どの反応が起きているかを考えるにゃん

「壊れているのか、炎症なのか、血のめぐりなのか、線維に置き換わったのか、何かが溜まっているのか」。この5つのどれかに決めてから、臓器と背景を足していくにゃん。

変性・壊死 細胞が壊れる
炎症 細胞が集まる
循環障害 液がもれる
線維化・修復 置き換わる
沈着・代謝異常 たまる

1病理標本を読む型5ステップで絞り込む

所見 → 病態 → 臓器 → 背景 → 決め手。この順で絞っていくにゃん。

  1. 組織所見を言葉にする何が・どこに・どれだけを言語化するにゃん。
  2. 5つの病態カテゴリに振り分ける変性・壊死/炎症/循環障害/線維化・修復/沈着・代謝異常のどれか。
  3. 臓器と、その中の部位をあてる臓器名+部位分布そのものが原因を語るにゃん。
    肝臓なら中心静脈周囲か門脈域か
    腎臓なら糸球体か尿細管か間質か
    腸なら絨毛か陰窩か
  4. 肉眼所見と病歴を重ねる腫大か萎縮か、色は、硬さは、水に浮くか沈むか。そして動物種・年齢・品種・投薬歴・ワクチン歴。組織像が同じでも、背景が違えば答えは変わるにゃん。
  5. 決め手の所見で1つに絞るコンゴ赤で橙赤色に染まって偏光下で緑、とか、管腔内にシュウ酸カルシウム結晶、とか。それさえあれば確定できる所見で絞り込むにゃん。

病理でいちばん効くのは「可逆か不可逆か」という問いにゃん。
変性は原因を取り除けば戻りえる、壊死は戻らない、線維化はもっと戻らない。

25つの病態カテゴリまずここに振り分ける

何が主役になっているかを見るにゃん。

変性・壊死 細胞そのものが壊れる 炎症 炎症細胞が集まってくる 循環障害 血管の外へ液体がもれる 線維化・修復 線維が元の組織を置き換える 沈着・代謝異常 本来ないものが溜まる

5つの病態カテゴリ
「主役が何か」で振り分ける。色はこのページ全体で共通

  1. 変性・壊死細胞自体のダメージ変性(可逆):細胞内に本来あるべきでないものが溜まったり腫れたりした状態だにゃ。原因を取り除けば元に戻るにゃん!
    壊死(不可逆):細胞が死んで膜が破れ、逸脱酵素が血中へ漏れ出るにゃ。周りに炎症細胞がほとんど来ていないのが見分けるポイントだにゃん。肝リピドーシス小葉中心性壊死急性尿細管壊死パルボ腸炎
  1. 炎症集まってくる細胞で原因を見破る!炎症は「どんな細胞が応援に駆けつけているか」で病因を読み解くにゃん!
    好中球 ➔ 急性・細菌性の炎症だにゃん!
    リンパ球・形質細胞 ➔ 慢性・免疫介在性の炎症だにゃん!
    好酸球 ➔ アレルギー・寄生虫が原因だにゃん!
    類上皮細胞・多核巨細胞 ➔ 分解されにくい病原体や異物(肉芽腫性炎症)だにゃん!胆管肝炎糸球体腎炎心筋炎気管支肺炎IBD
  1. 循環障害もれているのは「液体」だにゃん細胞が死んでいるわけでも、炎症細胞が押しかけているわけでもないにゃ。
    静水圧の上昇や血管透過性の亢進によって、水(血清・体液)だけが血管外へ漏れ出ているのが特徴だにゃん。肺水腫
  1. 線維化・修復傷跡だらけで硬くなる「ダメージ ➔ 再生」を何度も何度も繰り返した末の最終形態だにゃん。
    急性の病変が「炎症や浮腫で臓器がパンパンに腫れる」のとは真逆で、コラーゲンなどの線維に置き換わって臓器全体がキュッと萎縮し、カチカチに硬くなって表面がボコボコ(表面不整)になるのが共通パターンだにゃ!肝硬変慢性間質性腎炎絨毛萎縮
  1. 沈着・代謝異常特殊染色で正体を暴く!代謝のトラブルなどで、特定の物質が組織に異常に溜まっていく病態だにゃん。
    顕微鏡で何が溜まっているかを見破るために、専用の特殊染色を使うのがお約束だにゃ!
    ズダン染色(Sudan stain) ➔ 脂肪・脂質(肝リピドーシスなど)を染め出すにゃん!
    コンゴ赤染色(Congo red stain) ➔ アミロイド(腎アミロイドーシスなど)を橙赤色に染め出し、偏光顕微鏡でアップルグリーンの複屈折を見るにゃん!肝リピドーシス腎アミロイドーシス弁膜粘液腫様変性

