原虫は宿主の体の中で増える。ここが蠕虫との決定的な違いにゃん
回虫や条虫は、1匹入ったら1匹のままにゃん。でも原虫は単細胞なので、宿主の体内でどんどん分裂して増えるにゃん。だから「たった数個のオーシストを飲んだだけ」で重い下痢になるし、駆虫薬の考え方もまるごと違うにゃん。この記事では、犬猫と産業動物で押さえておきたい7種を、3つのグループに分けて整理するにゃん。
トキソ・ネオスポラ・コクシ・クリプト
ジアルジア・リーシュマニア
赤痢アメーバ
1原虫と蠕虫は何が違う?まずここを押さえる
原虫は単細胞の真核生物にゃん。多細胞の蠕虫(回虫・条虫・吸虫)とは、生き方も、診断も、薬も全部違うにゃん。
蠕虫と原虫のちがい
体内で増えるかどうかが、診断と治療の考え方を分ける
- 単細胞であるだから顕微鏡で探す原虫は1個の細胞でできた真核生物にゃん。クリプトスポリジウムのオーシストは直径4〜6µmしかなくて、ふつうの糞便検査だと見落とすにゃん。専用の染色や抗原検査が必要になる理由はここにゃん。
- 宿主の体内で増えるいちばん重要な違い蠕虫は体内で数が増えないけれど、原虫は分裂で増幅するにゃん。だからわずかなオーシストの摂取でも重い下痢になりうるにゃん。クリプトスポリジウムには自家感染という仕組みまであって、薄壁オーシストが排出されずに腸管内で脱嚢して同じ宿主に再感染するにゃん。
- 探すのは虫卵ではないオーシストとシスト糞便検査で探すのはオーシスト(アピコンプレックス門)かシスト(ジアルジア・赤痢アメーバ)にゃん。虫卵とは大きさも比重も違うので、浮遊液の選び方まで変わるにゃん。
- 駆虫薬は効かない薬がまるごと違うプラジクアンテルは条虫・吸虫用で、原虫にはまったく効かないにゃん。原虫にはサルファ剤、トルトラズリル、メトロニダゾール、クリンダマイシンなど抗原虫薬を使うにゃん。この引っかけは試験でも頻出にゃん。
用語の整理にゃん。オーシストは有性生殖のあとにできる殻つきの接合子で、アピコンプレックス門がつくるにゃん。シストは栄養型が被嚢して外界に耐える形で、ジアルジアや赤痢アメーバがつくるにゃん。組織シストはまた別物で、トキソプラズマやネオスポラが筋肉や脳の中につくる潜伏形態にゃん。名前が似ていて混ざりやすいので、ここで分けておくにゃん!
2原虫を3つに分ける動き方と生活環で分類
獣医領域で押さえる原虫は、アピコンプレックス門・鞭毛虫類・アメーバ類の3つに分けると整理しやすいにゃん。
原虫の3グループ
色はこのページ全体で共通。緑=アピコンプレックス、紺=鞭毛虫、紫=アメーバ
- アピコンプレックス門胞子虫類すべて細胞内寄生で、有性生殖と無性生殖の両方を生活環に含むにゃん。有性生殖の結果できるのがオーシストにゃん。「終宿主=有性生殖してオーシストを出す宿主」という定義がそのまま効いてくるグループにゃん。トキソプラズマネオスポラコクシジウムクリプトスポリジウム
- 鞭毛虫類Flagellates鞭毛を使って運動するグループにゃん。同じ鞭毛虫でも、ジアルジアは腸管の粘膜表面、リーシュマニアはマクロファージの中と、すむ場所がまったく違うにゃん。リーシュマニアはサシチョウバエに媒介されるので、生活環に昆虫が入るにゃん。ジアルジアリーシュマニア
- アメーバ類根足虫類偽足を伸ばして形を変えながら這うグループにゃん。赤痢アメーバは蛋白分解酵素で粘膜を溶かして組織に侵入するのが最大の特徴で、粘膜表面に付着するだけのジアルジアとは病態が根本的に違うにゃん。赤痢アメーバ
3いちばん効く問い外界で待つ時間はあるか
原虫の問題で迷ったら、まずこれを聞くにゃん。排出された瞬間から感染力があるのか、外界で成熟する時間が要るのか。この一点で、予防法も施設内での広がり方も決まるにゃん。
