流れでたどる|スクロールするたび、流れが一段ずつ動き出す。
止血から瘢痕まで、4つの期
傷が治るまでを流れでたどる
読み進めると、左の図が1段ずつ描き足されます。各段の終わりの問いの答えが、次の段です。図のブロックを押すと、その段へ移動します。
1
出発点:傷ができる
皮膚が切れると、血管も傷ついて出血します。
まず、何で出血を止める?
2
止血期:血餅ができる
血管が縮み、血小板とフィブリンで血餅ができて出血が止まります。血餅は、あとで細胞が入りこむ足場にもなります。
血餅は止血だけ?
いいえ。修復する細胞を呼び寄せる合図と、入りこむ足場の役目もあります。
次に集まってくるのは?
3
炎症期①:好中球が集まる
数時間〜数日、好中球が集まって細菌を食べ、傷をきれいにします。赤み・腫れ・熱・痛みが出ます。
炎症は悪者?
いいえ。傷をきれいにして修復の準備をする、必要な段階です。
次に主役になるのは?
4
炎症期②:マクロファージ
マクロファージが死んだ細胞や異物を片づけ、修復を進める成長因子を出します。
なぜマクロファージが要?
掃除をしながら、次の修復を始める指令も出すからです。
欠けた部分を、何で埋める?
5
増殖期①:肉芽組織で埋める
線維芽細胞がコラーゲンをつくり、新しい毛細血管が伸びて、赤く湿った肉芽組織で傷が埋まります。
なぜ赤い?
新しい毛細血管が、たくさん入っているからです。
表面は、どうふさぐ?
6
増殖期②:上皮化と収縮
傷の縁から表皮が伸びて表面を覆い(上皮化)、筋線維芽細胞が傷を縮めて小さくします。
猫の傷の治りは?
猫は犬より肉芽組織ができにくく、治りが遅いことがあります。
治ったあとは?
7
成熟期:瘢痕が強くなる
数週〜数か月かけてコラーゲンが組み直され、傷あと(瘢痕)が強くなります。それでも元の強さの約8割までです。
なぜ元に戻らない?
毛包や汗腺までは再生せず、コラーゲンの並びも元と違うからです。
治りを遅らせるのは?
8
治りを遅らせるもの
- 感染・異物・壊死組織:炎症期が長引く
- 血流不足:細胞と酸素が届かない
- 動きや張力:できかけの組織が裂ける
- 低栄養(タンパク質不足)、ステロイド、糖尿病
縫う傷と、縫わない傷の違いは?
9
一次治癒と二次治癒
- 一次治癒:きれいな傷を縫い合わせ、少ない肉芽で早く治る
- 二次治癒:開いたまま、肉芽組織で下から埋めて治る(汚れた傷など)
- 遅延一次縫合:傷をきれいにしてから、数日後に縫う
予測してみよう:ステロイドを長く使っている犬の手術創は、治りが早い? 遅い?
答えを見る
遅くなります。炎症期の働きと、肉芽組織をつくる働きがおさえられるからです。
流れの全体:傷ができる → 止血期(血餅)→ 炎症期(好中球・マクロファージ)→ 増殖期(肉芽組織・上皮化と収縮)→ 成熟期(瘢痕)
流れでたどる シリーズ(シリーズの一覧へ)
- RAAS(血圧)
- 血液凝固
- 甲状腺ホルモン
- 尿ができるまで
- カルシウムの調節
- ビリルビンと黄疸
- 狂犬病ウイルスの旅
- 血糖の調節
- 副腎皮質の軸
- 性周期と排卵
- 分娩の始まり
- 刺激伝導系と心電図
- 酸素が細胞に届くまで
- 牛の第一胃の発酵
- I型アレルギー
- 痛みと鎮痛薬
- 発熱のしくみ
- ショックの悪循環
- 神経の興奮
- 筋肉が縮むしくみ
- 抗体ができるまで
- 傷が治るまで
- 骨折が治るまで
- 脂肪の消化と胆汁
- 血液型と輸血
- 薬が代謝されるまで
- 酸塩基の調節
- むくみのしくみ
- 嘔吐のしくみ
- 視覚が伝わるしくみ
薬は作用のしくみまでを扱い、用量は扱っていません。
執筆・編集:Vet Study Library 編集部 監修:獣医師(農林水産省 獣医師名簿第44733号登録)