流れでたどる|スクロールするたび、流れが一段ずつ動き出す。
1回目は準備、2回目に爆発する
I型アレルギーを流れでたどる
読み進めると、左の図が1段ずつ描き足されます。各段の終わりの問いの答えが、次の段です。図のブロックを押すと、その段へ移動します。
1
出発点:アレルゲンが入る
花粉・ダニ・食べ物のタンパク質など、本来は無害な物質(アレルゲン)が体に入ります。
体は、これをどう覚える?
2
IgEがつくられる
ヘルパーT細胞(Th2)の指令で、B細胞がIgE抗体をつくります。
なぜIgE?
本来は寄生虫と戦うための抗体で、アレルギーではそれが無害な物質に向けられてしまうからです。
IgEは、どこにくっつく?
3
肥満細胞がIgEをまとう
IgEは、皮膚や粘膜の肥満細胞の表面にくっつき、待ちかまえます。ここまでが感作で、症状はまだ出ません。
なぜ1回目は症状が出ない?
1回目は、IgEをつくって肥満細胞に配るところで終わるからです。
同じアレルゲンが2回目に入ると?
4
再び出会い、IgEどうしを架橋する
同じアレルゲンが再び入ると、肥満細胞の上のIgEどうしを橋渡しします(架橋)。
なぜ2つのIgEをつなぐ?
それが、肥満細胞にとっての「出動」の合図だからです。
合図を受けた肥満細胞は?
5
脱顆粒でヒスタミンが出る
肥満細胞が顆粒の中身を一気に放出し(脱顆粒)、ヒスタミンなどが出ます。数分で症状が始まります。
なぜ数分で起こる?
物質はすでに顆粒に用意されていて、放出するだけだからです(即時型)。
ヒスタミンは、何をする?
6
症状が現れる
血管が広がって漏れやすくなり(赤み・むくみ・じんましん)、気管支の平滑筋が縮み、かゆみが出ます。
なぜむくむ?
血管の壁のすき間が広がり、血漿が組織に漏れ出るからです。
全身で一気に起こると?
7
アナフィラキシー
全身の血管が一気に広がって血圧が下がり(アナフィラキシーショック)、のどや気管支が狭くなります。ワクチン・薬・虫刺されなどで起こり、犬では嘔吐や下痢が目立つこともあります。
なぜ血圧が下がる?
全身の血管が広がり、さらに血液が血管の外へ漏れるからです。
遅れて来る反応は?
8
遅れて来る反応と慢性化
数時間後、ロイコトリエンなどや、集まった好酸球が炎症を長引かせます。犬のアトピー性皮膚炎のように、くり返すと慢性のかゆみになります。
なぜ好酸球が増える?
肥満細胞などが、好酸球を呼び寄せる物質を出すからです。
流れのどこを、薬で止める?
9
薬の作用点
- アドレナリン:アナフィラキシーで血管を締めて血圧を上げ、気管支を広げる(最優先)
- 抗ヒスタミン薬:ヒスタミンの受け口(H₁受容体)をふさぐ
- ステロイド:炎症の流れを広くおさえる(遅れて来る反応にも)
- JAK阻害薬(オクラシチニブなど):かゆみの信号をおさえる(犬のアトピー)
予測してみよう:ワクチン接種の数分後、顔が腫れてぐったりした犬。最初に使う薬は?
答えを見る
アドレナリンです。血管を締めて血圧を上げ、気管支を広げます。抗ヒスタミン薬だけでは間に合いません。
流れの全体:アレルゲン → IgEがつくられる → 肥満細胞がIgEをまとう(感作)→ 2回目に架橋 → 脱顆粒(ヒスタミン)→ 症状 → アナフィラキシー → 遅れて来る反応
流れでたどる シリーズ(シリーズの一覧へ)
- RAAS(血圧)
- 血液凝固
- 甲状腺ホルモン
- 尿ができるまで
- カルシウムの調節
- ビリルビンと黄疸
- 狂犬病ウイルスの旅
- 血糖の調節
- 副腎皮質の軸
- 性周期と排卵
- 分娩の始まり
- 刺激伝導系と心電図
- 酸素が細胞に届くまで
- 牛の第一胃の発酵
- I型アレルギー
- 痛みと鎮痛薬
- 発熱のしくみ
- ショックの悪循環
- 神経の興奮
- 筋肉が縮むしくみ
- 抗体ができるまで
- 傷が治るまで
- 骨折が治るまで
- 脂肪の消化と胆汁
- 血液型と輸血
- 薬が代謝されるまで
- 酸塩基の調節
- むくみのしくみ
- 嘔吐のしくみ
- 視覚が伝わるしくみ
薬は作用のしくみまでを扱い、用量は扱っていません。
執筆・編集:Vet Study Library 編集部 監修:獣医師(農林水産省 獣医師名簿第44733号登録)