条虫はまず擬葉目か円葉目かで割るにゃん

条虫は種類ごとに覚えようとすると、幼虫の名前が多すぎて必ず溺れるにゃん。でも最初に「頭節に吸溝が2条か、吸盤が4個か」で2つに割ってしまえば、虫卵の見え方も、中間宿主の数も、幼虫の名前も、全部セットでついてくるにゃん。この記事では犬猫で押さえたい5種を、その順番で整理するにゃん。

擬葉目 吸溝が2条
マンソン裂頭条虫
円葉目 吸盤4個+額嘴の鉤
瓜実・猫条虫・多包・有線
人獣共通 スパルガヌム症
エキノコックス症

1条虫の体のつくり頭・首・体節のリボン

条虫は頭節・頸部・片節という3つの部分でできた、平たいリボンのような扁形動物にゃん。まずこの構造を押さえると、診断の話がすっと入るにゃん。

  1. 頭節Scolex / 付着装置腸粘膜にしがみつくための器官にゃん。ここに2条の吸溝(bothria)があれば擬葉目、4個の吸盤があれば円葉目にゃん。円葉目の多くはさらに額嘴(ロステルム)という突出部に鉤を並べているにゃん。頭節が残ると再び片節が伸びてくるので、駆虫では頭節まで落とすことが目標になるにゃん。
  2. 頸部Neck / 増殖帯頭節のすぐ後ろにある、片節をつくり出し続ける部分にゃん。ここが生きている限り、体は何度でも伸びてくるにゃん。
  3. 片節Proglottid / 体節1つ1つが生殖器をひとそろい持つ「生殖工場」にゃん。後ろにいくほど成熟して、最後は虫卵でぱんぱんになった受胎片節になるにゃん。生殖孔がどこに開くかが種の鑑別に直結するので、5章で整理するにゃん。
  4. 消化管をもたない栄養は体表から条虫には口も腸もないにゃん。宿主の腸内で消化された栄養を体表全体から吸収して生きているにゃん。だから吸血による貧血は起こさないにゃん(それは鉤虫の話にゃん)。

条虫の成虫寄生は、実はほとんど無症状にゃん。飼い主が気づくきっかけは、寝床や肛門周囲で片節を見つけることがほとんどにゃん。だから「片節を持ってきてもらう」のが、いちばん確実な第一歩にゃん。片節そのものが診断材料になるにゃん!

2擬葉目と円葉目いちばん大きな分かれ道

ここさえ押さえれば、あとは芋づる式にゃん。頭節の形・虫卵の形・中間宿主の数・幼虫の名前が、目ごとにきれいにセットになっているにゃん。

擬葉目(裂頭条虫類) 頭節:2条の吸溝(bothria) 虫卵:卵蓋あり・未発育 中間宿主は2つ必要 プロセルコイド → プレロセルコイド マンソン裂頭条虫 円葉目 頭節:吸盤4個(+額嘴の鉤) 虫卵:卵蓋なし・六鉤幼虫入り 中間宿主は原則1つ 擬嚢尾虫・擬充尾虫・多包虫 瓜実条虫・猫条虫・多包条虫・有線条虫

擬葉目と円葉目
頭節・虫卵・中間宿主の数がセットで決まる

  1. 擬葉目裂頭条虫類 / マンソン裂頭条虫頭節は細長く、吸盤ではなく縦走する2条の吸溝で粘膜に付着するにゃん。虫卵は約60×40µmの楕円形で、一端に卵蓋を持つにゃん。排出時点では未発育で、水中で発育してから卵蓋が開き、繊毛をまとった六鉤幼虫=コラシジウムが泳ぎ出すにゃん。片節は幅が長さより広く、腹面中央にらせん状(ロゼット状)の子宮と子宮孔を持つにゃん。吸溝2条卵蓋あり中間宿主2つ水が要る
  1. 円葉目瓜実条虫・猫条虫・多包条虫・有線条虫頭節に4個の吸盤を持ち、多くは突出可能な額嘴に鉤を備えるにゃん。虫卵には卵蓋がなく、排出時点ですでに六鉤幼虫を内包しているにゃん。つまり出たときからもう中間宿主に感染できるにゃん。中間宿主は原則1つで、水を必要としないにゃん。吸盤4個卵蓋なし六鉤幼虫入り中間宿主1つ

「卵蓋があれば水が要る」と覚えるとラクにゃん。卵蓋つきの虫卵は水中で発育してコラシジウムが泳ぎ出すので、第1中間宿主は水の中の生きもの(ケンミジンコ)になるにゃん。逆に円葉目は卵蓋がなく、陸の上だけで生活環が回るにゃん。ちなみに有線条虫だけは円葉目なのに中間宿主が2つという例外で、そこは7章で扱うにゃん!