3肝臓の4病変分布が原因を語る

肝臓は小葉のどこが傷んでいるかで原因がほぼ決まるにゃん。中心静脈のまわりか、門脈域か。まずそこを見るにゃん。

中心静脈周囲が傷む 酸素が最も薄く、薬物代謝が最も盛ん → 中毒・低酸素で真っ先に壊死 小葉中心性壊死 門脈域が傷む 胆管と血管の入り口が集まる場所 → 上行性感染・免疫反応の舞台 胆管肝炎

肝小葉の帯状分布
六角形の中心が中心静脈、角が門脈域。どちらが染まっているかで原因が分かれる

  1. 肝リピドーシス沈着・代謝異常/ネコ肝細胞の細胞質が大小の空胞で満たされ、核が辺縁へ圧排されるにゃん。空胞の中身はHEでは抜けて見えるけれど、凍結切片のズダン染色で赤橙色に染まるにゃん。炎症細胞の浸潤はほとんどないにゃん。肉眼では肝が腫大して黄白色になり、脆くて水に浮くにゃん。背景:肥満のネコが数日以上絶食すると、末梢脂肪が急激に動員されて処理能力を超えるにゃん。治療の本体は強制給餌による栄養供給で、輸液だけでは改善しないにゃん。急速な再栄養によるリフィーディング症候群(低リン血症)に注意にゃん。
  1. 小葉中心性壊死変性・壊死/急性中毒性肝障害中心静脈を取り囲む領域の肝細胞が選択的に凝固壊死に陥り、核濃縮と核崩壊を示すにゃん。門脈域に近い辺縁部は比較的保たれるので帯状の分布になるにゃん。肉眼では割面がナツメグ様のまだらにゃん。なぜ中心静脈周囲か:この領域は酸素分圧が最も低く、シトクロムP450による薬物代謝が最も盛んだからにゃん。アセトアミノフェン、キシリトール、青緑藻の摂取歴や重度の低酸素が背景にゃん。ALT・ASTが著明に上昇するにゃん。
  1. 肝硬変線維化・修復/終末期慢性肝炎線維性の隔壁が門脈域どうし、あるいは門脈域と中心静脈をつないで架橋し、そのあいだに再生結節(偽小葉)が島状に取り残されるにゃん。胆管増生とリンパ球・形質細胞浸潤を伴い、小葉構造が完全に失われるにゃん。肉眼では萎縮して硬く、表面が結節状にゃん。注意:線維化だけでは診断名にならないにゃん。再生結節が揃って初めてこの名前がつくにゃん。門脈圧亢進による腹水と後天性門脈体循環シャントを伴い、不可逆にゃん。
  1. 胆管肝炎炎症/胆汁うっ滞性肝疾患・ネコに多い炎症細胞浸潤が門脈域に集中するにゃん。急性型は好中球、慢性型はリンパ球と形質細胞が主体にゃん。毛細胆管の内腔に緑褐色の胆汁栓が詰まり、周囲の肝細胞に胆汁色素が沈着するにゃん。肉眼では緑褐色を帯びるにゃん。見分け方:炎症の分布が門脈域中心である点が、中心静脈周囲が傷害される病態との決定的な違いにゃん。ALP・GGT・総ビリルビンの上昇が前面に出るにゃん。ネコでは膵炎とIBDを併発した三臓器炎(トライアディティス)として現れることが多いにゃん。