外界での成熟が要るかどうか
この違いが、掃除で防げるか/一気に広がるかを分ける
- 外界での胞子形成が必要トキソプラズマ・コクシジウム排出されるのは未熟な非胞子形成オーシストにゃん。外界の酸素と適度な温度・湿度のもとで1〜5日かけて胞子形成して、初めて感染性を持つにゃん。だからネコのトイレを24時間以内に掃除すれば感染リスクを大きく下げられるにゃん。妊婦さんへの説明でも必ず出てくる話にゃん。ただし胞子形成後のオーシストは土壌中で1年以上生存するので、いったん環境に出たら厄介にゃん。
- 排出直後から感染性があるクリプトスポリジウム・ジアルジア体内ですでに成熟を終えているので、出た瞬間から次の宿主に感染できるにゃん。待ち時間がないぶん、繁殖施設やシェルターのような多頭飼育環境ではあっという間に全頭に広がるにゃん。クリプトスポリジウムはさらに塩素に強い抵抗性を示して水道水の消毒では死なないので、水系を介した集団感染を起こすにゃん。
環境対策の合言葉は「熱と乾燥」にゃん。原虫のオーシストやシストは殻が丈夫で、一般的な消毒薬や塩素はほとんど効かないにゃん。有効なのは熱湯・スチーム・乾燥、水では煮沸・ろ過・紫外線にゃん。「消毒薬をまいたから大丈夫」は通用しないにゃん!
4アピコンプレックス門の4種オーシストをつくるグループ
このグループは終宿主が誰かと中間宿主が要るかで性格が分かれるにゃん。とくにトキソプラズマとネオスポラは形が似ていて、終宿主だけが決定的な違いになるにゃん。
トキソプラズマとネオスポラ
形は酷似、終宿主は正反対。ネコとイヌで対になっている
- トキソプラズマToxoplasma gondii終宿主はネコ科動物のみにゃん。腸管上皮細胞内での有性生殖とオーシスト形成が成立するのはネコ科だけで、イヌを含む他の温血動物はすべて中間宿主にゃん。中間宿主の体内では、急性期にタキゾイトが全身に散布され、免疫が成立すると増殖の遅いブラディゾイトへ移行して、骨格筋・心筋・脳に組織シストを形成して終生潜伏するにゃん。免疫抑制状態になるとシストから再びタキゾイトが出てきて発症するにゃん。ネコの感染経路:組織シストを含むげっ歯類や生肉の摂取が最も効率的で、感染後3〜10日で排出が始まるにゃん。オーシスト摂取だと18日以上かかって成立率も低いにゃん。排出は初感染後の1〜2週間だけで通常は生涯に一度、でもその短期間に数百万個出るにゃん。排出期間が短いことが、糞便検査が実用的でない理由にゃん。診断・治療:ペア血清(2〜3週間隔)でのIgM・IgG抗体価の有意な上昇を確認するにゃん。第一選択はクリンダマイシンにゃん。
- ネオスポラNeospora caninum終宿主はイヌとコヨーテにゃん。形態がトキソプラズマと酷似するけれど、終宿主がネコ科かイヌかが両者を分ける最大の鍵にゃん。中間宿主では同じくタキゾイトとブラディゾイトの様式をとり、組織シストは主に中枢神経と筋肉に形成されるにゃん(シストの壁が厚いなど微細構造に差があるにゃん)。ウシでの重要性:世界的に牛の流産の主要原因のひとつにゃん。群れの中では母牛から胎子への経胎盤感染が世代を越えて続くことで維持され、牛どうしの直接接触では伝播しないにゃん。妊娠中期の流産・死産が典型で、母牛自身は通常無症状にゃん。イヌでの病態:終宿主でありながら中間宿主としても振る舞い、経胎盤感染した子犬では後肢の進行性麻痺、とくに伸展したまま固まる強直性麻痺と筋萎縮を示すにゃん。終宿主が無症状であるトキソプラズマとネコの関係とは違うにゃん。牧場での対策:血清抗体検査で陽性牛を把握し、イヌを飼料庫や牧草地に近づけない、流産胎子や胎盤をイヌに食べさせない、抗体陽性牛からの後継牛を残さないにゃん。制限すべきはネコではなくイヌにゃん。