3幼虫形の名前を整理するここが条虫の最難関

条虫でいちばん混乱するのが幼虫の名前にゃん。でもどの宿主の、どこに、どんな形でいるかとセットで覚えれば、全部つながるにゃん。

擬葉目 円葉目 虫卵(卵蓋あり・未発育) 水中で発育してから孵化 コラシジウム 繊毛をまとった六鉤幼虫 プロセルコイド 第1中間宿主=ケンミジンコ プレロセルコイド =スパルガヌム 第2中間宿主=カエル・ヘビ・鳥 虫卵(六鉤幼虫入り) 排出時から感染性あり 中間宿主が食べる 中間宿主でそれぞれの幼虫へ 擬嚢尾虫(ノミ)=瓜実条虫 擬充尾虫(ネズミ肝)=猫条虫 多包虫(ネズミ肝)=多包条虫 テトラチリジウム(体腔)=有線条虫 終宿主が中間宿主を食べて成虫になる どの条虫も、終宿主の感染は「捕食」だけ。虫卵を飲んでも成虫にはならない

幼虫形のリレー
名前は多いけれど、どの宿主のどこにいるかで区別できる

  1. 六鉤幼虫オンコスフェア / 共通のスタート6本の鉤を持つ最初の幼虫にゃん。擬葉目では繊毛をまとってコラシジウムとして泳ぎ出し、円葉目では虫卵の中にいる状態で中間宿主に食べられるにゃん。
  2. プロセルコイド → プレロセルコイド擬葉目 / 2段構えプロセルコイドは第1中間宿主のケンミジンコの体腔にできる幼虫にゃん。それを第2中間宿主(カエル・ヘビ・鳥・げっ歯類)が飲み込むと、筋肉や皮下でプレロセルコイド=スパルガヌムになるにゃん。白い紐状で、剖検時に皮下から見つかることがあるにゃん。
  3. 擬嚢尾虫シスチセルコイド / 瓜実条虫ノミの体内でできる小さな幼虫にゃん。ノミが成虫になるまで体内に保持されるにゃん。
  4. 擬充尾虫ストロビロセルクス / 猫条虫げっ歯類の肝臓にできる幼虫にゃん。頸部が長く伸びて分節化した特徴的な形で、単純な嚢胞状の嚢尾虫とは形が違うにゃん。剖検ではネズミの肝表面に白い結節として見えるにゃん。
  5. 多包虫多包条虫 / 浸潤性に増える野ネズミの肝臓で、無数の小さな胞が出芽しながら周囲組織へ浸潤性・外殖性に広がるにゃん。境界が不明瞭で、悪性腫瘍のような発育様式をとるのが恐ろしいところにゃん。
  6. テトラチリジウム有線条虫 / 体腔にいる第2中間宿主の体腔・肝表面・腸間膜に多数見られる細長い白色の幼虫にゃん。肝臓の「中」にできる擬充尾虫とは、形も寄生部位も違うにゃん。

4マンソン裂頭条虫擬葉目の代表・水から始まる

このページで唯一の擬葉目にゃん。中間宿主を2つ経由するので生活環が長く、そのぶん覚えることも多いけれど、順番どおりに追えば大丈夫にゃん。

水中の虫卵 卵蓋が開く ケンミジンコ プロセルコイド カエル・ヘビ プレロセルコイド イヌ ネコ 小腸で成虫 虫卵が糞便とともに水へ ヒト=行き止まり 幼虫のまま移行=スパルガヌム症 生水・カエルやヘビの生食 生肉を患部に貼る民間療法

