INFECTIOUS DISEASE REVERSE DICTIONARY
牛の感染症 逆引き辞典
病原体の種類、法律上の区分、症状、うつり方や媒介する虫、季節などの手がかりから、牛の感染症を逆に引く辞典です。条件のボタンを重ねて押すと、当てはまる病気だけが残ります。国家試験で多い「所見や疫学から病名を答える」問題の練習にも使えます。
病原体の種類
法律上の区分
主な症状
うつり方・媒介
季節
使い方の例:
同じ欄の中で複数を選ぶと「いずれかに当てはまる」、別の欄どうしは「すべてに当てはまる」で絞り込みます。薄く表示されたボタンは、押すと0件になる条件です。
口蹄疫
家畜伝染病ウイルス- 病原体
- 口蹄疫ウイルス(ピコルナウイルス科)
- うつり方
- 感染した動物との接触、空気、人や車両、飼料を介して非常に強く広がる
- 主な症状
- 発熱、よだれ、口・蹄・乳頭の水疱、跛行。子牛では心筋炎で急死
決め手・人への影響・予防・関連ページ
- 決め手(病変・検査)
- 偶蹄類(牛・豚・めん羊・山羊)の病気。ウイルスは酸に弱い
- 人への影響・予防
- 発生時は殺処分と移動制限。豚では増幅されて大量のウイルスを出す
牛海綿状脳症(BSE)
家畜伝染病プリオン人にもうつる- 病原体
- 異常プリオンタンパク質
- うつり方
- 異常プリオンを含む肉骨粉を飼料として食べて
- 主な症状
- 長い潜伏期のあと、過敏、運動失調、起立不能
決め手・人への影響・予防・関連ページ
- 決め手(病変・検査)
- 脳の海綿状変性。炎症は起こらない
- 人への影響・予防
- 人の変異型クロイツフェルト・ヤコブ病との関連。反芻動物への肉骨粉の給与を規制
炭疽
家畜伝染病細菌人にもうつる- 病原体
- 炭疽菌(Bacillus anthracis)
- うつり方
- 土の中で何十年も生き残る芽胞を口から
- 主な症状
- 急死。死体の天然孔から凝固しない黒い血液が出て、死後硬直が弱い
決め手・人への影響・予防・関連ページ
- 決め手(病変・検査)
- 死体は解剖しない(芽胞をつくらせないため)。血液塗抹で莢膜のある大きな桿菌
- 人への影響・予防
- 人の皮膚炭疽・肺炭疽
ヨーネ病
家畜伝染病細菌- 病原体
- ヨーネ菌(抗酸菌)
- うつり方
- 子牛のときに糞便に汚れた乳や環境から口へ
- 主な症状
- 数年の潜伏期のあと、治らない水様性の下痢とやせ。食欲は保たれる
決め手・人への影響・予防・関連ページ
- 決め手(病変・検査)
- 回腸の粘膜が脳回のように肥厚。抗酸菌染色で赤い菌の集まり
- 人への影響・予防
- 定期的な検査と陽性牛の淘汰
ブルセラ症
家畜伝染病細菌人にもうつる- 病原体
- Brucella abortus
- うつり方
- 流産胎子・胎盤・悪露をなめて、交配で
- 主な症状
- 妊娠後期の流産、胎盤停滞、雄の精巣炎
決め手・人への影響・予防・関連ページ
- 決め手(病変・検査)
- 抗体の検査(凝集反応)
- 人への影響・予防
- 人の波状熱(発熱を繰り返す)
結核
家畜伝染病細菌人にもうつる- 病原体
- 牛型結核菌(Mycobacterium bovis)
- うつり方
- 咳の飛沫などで
- 主な症状
- 咳、やせ。症状が出ないことも多い
決め手・人への影響・予防・関連ページ
- 決め手(病変・検査)
- 肺やリンパ節の乾酪壊死を伴う結節。ツベルクリン反応
- 人への影響・予防
- 人にもうつる(生乳など)
牛肺疫
家畜伝染病マイコプラズマ・リケッチア- 病原体
- Mycoplasma mycoides subsp. mycoides
- うつり方
- 咳の飛沫で
- 主な症状
- 発熱、咳、呼吸困難
決め手・人への影響・予防・関連ページ
- 決め手(病変・検査)
- 肺の大理石紋様と胸膜の線維素の付着
- 人への影響・予防
- 細胞壁がないためペニシリンは効かない
関連ページ:牛の主要な細菌病(炭疽・ヨーネ病・牛肺疫・牛のマイコプラズマ病)、真菌・リケッチア・クラミジア・マイコプラズマ・プリオン
アナプラズマ病
家畜伝染病マイコプラズマ・リケッチア- 病原体
- Anaplasma marginale
- うつり方
- マダニやアブなどの吸血、注射針
- 主な症状
- 発熱、貧血、黄疸
ランピースキン病
家畜伝染病ウイルス- 病原体
- ランピースキン病ウイルス(ポックスウイルス科)
- うつり方
- サシバエ・蚊などの吸血昆虫
- 主な症状
- 発熱と、全身の皮膚のこぶ(結節)、乳量の低下
決め手・人への影響・予防・関連ページ
- 決め手(病変・検査)
- 皮膚の結節
- 人への影響・予防
- 人にはうつらない。吸血昆虫の対策とワクチン。2026年の家畜伝染病予防法の改正(令和8年7月1日施行)で、届出伝染病から家畜伝染病(法定伝染病)に変わった。2024年11月に国内で初めて発生(福岡県・熊本県)
ブルータング
届出伝染病ウイルス- 病原体
- ブルータングウイルス(レオウイルス科)
- うつり方
- ヌカカの吸血
- 主な症状