4腎臓の4病変糸球体か、尿細管か、間質か

腎臓はどの構成要素が主役かで分けるにゃん。そして肉眼で腫大しているか萎縮しているかを見れば、急性か慢性かがすぐ分かるにゃん。

  1. 急性尿細管壊死変性・壊死近位曲部の上皮が広範に脱落し、基底膜がむき出しになるにゃん。管腔内には脱落上皮からなる円柱が詰まり、間質は浮腫状にゃん。糸球体は比較的保たれるのが特徴にゃん。肉眼では腎が腫大して蒼白にゃん。決め手:基底膜が残っていれば上皮は再生できるにゃん。だから壊死なのに予後がいい場合があるにゃん。エチレングリコール中毒では管腔内にシュウ酸カルシウム結晶が見つかって原因が確定するにゃん。ほかにアミノグリコシド、NSAIDs、ユリ(ネコ)、重度の虚血が原因にゃん。
  1. 糸球体腎炎炎症/免疫介在性毛細血管係蹄の壁が厚くなり、メサンギウム細胞が増多するにゃん。蛍光抗体法や電顕で免疫複合体の沈着が確認でき、尿細管の管腔には硝子様の蛋白円柱が見られるにゃん。抗原抗体複合体が補体を活性化して、ろ過障壁が壊れる病態にゃん。臨床像:重度の蛋白尿(UPC比2.0以上)と低アルブミン血症、浮腫や腹水(ネフローゼ症候群)にゃん。フィラリア症、エールリヒア症、ライム病、腫瘍など慢性の抗原刺激源を必ず探すにゃん。アンチトロンビン喪失による血栓塞栓症のリスクが高いにゃん。
  1. 慢性間質性腎炎線維化・修復/慢性腎臓病間質が広範に線維化し、萎縮した尿細管と拡張して硝子円柱を含む尿細管が混在するにゃん。硬化して機能を失った糸球体が散見され、リンパ球と形質細胞が浸潤するにゃん。肉眼では小さく萎縮して硬く、表面が顆粒状で被膜が剥がれにくいにゃん。見分け方:萎縮して硬く表面が凸凹という肉眼像が、腫大して蒼白になる急性の病態と正反対にゃん。原因を問わずネフロンが脱落していく共通の最終経路で、残存ネフロンの過剰濾過がさらに線維化を進める悪循環にゃん。高齢ネコで最も多い死因のひとつにゃん。
  1. 腎アミロイドーシス沈着・代謝異常糸球体に無構造で好酸性の物質が沈着して係蹄を置き換えるにゃん。コンゴ赤染色で橙赤色に染まり、偏光顕微鏡下で黄緑色の複屈折を示すのが決定的にゃん。決め手:染色所見だけで確定できる数少ない病変にゃん。同じく重度の蛋白尿を出す免疫介在性の病態とは、沈着物の性状で区別するにゃん。シャー・ペイ、アビシニアン、イングリッシュ・フォックスハウンドに品種素因があるにゃん。髄質型は蛋白尿を欠くことがあるので注意にゃん。

