愛玩動物看護師国家試験対策 > 基礎動物学 > 薬理学(薬のしくみと投与量の計算)
VETERINARY NURSE EXAM / 頻出分野の解説
薬理学(薬のしくみと投与量の計算)の頻出ポイント
薬理学では、薬が体に入ってから出ていくまでの流れ、処方の略語、投与量の計算、薬の保管がよく問われます。計算問題は苦手に感じる人も多いのですが、手順は毎回同じです。「体重 × 1kgあたりの量 = 必要な量」「必要な量 ÷ 濃度 = 液の量」の2段階を、ゆっくり身につけていきましょう。
この記事で学ぶこと
- 投与の経路と、効き方の違い
- 処方でよく使う略語
- 投与量と液の量の計算(%の考え方を含む)
- よく出る薬のはたらきと注意
- 薬の保管と、麻薬の管理
1. 薬が体に入ってから出ていくまで
薬は、吸収 → 全身に分布 → 肝臓などで代謝 → 腎臓や胆汁から排泄という流れをたどります。
| 投与の経路 | 特徴 |
|---|---|
| 静脈内 | 血液に直接入るので、最も早く効く。量の調節もしやすい |
| 筋肉内 | 皮下よりも早く吸収される |
| 皮下 | ゆっくり吸収される。輸液にも使う |
| 経口(飲み薬) | おうちで続けやすい。全身に回る前に肝臓で一部が処理される(初回通過効果) |
| 外用(点眼・点耳・塗り薬) | 必要な場所にだけ届けられる |
2. 処方でよく使う略語
| 略語 | 意味 | 略語 | 意味 |
|---|---|---|---|
| SID | 1日1回 | PO | 経口 |
| BID | 1日2回 | SC | 皮下 |
| TID | 1日3回 | IM | 筋肉内 |
| QID | 1日4回 | IV | 静脈内 |
3. 投与量の計算 ― 2段階で考える
以下の数値は計算練習のための例で、実際の薬の用量ではありません。
体重4kgの猫に、体重1kgあたり5mgの薬を投与します。薬液の濃度は10mg/mLです。何mL吸えばよいでしょう?
- 必要な量(mg)= 体重 × 1kgあたりの量 = 4kg × 5mg = 20mg
- 液の量(mL)= 必要な量 ÷ 濃度 = 20mg ÷ 10mg/mL = 2mL
%(パーセント)の濃度の考え方
注射薬などの「%」は、100mLの中に何gが溶けているかを表します。
- 1% = 100mL中に1g = 1mLあたり10mg
- たとえば2%の薬なら、1mLあたり20mg
単位(kg、mg、mL)を必ず書きながら計算すると、まちがいに気づきやすくなります。答えが出たら、「この動物の大きさで、この量は多すぎないかな?」と見直す習慣もつけましょう。
4. よく出る薬のはたらきと注意
- アトロピン:副交感神経のはたらきを止める。心拍数が上がり、よだれが減り、瞳孔が開く。緑内障では使わない
- アドレナリン:心臓を強く速く動かし、血圧を上げる。アナフィラキシーや心停止のときに使う
- 抗菌薬:細菌を殺したり増えるのを止めたりする。ウイルスには効かない。症状がよくなっても、決められた期間を最後まで飲み切ってもらう(耐性菌を生まないため)
- ステロイド(プレドニゾロンなど):炎症や免疫を強く抑える。水をよく飲み、おしっこが増えることがある。長く使ったあと急にやめない
- 非ステロイド性抗炎症薬:痛みや炎症を抑える。胃腸や腎臓への影響に注意
人の解熱鎮痛薬(アセトアミノフェン)は、猫に重い中毒を起こします。コリーやシェットランド・シープドッグなどでは、一部の駆虫薬に敏感な犬がいます。人の薬や、ほかの動物の薬を自己判断で与えないよう、飼い主さんに伝えましょう。
5. 薬の保管と管理
- 薬ごとに決められた温度(室温・冷所)を守り、光で変化する薬は光をさえぎって保管する
- インスリンは冷蔵庫で保管し、凍らせない。打つ前にやさしく混ぜる(強く振らない)
- 麻薬(一部の鎮痛薬や麻酔薬)は、法律で厳しく管理され、かぎのかかる丈夫な保管庫にほかの薬と分けて保管する
- 使用期限を定期的に確認する
薬理学のまとめ ― 試験の前にもう一度
- 静脈内が最も早く効く。飲み薬は初回通過効果で一部が肝臓で処理される
- SID=1日1回、BID=2回、TID=3回、QID=4回。PO経口、SC皮下、IM筋肉内、IV静脈内
- 必要な量(mg)=体重×1kgあたりの量、液の量(mL)=必要な量÷濃度
- 1%=1mLあたり10mg
- 抗菌薬は最後まで飲み切る。ステロイドは急にやめない
- インスリンは冷蔵で凍らせない。麻薬はかぎのかかる保管庫に
薬理学の確認問題
問題をタップすると答えが開きます。まずは自分で答えを考えてから開いてみてくださいね。
Q1. 処方の略語「BID」の意味は何ですか?
答え:1日2回です(SIDは1日1回、TIDは1日3回)。
Q2. 体重5kgの犬に、1kgあたり2mgの薬を投与します。濃度が5mg/mLのとき、何mLになりますか?(計算練習)
答え:5kg×2mg=10mg、10mg÷5mg/mL=2mLです。
Q3. 2%の注射液は、1mLあたり何mgを含みますか?
答え:20mgです。1%は100mL中に1g、つまり1mLあたり10mgです。
Q4. 抗菌薬を、症状がよくなっても最後まで飲み切ってもらうのはなぜですか?
答え:途中でやめると細菌が生き残り、薬が効かない耐性菌が生まれやすくなるためです。
Q5. インスリンを保管するときの注意を2つ挙げてください。
答え:冷蔵庫で保管すること、凍らせないことです(打つ前は強く振らずにやさしく混ぜます)。
REVIEW DECK mini
覚えたことを、忘れないうちに
この記事の確認問題は「復習デッキmini」にも入っています。忘れかけたころにもう一度出てくるカードで、1日5分から復習できます(全17分野・85問)。
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参考サイト
- 農林水産省「愛玩動物看護師」国家試験の日程、受験資格、制度についての情報
- 一般財団法人 動物看護師統一認定機構指定試験機関。試験の実施要項や過去の試験問題など