの届出について、期限と届出先を答えよ。
A. 開設の日から10日以内に、所在地を管轄する都道府県知事に届け出なければならない。休止、廃止、届出事項の変更のときも同じである。
Q2. 往診のみで診療を行う獣医師は、何を診療施設とみなして届け出るか。
A. その獣医師の住所を診療施設とみなして届け出る。往診に使う車両を届け出る規定はない。
Q3. 獣医療法で、獣医師や診療施設について広告が認められている事項を挙げよ。
A. 専門科名、獣医師の学位または称号、そのほか省令で定めるもの。技能、療法、経歴に関する広告は原則として禁止されている。
Q4. 愛玩動物看護師が行う「診療の補助」とはどのような行為か。
A. 愛玩動物に対する診療の一環として行われる、衛生上の危害を生じるおそれが少ないと認められる行為で、獣医師の指示の下に行われるもの。採血、投薬、マイクロチップの装着などがあたる。
Q5. 愛玩動物看護師法の対象となる「愛玩動物」を答えよ。
A. 獣医師法17条の飼育動物のうち、犬、猫と、政令で定めるオウム科・カエデチョウ科・アトリ科の全種の鳥。
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理解度チェック
- 問題集:必須(法規) — 必須問題の形式で、法規の知識を確認できます。
詳細な解説
- 分野別まとめ:獣医事法規 — 法律を「誰を、何のために規制するか」で整理し、所管と事例問題をまとめています。
- 獣医師法 — 獣医師の免許と、診療に伴う義務を扱います。
- 動物用医薬品の法規 — 麻薬施用者の免許を扱います。