マンソン裂頭条虫の生活環
終宿主は捕食でしか感染しない。ヒトは成虫にならず幼虫のまま移行する

  1. マンソン裂頭条虫Spirometra erinaceieuropaei虫卵は約60×40µmの楕円形で卵蓋を持ち、糞便中では未発育にゃん。水中で発育して卵蓋が開き、コラシジウムが遊出するにゃん。第1中間宿主:コラシジウムはケンミジンコ(Cyclops属など)に摂取され、その体腔内でプロセルコイドへ発育するにゃん。日本海裂頭条虫も第1中間宿主はケンミジンコで共通にゃん。第2中間宿主:ケンミジンコを飲み込んだカエル・ヘビ・鳥類・げっ歯類の筋肉や皮下組織で、プレロセルコイド(=スパルガヌム)へ発育するにゃん。白い紐状にゃん。サケ・マスに寄生するのは日本海裂頭条虫のほうで、この対比は頻出にゃん。終宿主の感染:プレロセルコイドを保有する動物の捕食のみにゃん。虫卵やプロセルコイドを直接飲んでも成虫にはならないので、完全室内飼育なら感染しないにゃん。ヘビや鳥がカエルを食べてプレロセルコイドを保有したままでいると、それらは待機宿主として感染源になるにゃん。成虫と診断・治療:小腸に寄生し、体長は数十cm〜1mを超えることもあるにゃん。診断は糞便中の卵蓋つき虫卵か片節の検出にゃん。虫卵は比重が大きく浮遊法では検出しにくいので、直接塗抹法や沈殿法を使うにゃん。治療はプラジクアンテルだけど、一般的な条虫駆虫量(5mg/kg程度)では駆虫できず、高用量・複数日投与が必要にゃん。ここが他の条虫と決定的に違うにゃん。

5円葉目の4種生殖孔の位置で分ける

円葉目は頭節がどれも「吸盤4個」で似ているにゃん。そこで効くのが片節のどこに生殖孔が開くかにゃん。両側・片側交互・腹面中央の3パターンで、きれいに分かれるにゃん。