- めん羊で発熱、顔のむくみ、舌が紫色になる(チアノーゼ)、口の潰瘍。牛は軽い
アカバネ病
届出伝染病ウイルス- 病原体
- アカバネウイルス(ブニヤウイルス目)
- うつり方
- ヌカカの吸血で妊娠牛が感染し、胎子にうつる
- 主な症状
- 母牛は無症状。流産・早産・死産、子牛の関節の弯曲(体形異常)と水頭症
決め手・人への影響・予防・関連ページ
- 決め手(病変・検査)
- 胎子への感染の時期で、子牛の異常が変わる
- 人への影響・予防
- ワクチン(流行期の前に)
チュウザン病
届出伝染病ウイルス- 病原体
- チュウザンウイルス(レオウイルス科)
- うつり方
- ヌカカの吸血
- 主な症状
- 大脳がほとんどない(水無脳症)子牛や、小脳の形成不全の子牛が生まれる
イバラキ病
届出伝染病ウイルス- 病原体
- イバラキウイルス(レオウイルス科)
- うつり方
- ヌカカの吸血
- 主な症状
- 発熱と、飲み込めない(嚥下障害)ための誤嚥
牛流行熱
届出伝染病ウイルス- 病原体
- 牛流行熱ウイルス(ラブドウイルス科)
- うつり方
- 蚊やヌカカの吸血
- 主な症状
- 急な高熱、関節の痛みとこわばり、起立不能。数日で回復することが多い
牛ウイルス性下痢
届出伝染病ウイルス- 病原体
- 牛ウイルス性下痢ウイルス(フラビウイルス科)
- うつり方
- 感染牛との接触。胎子期に感染した子牛は持続感染牛になり、一生ウイルスを出す
- 主な症状
- 下痢、発熱、流産、異常産。持続感染牛では致死的な粘膜病
牛伝染性鼻気管炎
届出伝染病ウイルス- 病原体
- 牛ヘルペスウイルス1型
- うつり方
- 鼻汁の飛沫、交配で。回復しても潜伏感染する
- 主な症状
- 発熱、鼻汁、鼻の粘膜の充血(赤鼻)、結膜炎、流産
牛伝染性リンパ腫(地方病性)
届出伝染病ウイルス- 病原体
- 牛伝染性リンパ腫ウイルス(レトロウイルス科)
- うつり方
- 血液を介して(アブの吸血、注射針、直腸検査の手袋)。乳や胎盤でも
- 主な症状
- 多くは無症状。一部が数年後にリンパ腫(体表リンパ節の腫れ、眼球の突出など)になる
悪性カタル熱
届出伝染病ウイルス- 病原体
- ヒツジヘルペスウイルス2型など
- うつり方
- 症状を出さないめん羊(保有動物)から牛へ
- 主な症状
- 高熱、眼と鼻の重い炎症、角膜の混濁、リンパ節の腫れ。致死率が高い
気腫疽
届出伝染病細菌- 病原体
- Clostridium chauvoei
- うつり方
- 土の中の芽胞を口から
- 主な症状
- 若い牛の急死。大きな筋肉が腫れ、押すとガスでぷつぷつ音がする(捻髪音)
破傷風
届出伝染病細菌- 病原体
- 破傷風菌(Clostridium tetani)
- うつり方
- 去勢や分娩などの傷口から芽胞が入る
- 主な症状
- 筋肉のこわばり、第三眼瞼の突出、木挽き台のような姿勢
サルモネラ症
届出伝染病細菌人にもうつる- 病原体
- サルモネラ(特定の血清型)
- うつり方
- 糞便に汚れた飼料や水を口から
- 主な症状
- 子牛の発熱と下痢(血便)、敗血症、成牛の流産
レプトスピラ症
届出伝染病細菌人にもうつる- 病原体
- レプトスピラ
- うつり方
- ネズミなどの尿で汚れた水や土から、粘膜や傷口を通して
- 主な症状
- 流産、子牛の溶血と黄疸、血色素尿
ネオスポラ症
届出伝染病原虫- 病原体
- Neospora caninum
- うつり方
- 終宿主の犬の便のオーシストを口から。母牛から胎子へ
- 主な症状
- 妊娠中期の流産
乳房炎
指定なし細菌- 病原体
- 黄色ブドウ球菌・大腸菌群など
- うつり方
- 搾乳を介して牛から牛へ(伝染性)、牛舎の環境から(環境性)
- 主な症状
- 乳の異常、乳房の腫れ。大腸菌では内毒素で全身の症状
小型ピロプラズマ病
指定なし原虫- 病原体
- Theileria orientalis
- うつり方
- フタトゲチマダニの吸血
- 主な症状
- 放牧した牛の発熱、貧血、黄疸
コクシジウム症
指定なし原虫- 病原体
- アイメリア
- うつり方
- 便に出たオーシストを口から
- 主な症状
- 子牛の血便と脱水
肝蛭症
指定なし寄生虫人にもうつる- 病原体
- 肝蛭(Fasciola)
- うつり方
- 中間宿主のヒメモノアラガイから出た幼虫が付いた稲わらや水草を食べて
- 主な症状
- やせ、貧血。胆管が石灰化して硬くなる
条件に当てはまる病気はありません。条件を1つ外してみてください。
収録:牛の主な感染症 27件(家畜伝染病 9・届出伝染病 14・指定なし 4)。法律上の区分は家畜伝染病予防法に基づきます(ランピースキン病を家畜伝染病とした2026年の改正〈令和8年7月1日施行〉を反映)(詳しくは家畜伝染病予防法と届出伝染病の解説)。区分は改正されることがあるため、最新の一覧は農林水産省の資料で確認してください。治療や用量は扱っていません。
執筆・編集:Vet Study Library 編集部 監修:獣医師(農林水産省 獣医師名簿第44733号登録)