- コクシジウムCystoisospora spp.中間宿主を必要としない直接発育型で、同一宿主の腸管内で無性生殖と有性生殖が完結するにゃん。摂取されたスポロゾイトは腸管上皮細胞に侵入し、まずメロゴニー(無性生殖)で急速に増殖して多数の細胞を破壊し、続いてガメトゴニー(有性生殖)を経てオーシストを形成するにゃん。この上皮細胞の破壊が下痢の直接原因にゃん。プレパテントピリオドは4〜11日と短いにゃん。オーシストの型:シストイソスポラはイソスポラ型(2個のスポロシスト × 各4個のスポロゾイト)にゃん。4×2のアイメリア型は鶏や牛など他の動物のコクシジウムにゃん。「2×4か4×2か」は定番の出題にゃん。待機宿主:げっ歯類がオーシストを摂取すると虫体は組織内に単胞子嚢体として留まり、これを犬猫が捕食すると感染が成立するにゃん。オーシストの直接摂取と並ぶ経路にゃん。好発と診断:発症は離乳期前後の幼若動物で、密飼い・衛生不良・輸送ストレスが誘因にゃん。成犬・成猫は無症状キャリアになりやすいにゃん。診断は糞便浮遊法、治療はサルファ剤・トルトラズリル・ジクラズリルにゃん。宿主特異性が高くヒトには感染しない(ヒトのイソスポラ症はヒト固有種の Cystoisospora belli)ので、飼い主に明確に伝えられるようにしておくにゃん。
- クリプトスポリジウムCryptosporidium parvumオーシストは直径4〜6µmと極めて小型で、体内ですでに胞子形成を終えているので排出された瞬間から感染性を持つにゃん。さらに厚い殻に守られて塩素に強い抵抗性を示し、水道水の消毒では死なないにゃん。有効なのは煮沸・ろ過・紫外線処理にゃん。寄生位置がユニーク:虫体は小腸上皮細胞の微絨毛に包み込まれるけれど、細胞質の中には入らないにゃん。細胞膜の内側にありながら細胞質の外側という細胞内・細胞質外寄生にゃん。薬剤が届きにくい要因のひとつとされ、治療の難しさにつながっているにゃん。自家感染:産生されるオーシストの一部は薄壁で、排出されずに腸管内で脱嚢して同じ宿主に再感染するにゃん。わずかな摂取から大量の虫体に増幅されるので、免疫不全個体では歯止めが利かず遷延性の重度下痢になるにゃん。診断と人獣共通性:小さすぎて通常の糞便検査では見落とすため、キニヨン抗酸染色・蛍光抗体法・糞便抗原検査を使うにゃん。宿主域が広く、子牛との接触や汚染水を介してヒトに感染するにゃん。健康な人では自然軽快するけれど、免疫不全者では致命的になることがあるにゃん。特効薬はなく輸液中心の支持療法にゃん。
5鞭毛虫類の2種すむ場所がまるで違う
同じ鞭毛虫でも、ジアルジアは腸管の粘膜表面、リーシュマニアはマクロファージの中。まったく別世界に住んでいるにゃん。
- ジアルジアGiardia duodenalis2つの形をとるにゃん。腸管内で増える栄養型は洋ナシ型で、2個の核と8本の鞭毛を持ち、腹面の吸着円板で粘膜に付着するにゃん。外界へ出る感染型のシストは楕円形で4個の核を持つにゃん。体内での動き:シストは胃酸と膵酵素の刺激で脱嚢し、栄養型が十二指腸から空腸の粘膜表面に付着するにゃん。二分裂で増えたあと下部小腸で再び被嚢して糞便へ出るにゃん。プレパテントピリオドは5〜16日にゃん。下痢の仕組み:組織内へは侵入せず、粘膜表面を覆って微絨毛を障害し、吸収面積を減らすにゃん。その結果、脂肪を含む灰白色〜淡黄色の軟便と慢性・間欠的な小腸性下痢、体重減少が起きるにゃん。血便やしぶりは通常みられないのが、大腸性の病態との鑑別点にゃん。