両側に開く 双子宮孔 瓜実条虫 額嘴に棍棒状の鉤 片側に交互 単側・左右交互 テニア科 猫条虫・多包条虫 腹面中央に1つ 正中位 有線条虫 額嘴と鉤を欠く

生殖孔の位置
円葉目を見分ける決め手。3パターンを並べて覚える

  1. 瓜実条虫Dipylidium caninum / ノミが中間宿主頭節に4個の吸盤と、棍棒状の鉤が数列並ぶ額嘴を持つにゃん。片節は両側面それぞれに生殖孔を持つ双子宮孔型で、これが他の条虫から見分ける決め手にゃん。体長はおおむね15〜70cmにゃん。片節の見つかり方:成熟した片節は自力で運動して肛門から排出されるので、寝床や被毛、肛門周囲に単独で見つかるにゃん。新鮮なうちは白く伸縮する瓜の種のような形で、乾燥すると米粒やゴマのように縮むにゃん。飼い主が最初に気づく所見にゃん。虫卵と中間宿主:片節内では複数の虫卵が卵嚢という膜に包まれた集塊として存在するにゃん。これを摂食するのはノミの幼虫にゃん。成虫のノミは吸血用の口器しか持たず固形物を摂れないので、幼虫期に取り込まれる必要があるにゃん。取り込まれた六鉤幼虫はノミ体内で擬嚢尾虫へ発育し、ノミが成虫になるまで保持されるにゃん。イヌハジラミも中間宿主になるにゃん。感染と対策:感染は経口のみで、グルーミングの際にノミ成虫を飲み込むことで成立するにゃん。ノミの吸血では伝播しないにゃん。裏を返せば、ノミ寄生がある動物では常に本虫を疑うべきにゃん。治療はプラジクアンテルの通常量で有効だけど、ノミ駆除をしなければ必ず再感染するので、同居動物と生活環境を含めたノミ駆除を同時に行うにゃん。
  1. 猫条虫Taenia taeniaeformis / ネズミが中間宿主テニア科の特徴として、頭節に4個の吸盤と2列の鉤を備えた額嘴を持つにゃん。片節の生殖孔は片側のみに開き、片節ごとに左右交互に位置するにゃん。この単側性が、両側に開く瓜実条虫との重要な鑑別点にゃん。体長はおおむね15〜60cmにゃん。虫卵:テニア科の虫卵は放射状の条線を持つ厚い胚膜に包まれ、内部に六鉤幼虫を含んだ状態で排出されるので、その時点で中間宿主への感染性を持つにゃん。ただしテニア科の虫卵は種間で形態的に区別できないにゃん。これが次の多包条虫の話につながる重大な問題にゃん。中間宿主と感染:げっ歯類が虫卵を摂取すると、六鉤幼虫は門脈を経て肝臓に達し、そこで擬充尾虫(ストロビロセルクス)を形成するにゃん。ネコはこれを捕食して感染し、およそ2か月で成虫となって片節を排出し始めるにゃん。虫卵を直接摂取しても終宿主感染は成立しないにゃん。症状と治療:臨床的影響は軽微で多くは無症状にゃん。片節の排出や肛門部の掻痒で気づかれるにゃん。まれに大量寄生で嘔吐・下痢・体重減少を示すにゃん。治療はプラジクアンテルの通常量で有効にゃん。根本対策は室内飼育への切り替えとネズミの侵入対策にゃん。
  1. 多包条虫Echinococcus multilocularis / 最重要の人獣共通成虫は体長わずか1.2〜4.5mm、片節は3〜5個という極めて小型の条虫にゃん。だから大量に寄生しても終宿主はほとんど無症状のまま虫卵を排出し続けるにゃん。この「気づかれない」性質が公衆衛生上の問題を大きくしているにゃん。虫卵:六鉤幼虫を内包した状態で排出され、その時点ですでに感染性があるにゃん。外界での発育を要する犬回虫やトキソプラズマとは決定的に違って、新鮮な糞便に触れただけでも感染しうるにゃん。虫卵は低温・湿潤環境に強く氷点下でも長期間生存するので、流行地の環境汚染は持続するにゃん。多包虫:中間宿主である野ネズミの肝臓を主座として、無数の小さな胞が出芽しながら周囲組織へ浸潤性・外殖性に広がるにゃん。境界が不明瞭で悪性腫瘍のような発育様式をとるにゃん。単一の大きな嚢胞(単包虫)をつくるのは単包条虫(E. granulosus)で、中間宿主もヒツジなどの家畜が中心にゃん。終宿主の感染と疫学:キツネやイヌが多包虫を持つ野ネズミ(北海道ではエゾヤチネズミ)を捕食して感染し、およそ28日で成虫となり虫卵を排出し始めるにゃん。虫卵を摂取した場合は中間宿主としての感染になり、成虫にはならないにゃん。日本では北海道が主要な流行地で、キタキツネとエゾヤチネズミの間で生活環が維持されているにゃん。近年は本州でもイヌの感染例が報告され、流行域の拡大が懸念されているにゃん。診断・駆虫の注意:虫卵は他のテニア科と形態的に区別できないため、糞便内抗原を検出するELISA(コプロ抗原)や糞便由来DNAのPCRを用いるにゃん。駆虫はプラジクアンテルが有効だけど、駆虫後に排出される糞便には感染性の虫卵が大量に含まれるので、手袋の着用と密閉・焼却による処理が必要にゃん。診断時には届出が求められる感染症にゃん。
  1. 有線条虫Mesocestoides lineatus / 例外だらけ円葉目なのに例外が多い、ちょっと変わった条虫にゃん。頭節には4個の吸盤を持つけれど、額嘴と鉤を欠くにゃん。片節の生殖孔は腹面中央に1つ開き、この正中位という配置が際立った特徴にゃん。中間宿主が2つ:円葉目では珍しく中間宿主を2つ必要とするにゃん。第1中間宿主はササラダニなどの土壌性ダニと推定され、そこでキステケルクスに発育するにゃん。続いてヘビ・カエル・鳥類・小型哺乳類などの第2中間宿主に入り、テトラチリジウムという幼虫になるにゃん。テトラチリジウム:細長い白色の幼虫で、第2中間宿主の体腔・肝臓の表面・腸間膜などに多数見られるにゃん。イヌやネコはこれを捕食して感染するにゃん。第1中間宿主のダニは土壌中にいて、刺咬では伝播しないにゃん。腹腔内での無性増殖:通常は小腸で成虫になるけれど、まれにテトラチリジウムが腹腔内に定着して無性的に増殖し、腹膜炎と大量の腹水を伴う重篤な病態を招くことがあるにゃん。イヌで報告があり、治療に難渋するにゃん。この場合は通常量では駆除できず、高用量の長期投与や外科的な洗浄が必要になるにゃん。