5心臓の4病変炎症細胞はいるか、壁は厚いか薄いか

心臓は炎症細胞浸潤の有無でまず2つに割り、次に形態(壁の厚さと内腔の広さ)を見るにゃん。

  1. 心筋炎炎症心筋線維のあいだに炎症細胞が帯状に浸潤し、筋線維は変性・断裂するにゃん。ウイルス性ではリンパ球、細菌性では好中球が主体で、原虫性では筋線維内にシストや偽シストが見つかることがあるにゃん。背景:若齢動物の突然死として発見されることがあるにゃん。犬パルボウイルス(新生子)、トキソプラズマ、ネオスポラ、シャーガス病などが原因にゃん。生前診断が難しく、剖検で初めて分かることが多いので、突然死例では必ず心筋の組織検査をするにゃん。
  1. 白筋症変性・壊死/栄養性筋変性筋線維が硝子様に変性して横紋が消え、断裂した線維に石灰の沈着がみられるにゃん。壊死線維をマクロファージが処理し、周囲には再生しようとする筋芽細胞が現れるにゃん。肉眼では筋が茹でた鶏肉のように白く変色するにゃん。決め手:心筋と骨格筋が同時に、左右対称に白く変色するにゃん。セレンとビタミンEの欠乏による抗酸化系の破綻が本態で、その飼料で育った子牛・子羊が運動を契機に発症するにゃん。群単位で発生するので飼料の確認が必須にゃん。CK・ASTが著明に上昇するにゃん。
  1. 拡張型心筋症変性+線維化心筋線維が細く波打つように変化(波状線維)し、細胞が脱落した部分を間質の線維が置き換えるにゃん。炎症細胞の浸潤は目立たず、筋線維の減少と間質の増加が主体にゃん。肉眼では心室壁が薄く、内腔が球状に拡張して心臓全体が丸く垂れ下がるにゃん。見分け方:壁が薄く内腔が広いという形態が、壁が厚くなる病態と正反対にゃん。ドーベルマン、グレート・デーン、ボクサーに品種素因があるにゃん。ネコではタウリン欠乏が原因になり、補給で可逆的に改善しうる点がイヌと異なるにゃん。
  1. 弁膜粘液腫様変性沈着・代謝異常/心内膜症弁尖の海綿層にムコ多糖(グリコサミノグリカン)が蓄積して膨化し、弁尖の辺縁が結節状に厚くなるにゃん。腱索が延長・断裂していることもあるにゃん。肉眼では弁尖が白く不透明に厚くなり、辺縁がこぶ状にゃん。決め手:炎症細胞も細菌もまったくないことが、疣贅をつくる感染性心内膜炎との決定的な違いにゃん。高齢の小型犬(キャバリア、マルチーズ、チワワ)にきわめて多く、イヌの後天性心疾患で最多にゃん。左房が拡大して主気管支を押し上げるので、心不全がなくても咳が出るにゃん。

6肺の4病変主座は壁か、腔か

肺は病変の主座(肺胞壁か肺胞腔か)と、腔にあるのが細胞か液体か、そして分布の3点で分かれるにゃん。

気管支肺炎 腔に好中球が充満 前腹側に偏る・水に沈む 間質性肺炎 壁(隔壁)が厚くなる びまん性・切っても虚脱しない 肺水腫 腔が液体で満たされる 割面から泡沫状の液が出る 同じ「白い肺」でも、埋めているものが違う

肺胞レベルでの3病変の比較
腔に細胞が入るか、壁が厚くなるか、腔に液体が入るか

  1. 気管支肺炎炎症/化膿性細気管支の内腔とその周囲の肺胞に好中球が充満して含気が失われるにゃん。病変は小葉単位で不均一に分布し、細気管支を中心に広がるにゃん。肉眼では前腹側の葉が硬く赤褐色になり、水に沈むにゃん。決め手:病変が前腹側に偏っていることにゃん。吸い込んだものが重力に従って前腹側の気管支に落ちるからで、分布そのものが感染経路を語るにゃん。誤嚥(巨大食道症、麻酔覚醒時)や気道からの下行性感染が原因なので、誤嚥の背景を必ず探すにゃん。
  2. 間質性肺炎炎症/間質性肺胞の壁そのものが厚くなり、単核球が浸潤するにゃん。急性期には肺胞腔の内面に好酸性の硝子膜が張り、修復期にはII型肺胞上皮が立方状に増生するにゃん。肺胞腔内の滲出物は目立たないにゃん。肉眼では肺が全体にゴム様に硬く、切っても虚脱せず重いにゃん。決め手:主座が壁か腔かが最大の分岐点にゃん。壁が厚くなるぶんガス交換の距離が伸びるので、酸素投与に反応しにくい低酸素血症になるにゃん。ウイルス感染、パラコート中毒、尿毒症、敗血症が原因にゃん。
  3. 肉芽腫性肺炎炎症/慢性・増殖性マクロファージが変化した類上皮細胞が集まって結節をつくり、核が辺縁に並ぶ多核巨細胞(ラングハンス型)が混じるにゃん。結節の中心は乾酪壊死に陥り、周囲はリンパ球と線維で囲まれるにゃん。肉眼では大小の白色結節が多発するにゃん。決め手:類上皮細胞と多核巨細胞の出現にゃん。「囲い込む」形の炎症を見たら、分解されにくい病原体か異物を疑って特殊染色(PAS・グロコット・チール・ネールゼン)に進むにゃん。クリプトコッカス、ブラストミセス、抗酸菌が原因にゃん。腫瘍の多発結節と肉眼像が紛らわしいにゃん。
  1. 肺水腫循環障害肺胞の腔が淡いピンク色の無構造な液体で満たされるにゃん。炎症細胞はほとんどなく、慢性例ではヘモジデリンを貪食したマクロファージ(心不全細胞)が見られるにゃん。肉眼では肺が重く湿り、割面や気管から白色泡沫状の液体が流れ出るにゃん。決め手:肺胞腔を埋めているのが細胞ではなく液体であることにゃん。心原性では左房拡大を伴い利尿薬に速やかに反応するにゃん。非心原性(感電・気道閉塞・頭部外傷)では利尿薬の効果が乏しいにゃん。

