神経の興奮が伝わるしくみを流れでたどる|活動電位からシナプスまで

流れでたどる|スクロールするたび、流れが一段ずつ動き出す。

電気から化学物質へ、そして次の細胞へ
神経の興奮が伝わるしくみを流れでたどる

読み進めると、左の図が1段ずつ描き足され、下の膜電位のグラフも段ごとに描かれます。各段の終わりの問いの答えが、次の段です。

静止膜電位内側がマイナス脱分極Na⁺が流れこむ再分極K⁺が出ていく跳躍伝導髄鞘のすき間を跳ぶシナプス伝達物質が出る受容体次の細胞が興奮分解・回収信号が止まる膜電位の変化(活動電位)+30−70mV閾値脱分極再分極局所麻酔薬ボツリヌス筋弛緩薬有機リン静止膜電位内側が外側に対してマイナス脱分極閾値を超え、Na⁺チャネルが開く再分極K⁺チャネルが開き、マイナスに戻る跳躍伝導ランヴィエ絞輪を跳んで速く進むシナプスCa²⁺が入り、伝達物質を放出受容体受容体に結合し、次の細胞が興奮分解・回収分解・回収されて信号が止まる局所麻酔薬・TTXボツリヌス毒素筋弛緩薬有機リン中毒膜電位の変化(活動電位)+30−70mV閾値脱分極再分極

1

出発点:内側がマイナスに保たれている

神経細胞の内側は、ふだん外側に対してマイナス(静止膜電位)に保たれています。Na⁺は外に多く、K⁺は内に多い状態です。

刺激を受けると、何が起こる?

2

Na⁺が流れこむ(脱分極)

刺激で膜電位が閾値を超えると、Na⁺チャネルが一斉に開き、Na⁺が流れこんで内側がプラスになります(脱分極)。

なぜ「全か無か」?

閾値を超えればチャネルが連鎖して開き、いつも同じ大きさの活動電位になるからです。

プラスになったあとは?

3

K⁺が出ていく(再分極)

Na⁺チャネルが閉じ、K⁺チャネルが開いてK⁺が外へ出て、マイナスに戻ります(再分極)。

すぐ次の刺激に反応できる?

しばらくはNa⁺チャネルが開けない不応期があり、反応できません。信号が逆戻りしない理由です。

信号は、軸索をどう進む?

4

軸索を跳んで進む(跳躍伝導)

活動電位は隣を次々に脱分極させて進みます。髄鞘のある神経では、すき間(ランヴィエ絞輪)だけを跳んで進むので、速く伝わります。

髄鞘が壊れると?

伝わり方が遅くなったり、途切れたりします。

神経の終わりでは、何が起こる?

5

シナプスで伝達物質が出る

終末に届くとCa²⁺が流れこみ、小胞から神経伝達物質(アセチルコリンなど)がすき間へ放出されます。

なぜ電気のまま渡さない?

化学物質に変えることで、一方向に伝え、強めたり弱めたりできるからです。

受け手の細胞では?

6

受容体に結合し、次の細胞が興奮する

伝達物質が受け手の受容体に結合し、イオンチャネルが開いて次の細胞が興奮します(または、おさえられます)。

興奮をおさえる伝達物質は?

GABAやグリシンなどです。

伝達物質は、そのまま残る?

7

分解・回収されて止まる

アセチルコリンはアセチルコリンエステラーゼですぐ分解され、ノルアドレナリンなどは回収されて、信号が止まります。

分解されないと?

受容体が刺激され続けます。

分解が止まる中毒は?

8

有機リン中毒

有機リン系やカーバメート系の殺虫剤がアセチルコリンエステラーゼを止め、アセチルコリンが分解されずにたまります。よだれ、縮瞳、下痢、筋のふるえなどが出ます。

なぜアトロピンが解毒に使われる?

アセチルコリンが働くムスカリン受容体をふさぎ、よだれや徐脈などをおさえるからです。

ほかに、流れのどこを止める薬や毒がある?

9

流れを止める薬と毒

  • 局所麻酔薬・テトロドトキシン(フグ毒):Na⁺チャネルをふさぎ、脱分極を止める
  • ボツリヌス毒素:アセチルコリンの放出を止める
  • 筋弛緩薬(ロクロニウムなど):筋のニコチン受容体をふさぐ
  • 重症筋無力症:受容体に対する自己抗体で、伝わりにくくなる

予測してみよう:有機リン中毒の犬で、瞳孔は大きくなる? 小さくなる?

答えを見る

小さくなります(縮瞳)。分解されないアセチルコリンが、副交感神経の受容体を刺激し続けるからです。

流れの全体:静止膜電位 → 脱分極(Na⁺流入)→ 再分極(K⁺流出)→ 跳躍伝導 → シナプスで伝達物質を放出 → 受容体で次の細胞が興奮 → 分解・回収で止まる

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薬は作用のしくみまでを扱い、用量は扱っていません。
執筆・編集:Vet Study Library 編集部 監修:獣医師(農林水産省 獣医師名簿第44733号登録)