6人獣共通感染症として押さえるヒトは何になるのか

条虫の人獣共通感染症で決定的なのは、ヒトが終宿主になるのか、中間宿主になるのかにゃん。ここが違えば、起こることも重さもまるごと変わるにゃん。

多包虫(多包条虫) 小胞が出芽して浸潤性に広がる 境界が不明瞭=悪性腫瘍に似た発育 中間宿主は野ネズミ 単包虫(単包条虫) 単一の大きな嚢胞 境界が明瞭 中間宿主はヒツジなどの家畜

多包虫と単包虫
同じエキノコックスでも、増え方も中間宿主もまったく違う

  1. スパルガヌム症(孤虫症)マンソン裂頭条虫 / ヒトは中間宿主ヒトは第2中間宿主または待機宿主として振る舞い、幼虫のまま皮下・筋肉を移行して腫瘤を形成するにゃん。成虫にはならないにゃん。眼窩や中枢神経に迷入すると重篤化するにゃん。感染経路はケンミジンコを含む生水の飲用、カエル・ヘビ・鳥の生食、そして生肉を患部に貼る民間療法による経皮感染にゃん。飼い主への説明が必要にゃん。
  2. エキノコックス症(多包虫症)多包条虫 / ヒトは中間宿主ヒトが虫卵を摂取すると中間宿主として振る舞い、六鉤幼虫が肝臓へ達して多包虫を形成するにゃん。潜伏期は5〜15年と長く、肝腫大・腹痛・閉塞性黄疸で発見される頃には病巣が広範に及んでいることが少なくないにゃん。無治療では致死率が高く、治療は外科的切除とアルベンダゾールの長期投与が基本にゃん。対策は、流行地から犬を移動させる際の駆虫、沢水を生で飲まないこと、野山から帰った後の手洗いの徹底にゃん。
  3. 瓜実条虫のヒト寄生ヒトは終宿主 / 予後は良好主に乳幼児がペットのノミを誤って飲み込むことで感染し、小腸に成虫が寄生するにゃん。多くは無症状か軽度の消化器症状で、おむつや便に片節が見つかって気づかれるにゃん。予後は良好でプラジクアンテルが有効にゃん。幼虫が組織内を移行して腫瘤をつくることは本虫では起こらないにゃん。
  4. 猫条虫はほぼ問題にならないただし虫卵では区別できない同じテニア科でも、猫条虫がヒトに感染した報告はごくわずかで、公衆衛生上の重要性は多包条虫とは比較にならないにゃん。ただし糞便中の虫卵は形態的に区別できないので、テニア型卵を見つけた時点で「猫条虫だから安心」とは判断できないにゃん。飼育環境や地域の疫学を踏まえて、必要なら追加検査を検討するにゃん。

ここで「終宿主の感染は捕食だけ」という原則がもう一度効いてくるにゃん。虫卵を飲んだヒトは中間宿主になるから、幼虫が組織の中で悪さをするにゃん。これがスパルガヌム症とエキノコックス症にゃん。一方、幼虫を飲み込んだヒトは終宿主になるから、腸に成虫がいるだけで済むにゃん。これが瓜実条虫にゃん。「何を飲んだか」で結果が決まるにゃん!