7消化管の5病変絨毛か、陰窩か、どの細胞か

腸では絨毛と陰窩のどちらが主座か、そして炎症なら浸潤している細胞の種類を見るにゃん。この2つで全部片づくにゃん。

正常 絨毛は長く 陰窩は浅い パルボウイルス性腸炎 陰窩が壊死(×印)して 供給を断たれた絨毛が虚脱 絨毛萎縮 絨毛が短く、陰窩が深い = 絨毛/陰窩比(V/C比)の低下 陰窩が壊れているのか、深くなっているのか。ここが分かれ目

腸粘膜の絨毛と陰窩
同じ「絨毛が短い」でも、陰窩の状態で意味が正反対になる

  1. パルボウイルス性腸炎変性・壊死/未ワクチンの子犬陰窩(クリプト)の上皮が壊死して脱落し、拡張した陰窩に壊死細胞の残渣が詰まるにゃん。絨毛は再生の供給源を断たれて短縮・虚脱し、粘膜が平坦化するにゃん。リンパ組織にも壊死が及ぶにゃん。肉眼では腸壁が薄く、漿膜が充血して赤く、内容は血様水様にゃん。決め手:分裂の速い細胞を狙うという性質から、腸の陰窩・リンパ組織・骨髄が同時に侵されるにゃん。だから白血球減少を伴うにゃん。絨毛ではなく陰窩が壊死の主座である点が決定的にゃん。環境消毒は次亜塩素酸ナトリウムにゃん。
  2. 胃潰瘍変性・壊死/組織欠損粘膜の欠損が粘膜筋板を越えて深く達するにゃん。潰瘍底はフィブリンと壊死組織で覆われ、その下に肉芽組織が形成され、辺縁では上皮が再生して覆いかぶさろうとしているにゃん。肉眼では辺縁が隆起した円形の陥凹にゃん。定義:欠損が粘膜筋板を越えているかが、より浅いびらんとの違いにゃん。NSAIDsやステロイドの投与歴、肥満細胞腫(ヒスタミン分泌)、ガストリノーマ、重度のストレスが背景にゃん。黒色便(メレナ)と貧血が臨床の手がかりにゃん。穿孔すると腹膜炎で緊急手術にゃん。
  1. リンパ球形質細胞性腸炎炎症/IBD・除外診断粘膜固有層にリンパ球と形質細胞がびまん性に浸潤するにゃん。絨毛はやや短く癒合傾向を示すけれど、陰窩の壊死はないにゃん。慢性例ではリンパ管の拡張を伴うにゃん。注意:除外診断にゃん。3週間以上続く慢性の嘔吐・下痢・体重減少があり、寄生虫・感染症・食物有害反応・膵外分泌不全・腫瘍をすべて除外して初めて診断されるにゃん。消化器型リンパ腫と組織像が紛らわしく、クローナリティ検査や免疫染色が必要になることがあるにゃん。除外を尽くさずに免疫抑制を始めないにゃん。
  2. 好酸球性胃腸炎炎症/アレルギー性・寄生虫性細胞質が明るい赤(エオジン好性)の顆粒をもつ細胞が、粘膜固有層にびまん性に浸潤するにゃん。重症例では浸潤が粘膜下層や筋層にまで及び、腸壁全体が厚くなるにゃん。決め手:浸潤している細胞の種類が診断名を決めるにゃん。末梢血の好酸球増多を伴うことが多いにゃん。食物アレルギー、寄生虫感染、まれに腫瘍随伴が背景にゃん。同じ慢性腸炎でもリンパ球主体のものとは治療が違い、まず駆虫と食事療法から入るにゃん。ネコでは高好酸球症候群の一部かを確認するにゃん。
  1. 絨毛萎縮線維化・修復/吸収不良症候群絨毛が著明に短くなり、逆に陰窩は深く延長するにゃん。絨毛/陰窩比(V/C比)の低下が定量的な指標にゃん。表面の上皮は未熟で刷子縁が乏しいにゃん。壊死でも活動性の炎症でもなく、慢性の傷害に対して構造が作り変わった状態にゃん。臨床像:大量の脂肪便と、食べているのに痩せるという組み合わせにゃん。栄養を取り込む場の表面積そのものが減っているのが本質にゃん。葉酸・コバラミンの測定が有用で、膵外分泌不全との鑑別にはTLI測定が必要にゃん。