診断のコツ:シストは比重の高い浮遊液では変形して見分けにくくなるので、硫酸亜鉛による遠心浮遊法が適するにゃん。新鮮便の直接塗抹では運動する栄養型が見えるにゃん。糞便抗原のELISAやイムノクロマトも有用にゃん。排出が間欠的なので複数日にわたる反復検査が推奨されるにゃん。治療はフェンベンダゾールやメトロニダゾールで、被毛に付着したシストによる再感染を防ぐため薬浴と環境の乾燥・消毒を併せて行うにゃん。人獣共通性:遺伝子型で宿主域が違って、イヌはCとD、ネコはF、ヒトはAとBが中心にゃん。伝播リスクは限定的だけど、イヌ・ネコからAやBが出ることもあるので、乳幼児や免疫不全者のいる家庭では手洗いの徹底を勧めるにゃん。
- リーシュマニアLeishmania infantum媒介するのは体長3mm程度の吸血性昆虫サシチョウバエにゃん。日本にはサシチョウバエが分布しないため国内感染は成立しないにゃん。宿主によって形が変わる二形性が特徴で、哺乳類の体内では鞭毛のない円形の無鞭毛型(アマスチゴート)、サシチョウバエの消化管内では細長い前鞭毛型になるにゃん。すむ場所:マクロファージに貪食されながら殺されず、ファゴリソソームの中で分裂増殖するにゃん。本来なら排除する側の細胞を住処にしてしまうのが巧妙にゃん。感染マクロファージとともに脾臓・肝臓・骨髄・リンパ節という単核食細胞系の豊富な臓器へ広がり、著明な脾腫・肝腫・リンパ節腫大・汎血球減少をきたすにゃん。ヒトではカラアザールと呼ばれ、無治療では致死的にゃん。イヌの所見:眼のまわりを中心とした脱毛と落屑、皮膚潰瘍、爪の異常な過長、体重減少、脾腫、リンパ節腫大にゃん。免疫複合体による糸球体腎炎から蛋白尿をきたし、腎不全が死因になることも多いにゃん。イヌは流行地における主要な保虫宿主で、日本では輸入例として問題になるにゃん。診断・治療:骨髄・リンパ節・脾臓の穿刺塗抹でマクロファージ内の無鞭毛型を確認するのが確実にゃん。血清抗体検査やPCRも併用するにゃん。アンチモン剤やミルテホシンにアロプリノールを併用するけれど、虫体を完全に排除できず再発が多いので長期管理が必要にゃん。
6アメーバ類組織に侵入する原虫
赤痢アメーバは、このページで唯一大腸に定着して組織を溶かす原虫にゃん。病変の形まで独特にゃん。
- 赤痢アメーバEntamoeba histolytica感染型は成熟した4核のシストにゃん。栄養型は偽足で運動するけれど、体外に出ると乾燥や胃酸に耐えられず速やかに死滅するので感染源にならないにゃん。下痢便に栄養型が見えても、それは感染源ではないという点が重要にゃん。感染はシストに汚染された水・食品・手指を介した糞口感染で、媒介昆虫は関与しないにゃん。定着部位:胃酸を通過したシストは小腸下部で脱嚢し、栄養型が大腸へ移って粘膜に定着するにゃん。盲腸から上行結腸、直腸に病変が出やすいにゃん。小腸ではなく大腸が主座である点が、ジアルジアやコクシジウムとの違いにゃん。フラスコ状潰瘍:栄養型は蛋白分解酵素を分泌して粘膜上皮を溶かし、粘膜下組織に達してから横に広がるにゃん。だから入口が狭く底が広いフラスコ状の潰瘍になるにゃん。粘膜表面に付着するだけのジアルジアとは異なり、組織侵入性を持つのが病態の核心にゃん。症状と腸管外病変:大腸の潰瘍から粘液と血液が混じり、イチゴゼリー状の粘血便としぶりを示す典型的な大腸性下痢にゃん。粘膜下の血管に侵入した栄養型が門脈を経て肝臓に達し、アメーバ性肝膿瘍を形成するにゃん。右葉に多く、発熱と右季肋部痛を示し、内容はチョコレート状と表現されるにゃん。腸管症状がないまま肝膿瘍で見つかる例もあるにゃん。診断・治療:下痢便では赤血球を貪食した栄養型を、有形便ではシストを探すにゃん。抗原検査やPCR、血清抗体検査も有用にゃん。治療はメトロニダゾール、腸管内のシストにはパロモマイシンなどを追加するにゃん。