7まぎらわしいペアの整理どこで切るかを決めておく

条虫で迷うのはいつも同じ組み合わせにゃん。切り分ける基準を1つだけ決めておけば、もう混ざらないにゃん。

  1. 擬葉目 vs 円葉目切る基準:卵蓋があるか糞便検査で卵蓋つきの楕円形の虫卵ならマンソン裂頭条虫などの擬葉目にゃん。卵蓋がなく六鉤幼虫を内包していれば円葉目にゃん。頭節が見られるなら吸溝2条か吸盤4個かで決まるにゃん。
  2. マンソン裂頭条虫 vs 日本海裂頭条虫切る基準:第2中間宿主どちらも擬葉目で第1中間宿主はケンミジンコで共通にゃん。分かれるのは第2中間宿主で、マンソンはカエル・ヘビ・鳥・げっ歯類、日本海裂頭条虫はサケ・マスにゃん。この対比は試験で頻出にゃん。
  3. 瓜実条虫 vs テニア科切る基準:生殖孔が両側か片側か片節の両側に生殖孔(双子宮孔)なら瓜実条虫にゃん。片側のみに左右交互ならテニア科(猫条虫・多包条虫)にゃん。虫卵の見え方も違って、瓜実条虫は卵嚢に集塊、テニア科は放射状条線の厚い胚膜にゃん。
  4. 猫条虫 vs 多包条虫切る基準:虫卵では区別できないどちらもテニア型卵で、形態では区別できないのが最大の落とし穴にゃん。成虫の大きさは全然違って、猫条虫は15〜60cm、多包条虫はわずか1.2〜4.5mmにゃん。確定にはコプロ抗原ELISAやPCRが要るにゃん。
  5. 多包虫 vs 単包虫切る基準:増え方と中間宿主多包虫(多包条虫)は小胞が出芽して浸潤性に広がり境界が不明瞭、中間宿主は野ネズミにゃん。単包虫(単包条虫 E. granulosus)は単一の大きな嚢胞で境界が明瞭、中間宿主はヒツジなどの家畜にゃん。
  6. 擬嚢尾虫 vs 擬充尾虫 vs テトラチリジウム切る基準:どの宿主のどこにいるか擬嚢尾虫はノミの体内(瓜実条虫)、擬充尾虫はネズミの肝臓の中で頸部が伸びて分節(猫条虫)、テトラチリジウムはヘビやカエルの体腔にいる細長い幼虫(有線条虫)にゃん。名前だけで覚えず、場所とセットにするにゃん。
  7. 有線条虫は円葉目の例外切る基準:中間宿主の数と額嘴円葉目なのに中間宿主が2つ、しかも額嘴と鉤を欠く、生殖孔は腹面中央にゃん。例外が3つ重なるので、逆に覚えやすいにゃん。

診断と駆虫の使い分けプラジクアンテルの用量が鍵

  1. 片節の肉眼的確認瓜実条虫・猫条虫片節が能動的に排出されるので虫卵は糞便中に均一に分布せず、浮遊法の感度は高くないにゃん。肛門周囲や寝床で片節を確認するのが実際的にゃん。飼い主に片節を持参してもらうにゃん。
  2. 直接塗抹法・沈殿法マンソン裂頭条虫虫卵の比重が大きく浮遊法では検出しにくいので、直接塗抹法や沈殿法を使うにゃん。卵蓋つきの虫卵が見えたら擬葉目にゃん。
  3. コプロ抗原ELISA・PCR多包条虫虫卵が他のテニア科と形態的に区別できないため、糞便内抗原の検出や糞便由来DNAのPCRを用いるにゃん。診断時には届出が求められるにゃん。
  4. プラジクアンテル 通常量瓜実条虫・猫条虫・多包条虫一般的な条虫駆虫量で有効にゃん。ただし多包条虫では駆虫後の糞便が大量の感染性虫卵を含むので、手袋の着用と密閉・焼却が必須にゃん。
  5. プラジクアンテル 高用量マンソン裂頭条虫・有線条虫の腹腔内寄生マンソン裂頭条虫は通常量(5mg/kg程度)では駆虫できず、高用量・複数日投与が必要にゃん。有線条虫のテトラチリジウムが腹腔内で増殖している場合も、高用量の長期投与や外科的洗浄が要るにゃん。
  6. 駆虫だけでは終わらない中間宿主を断つ条虫の再感染対策は中間宿主を絶つことにゃん。瓜実条虫ならノミ駆除(同居動物と環境を含めて)、猫条虫・多包条虫ならネズミの捕食防止と室内飼育、マンソン裂頭条虫・有線条虫ならカエルやヘビを食べさせないにゃん。薬だけ出して終わりにしないにゃん。

最後にまとめるにゃん。条虫は①擬葉目か円葉目か → ②生殖孔の位置 → ③中間宿主は何か → ④幼虫の名前と寄生部位の順に押さえれば、5種とも区別できるにゃん。そして終宿主の感染は必ず捕食、再感染対策は中間宿主を断つこと。この2つの原則は全種に共通にゃん!