8まぎらわしいペアの整理どこで切るかを覚える

試験でも実務でも迷うのは、いつも同じ組み合わせにゃん。切り分ける基準を1つだけ決めておくと、迷わなくなるにゃん。

  1. 小葉中心性壊死 vs 胆管肝炎切る基準:炎症の分布中心静脈周囲が傷むのが中毒性、門脈域に集中するのが胆管肝炎にゃん。分布が正反対にゃん。
  2. 急性尿細管壊死 vs 慢性間質性腎炎切る基準:肉眼で腫大か萎縮か急性は腫大して蒼白、慢性は萎縮して硬く表面が顆粒状にゃん。可逆性も正反対で、急性は基底膜が残っていれば回復しうるにゃん。
  3. 糸球体腎炎 vs 腎アミロイドーシス切る基準:コンゴ赤染色どちらも重度の蛋白尿と低アルブミン血症を出して臨床像が重なるにゃん。コンゴ赤で橙赤色+偏光下で黄緑色の複屈折ならアミロイドーシスにゃん。確定には腎生検が要るにゃん。
  4. 心筋炎 vs 白筋症切る基準:炎症細胞浸潤の有無と左右対称性炎症細胞が帯状に浸潤していれば心筋炎にゃん。白筋症は炎症細胞が乏しく、心筋と骨格筋が左右対称に侵されるにゃん。群単位での発生も手がかりにゃん。
  5. 弁膜粘液腫様変性 vs 感染性心内膜炎切る基準:炎症細胞と細菌の有無粘液腫様変性には炎症細胞も細菌もまったくないにゃん。発熱の有無も臨床での手がかりになるにゃん。
  6. 気管支肺炎 vs 間質性肺炎 vs 肺水腫切る基準:主座と内容物腔に好中球が入るのが気管支肺炎(前腹側に偏る)、壁が厚くなるのが間質性肺炎(びまん性・虚脱しない)、腔に液体が入るのが肺水腫にゃん。
  7. パルボウイルス性腸炎 vs 絨毛萎縮切る基準:陰窩が壊死か延長かどちらも絨毛が短くなるけれど、パルボは陰窩が壊死、絨毛萎縮は陰窩が延長にゃん。経過も急性と慢性で正反対にゃん。
  8. IBD vs 好酸球性胃腸炎切る基準:浸潤している細胞リンパ球と形質細胞ならIBD、好酸球なら好酸球性胃腸炎にゃん。どちらも駆虫と食事療法が先で、免疫抑制はそのあとにゃん。

気づいたと思うけれど、切り分けの基準はだいたい「分布」「主座」「浸潤細胞の種類」「肉眼での腫大か萎縮か」の4つに集約されるにゃん。新しい病変に出会ったときも、この4つを順に当てはめてみるにゃん。知らない病名でも、少なくともどのカテゴリの話かまでは必ずたどりつけるにゃん!