7まぎらわしいペアの整理どこで切るかを決めておく
原虫で迷うのはいつも同じ組み合わせにゃん。切り分ける基準を1つだけ覚えておけば、もう間違えないにゃん。
寄生する位置のちがい
表面か、細胞内か、細胞質の外か、組織の中か
- トキソプラズマ vs ネオスポラ切る基準:終宿主形は酷似しているけれど、終宿主がネコ科ならトキソプラズマ、イヌ・コヨーテならネオスポラにゃん。牧場で制限すべきはネコではなくイヌにゃん。イヌの病態にも差があって、ネオスポラの子犬では後肢の強直性麻痺が出るけれど、トキソプラズマの終宿主であるネコは通常無症状にゃん。
- トキソ・コクシ vs クリプト・ジアルジア切る基準:外界での成熟の要否前者は1〜5日の胞子形成が要るので毎日の掃除が効くにゃん。後者は排出直後から感染性があるので施設内で急速に広がるにゃん。予防法をどう説明するかが、ここで変わるにゃん。
- ジアルジア vs 赤痢アメーバ切る基準:小腸性か大腸性かジアルジアは小腸の粘膜表面に付着するだけで、脂肪便を伴う小腸性下痢、血便やしぶりはないにゃん。赤痢アメーバは大腸の組織に侵入して、イチゴゼリー状の粘血便としぶりを示すにゃん。便の性状を聞くだけで、かなり絞れるにゃん。
- ジアルジア vs 犬鞭虫切る基準:同じく小腸性か大腸性かどちらも慢性下痢を起こすけれど、犬鞭虫は大腸に寄生するので血便としぶりが出るにゃん。ジアルジアにはそれがないにゃん。
- イソスポラ型 vs アイメリア型切る基準:オーシスト内の数え方シストイソスポラは2個のスポロシスト × 各4個のスポロゾイト(2×4)にゃん。鶏や牛のコクシジウムは4×2のアイメリア型にゃん。「にー・よん」と「よん・にー」で覚えるにゃん。
- リーシュマニア vs バベシア・マラリア切る基準:どの細胞の中にいるかリーシュマニアはマクロファージの中にゃん。赤血球の中で増えるのはバベシアやマラリア原虫にゃん。媒介者もリーシュマニアはサシチョウバエ、トリパノソーマ(アフリカ睡眠病)はツェツェバエと別物にゃん。
診断法の使い分け探すものが違えば方法も違う
- 糞便浮遊法コクシジウム飽和食塩水やショ糖液でオーシストを浮かせるにゃん。オーシストがしっかり大きいので、標準的な方法で見つかるにゃん。
- 硫酸亜鉛遠心浮遊法ジアルジアシストは比重の高い液では変形して見分けにくくなるので、硫酸亜鉛を使うにゃん。しかも排出が間欠的なので複数日にわたる反復検査が必要にゃん。
- 抗酸染色・抗原検査クリプトスポリジウムオーシストが4〜6µmと小さすぎて通常の検査では見落とすにゃん。キニヨン抗酸染色や蛍光抗体法、糞便抗原検査を使うにゃん。
- ペア血清トキソプラズマ・ネオスポラオーシストの排出期間が短すぎて糞便検査が実用的でないにゃん。2〜3週間隔のペア血清で抗体価の有意な上昇を確認するにゃん。ネオスポラの牧場対策も血清抗体検査が中心にゃん。
- 穿刺塗抹リーシュマニア骨髄・リンパ節・脾臓の穿刺塗抹で、マクロファージ内の無鞭毛型を確認するにゃん。糞便検査の出番はないにゃん。
治療薬もまとめておくにゃん。コクシジウム=サルファ剤・トルトラズリル、ジアルジア=フェンベンダゾール・メトロニダゾール、赤痢アメーバ=メトロニダゾール(+パロモマイシン)、トキソプラズマ=クリンダマイシン、クリプトスポリジウム=特効薬なしで輸液中心、リーシュマニア=アンチモン剤・ミルテホシン+アロプリノール(完治は困難)。そして全部に共通してプラジクアンテルは無効にゃん!