条虫のミニテスト(10問)

0 / 10 問正解

選ぶとすぐに正解と解説が出るにゃん。まちがえた項目だけ、上の図やリストに戻って確認するにゃん。

Q1.糞便中に卵蓋を持つ楕円形の虫卵を認めた。属する目はどれ?

正解:擬葉目 卵蓋を持ち、排出時点では未発育にゃん。水中で発育してから卵蓋が開き、コラシジウムが遊出するにゃん。円葉目は卵蓋がなく、卵内にすでに六鉤幼虫が形成されているにゃん。

Q2.マンソン裂頭条虫の第1中間宿主はどれ?

正解:ケンミジンコ 体腔内でプロセルコイドへ発育するにゃん。サケ・マスは日本海裂頭条虫のプレロセルコイドの寄生部位で、第2中間宿主にゃん(日本海裂頭条虫も第1中間宿主はケンミジンコで共通にゃん)。

Q3.カエルやヘビの筋肉・皮下で見つかる、白い紐状の幼虫の名前は?

正解:プレロセルコイド=スパルガヌム 擬充尾虫はネズミの肝臓にできる猫条虫の幼虫、擬嚢尾虫はノミの体内にできる瓜実条虫の幼虫にゃん。名前は「どの宿主のどこにいるか」とセットで覚えるにゃん。

Q4.瓜実条虫の卵嚢を摂食するのは?

正解:ノミの幼虫 成虫のノミは吸血に適した口器しか持たず固形物を摂れないので、幼虫期に取り込まれる必要があるにゃん。そのノミが成虫になり、グルーミングで飲み込まれて感染するにゃん。ササラダニは有線条虫の第1中間宿主にゃん。

Q5.片節の両側に生殖孔が開く条虫はどれ?

正解:瓜実条虫 テニア科は片側のみに左右交互、有線条虫は腹面中央に1つにゃん。この3パターンが円葉目を見分ける決め手にゃん。

Q6.多包条虫の成虫の大きさとして正しいのは?

正解:1.2〜4.5mm・片節3〜5個 極めて小型なので、大量寄生しても終宿主はほとんど無症状のまま虫卵を排出し続けるにゃん。この「気づかれない」ことが公衆衛生上の問題を大きくしているにゃん。

Q7.糞便中にテニア型卵を認めた。多包条虫かどうかを判定するには?

正解:形態では区別できない テニア科の虫卵は種間で形態的に区別できないにゃん。だから糞便内抗原のELISAや糞便由来DNAのPCRを使うにゃん。「テニア型卵だから猫条虫で安心」とは判断できないにゃん。

Q8.ヒトがマンソン裂頭条虫に感染した場合に起こるのは?

正解:スパルガヌム症(孤虫症) ヒトは第2中間宿主・待機宿主として振る舞い、成虫にはならないにゃん。眼窩や中枢神経に迷入すると重篤化するにゃん。小腸に成虫が寄生するのは瓜実条虫、肝臓に多包虫ができるのは多包条虫にゃん。

Q9.有線条虫が円葉目のなかで「例外」とされる点はどれ?

正解:中間宿主が2つ・額嘴と鉤を欠く 生殖孔が腹面中央という点も含めて例外が3つ重なるにゃん。吸溝2条や卵蓋は擬葉目の特徴で、有線条虫はあくまで円葉目にゃん(吸盤は4個あるにゃん)。

Q10.プラジクアンテルの用量について正しいのは?

正解:マンソン裂頭条虫では高用量が必要 一般的な条虫駆虫量(5mg/kg程度)では駆虫できないにゃん。瓜実条虫・猫条虫・多包条虫は通常量で有効にゃん。有線条虫も腹腔内にテトラチリジウムが増殖していれば高用量と外科的処置が要るにゃん。

+理解度チェックふつう:生活環フローチャート2択クイズ

生活環を時系列にたどる各7問の2択クイズにゃん。この記事で読んだ順番が、そのまま出題順になっているにゃん。誤答の選択肢には別の寄生虫の正解が置いてあるので、解くだけで鑑別の練習にもなるにゃん。