病理学のミニテスト(10問)

0 / 10 問正解

選ぶとすぐに正解と解説が出るにゃん。まちがえた項目だけ、上の図やリストに戻って確認するにゃん。

Q1.肝小葉のうち、中毒と低酸素の両方で真っ先に傷害される領域はどこ?

正解:中心静脈の周囲 この領域は酸素分圧が最も低く、シトクロムP450による薬物代謝が最も盛んだからにゃん。門脈域寄りの肝細胞は保たれるので帯状の分布になり、肉眼では割面がナツメグ様のまだらになるにゃん。

Q2.肝細胞が大小の空胞で満たされ核が辺縁へ圧排、炎症は乏しく、肝は腫大して水に浮く。ズダン染色陽性。これは?

正解:肝リピドーシス 病態カテゴリは沈着・代謝異常にゃん。肥満のネコが数日以上絶食すると末梢脂肪が急激に動員されて起こるにゃん。治療の本体は強制給餌で、輸液だけでは改善しないにゃん。

Q3.肝硬変の診断に必須とされる所見はどれ?

正解:再生結節(偽小葉)の形成 線維化だけでは診断名になりませんにゃん。架橋性の線維性隔壁と再生結節が揃って初めて肝硬変にゃん。肉眼では萎縮して硬く、表面が結節状になるにゃん。

Q4.急性尿細管壊死で、上皮が再生できるかどうかを決めるのはどれ?

正解:基底膜が保たれているか 壊死なのに予後がよいことがあるのはこのためにゃん。エチレングリコール中毒では管腔内にシュウ酸カルシウム結晶が見つかり、原因まで特定できるにゃん。

Q5.コンゴ赤染色で橙赤色に染まり、偏光顕微鏡下で黄緑色の複屈折を示す腎病変は?

正解:腎アミロイドーシス 染色所見だけで確定できる数少ない病変にゃん。同じく重度の蛋白尿を出す糸球体腎炎とは臨床像が重なるので、確定には腎生検とコンゴ赤染色が必要にゃん。

Q6.心筋と骨格筋が左右対称に白く変色し、石灰沈着を伴う。炎症細胞浸潤は乏しい。子牛・子羊で群発。これは?

正解:白筋症 抗酸化系の破綻による過酸化障害が本態にゃん。心筋炎とは炎症細胞浸潤の有無と左右対称性で区別するにゃん。群単位で発生するので飼料の確認が必須にゃん。

Q7.弁膜粘液腫様変性と感染性心内膜炎を区別する、組織学的に最も確実な所見は?

正解:炎症細胞と細菌がまったくない 粘液腫様変性は弁尖の海綿層にムコ多糖が蓄積して膨化する変性で、感染や炎症ではないにゃん。高齢の小型犬に多く、イヌの後天性心疾患で最多にゃん。

Q8.肺が全体にゴム様に硬く、切っても虚脱せず重い。肺胞壁が厚く硝子膜が張り、肺胞腔の滲出物は目立たない。これは?

正解:間質性肺炎 主座が肺胞壁(間質)にあるのがポイントにゃん。壁が厚くなるぶんガス交換の距離が伸びるので、酸素投与に反応しにくい低酸素血症になるにゃん。気管支肺炎は腔に好中球が充満し、前腹側に偏るにゃん。

Q9.気管支肺炎の病変が前腹側に偏るのはなぜ?

正解:重力に従って前腹側に落ちるから 分布そのものが感染経路を語る好例にゃん。誤嚥や気道からの下行性感染が原因なので、巨大食道症などの誤嚥の背景を必ず探すにゃん。

Q10.パルボウイルス性腸炎で、壊死の主座となるのはどこ?

正解:陰窩の上皮 分裂の速い細胞を狙うという性質から、腸の陰窩・リンパ組織・骨髄が同時に侵されるにゃん(だから白血球も減るにゃん)。絨毛は再生の供給源を断たれて二次的に虚脱するにゃん。慢性の絨毛萎縮では逆に陰窩が延長するので、そこで区別するにゃん。

+理解度チェック手を動かして定着させる

読んだ内容を、実際の症例で試すにゃん。所見が1つずつ開いていくので、早く絞り込めるほど高得点にゃん。