原虫のミニテスト(10問)
0 / 10 問正解選ぶとすぐに正解と解説が出るにゃん。まちがえた項目だけ、上の図やリストに戻って確認するにゃん。
Q1.原虫が蠕虫と決定的に違う点はどれ?
正解:単細胞で、体内で分裂して増える だからわずかな摂取でも重症化しうるにゃん。蠕虫は1匹入っても1匹のままにゃん。この違いが、診断で探すもの(虫卵かオーシスト・シストか)も、使う薬も変えるにゃん。
Q2.トキソプラズマの終宿主はどれ?
正解:ネコ科動物のみ 腸管上皮細胞内での有性生殖とオーシスト形成が成立するのはネコ科だけにゃん。イヌを含む他の温血動物は中間宿主にとどまり、オーシストを排出しないにゃん。イヌとコヨーテが終宿主なのはネオスポラにゃん。
Q3.ネコの糞便に排出された直後のトキソプラズマのオーシストは?
正解:外界で1〜5日かけて胞子形成する この性質があるから、猫のトイレを24時間以内に掃除すれば感染リスクを大きく下げられるにゃん。一方、胞子形成後のオーシストは土壌中で1年以上生存するにゃん。
Q4.ネコがオーシストを排出する期間について正しいのは?
正解:初感染後の1〜2週間のみ ただしこの短期間に数百万個が排出されるので環境汚染への影響は大きいにゃん。排出期間が短いことは、糞便検査が診断法として実用的でない理由でもあるにゃん(診断はペア血清にゃん)。
Q5.シストイソスポラ(コクシジウム)の胞子形成後のオーシストの内部構造は?
正解:2×4(イソスポラ型) 4×2はアイメリア型で、鶏や牛など他の動物のコクシジウムに見られるにゃん。なおシストイソスポラは中間宿主を必要としない直接発育型で、同一宿主の腸管内で無性生殖と有性生殖が完結するにゃん。
Q6.クリプトスポリジウムの環境抵抗性について正しいのは?
正解:塩素に強い抵抗性を示す 厚い殻に守られていて、水道水を介した大規模な集団感染を起こしてきたにゃん。有効なのは煮沸・ろ過・紫外線処理にゃん。オーシストは4〜6µmと極小なので、診断には抗酸染色や抗原検査が必要にゃん。
Q7.クリプトスポリジウムが小腸上皮に定着する位置は?
正解:細胞内・細胞質外 細胞膜の内側にありながら細胞質の外側という独特の位置にゃん。薬剤が到達しにくい要因のひとつとされ、治療の難しさにつながっているにゃん。粘膜表面に付着するだけなのはジアルジアにゃん。
Q8.ジアルジアの下痢の特徴として正しいのは?
正解:脂肪便を伴う小腸性下痢 栄養型は組織内へ侵入せず粘膜表面に付着するにとどまり、微絨毛を障害して吸収面積を減らすにゃん。イチゴゼリー状の粘血便は、大腸の組織に侵入する赤痢アメーバの像にゃん。
Q9.赤痢アメーバが大腸粘膜につくる潰瘍の形は?
正解:フラスコ状潰瘍 栄養型が蛋白分解酵素で粘膜上皮を溶かし、粘膜下組織に達してから横に広がるからにゃん。粘膜下の血管から門脈を経て肝臓に達すると、アメーバ性肝膿瘍(右葉に多い)を形成するにゃん。
Q10.原虫症の治療について正しいのは?
正解:クリンダマイシン/プラジクアンテルは無効 プラジクアンテルは条虫・吸虫用で、原虫にはまったく効かないにゃん。コクシジウムはサルファ剤・トルトラズリル、ジアルジアはフェンベンダゾール・メトロニダゾール、赤痢アメーバはメトロニダゾールにゃん。
+理解度チェックふつう:生活環フローチャート2択クイズ
生活環を時系列にたどる各7問の2択クイズにゃん。この記事で読んだ順番が、そのまま出題順になっているにゃん。誤答の選択肢には別の寄生虫の正解が置いてあるので、解くだけで鑑別の練習にもなるにゃん。
かんたん寄生虫学 原虫|掲載の図はすべてしくみを示す模式図です。虫体や構造の大きさ・形・比率は実際とは異なります。
ミニテストの結果はこのページ内だけで保持され、保存されません。