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止めなければ、自分で悪くなっていく
ショックの悪循環を流れでたどる
読み進めると、左の図が1段ずつ描き足されます。各段の終わりの問いの答えが、次の段です。図のブロックを押すと、その段へ移動します。
1
出発点:組織に届く血液が足りない
大量の出血や脱水、心臓の働きの低下、全身の血管の拡張(敗血症・アナフィラキシー)で、組織に届く血液が足りなくなります(ショック)。
体は、まずどう反応する?
2
代償:交感神経とRAAS
交感神経が働いて心拍数が上がり、皮膚や腸の血管を縮めて、脳と心臓に血液を回します。RAASも働きます。
初期に脈が速く、粘膜が白っぽいのは?
心拍数を上げ、末梢の血管を縮めているからです(CRTも延長します)。
代償が追いつかないと?
3
組織が酸素不足になる
届く酸素が足りず、細胞は効率の悪い方法でエネルギーをつくり、乳酸がたまります(代謝性アシドーシス)。
乳酸値で何がわかる?
組織の酸素不足の程度の目安になります。
酸性になると、血管は?
4
血管が開き、血液が漏れる
酸性化や炎症で細い血管が締まりを失って広がり、壁から血漿が漏れて、血管の中の血液がさらに減ります。
なぜ悪化する?
血管の中の血液が、組織へ逃げてしまうからです。
心臓への影響は?
5
心臓が弱る
アシドーシスと酸素不足で心筋が弱り、送り出す血液がさらに減ります。
これで、血圧はどうなる?
6
悪循環に入る
血圧が下がる → 酸素不足 → 血管と心臓が弱る → さらに血圧が下がる、の悪循環に入ります。
なぜ早い治療が大切?
悪循環に入る前なら、代償の力が残っていて立て直しやすいからです。
悪循環が続くと?
7
多臓器不全とDIC
腎臓・腸・肺・肝臓などが傷つき、血管の中で血液が固まりやすくなってDICを起こすこともあります。傷つきやすい臓器は、犬では腸と肝臓、猫では肺です。
なぜ腸から悪くなりやすい?
腸の血管は真っ先に締められ、粘膜が傷ついて細菌が入りこむからです。
悪循環を断つには?
8
治療①:血液の量を戻す
輸液で循環血液量を戻し、出血では輸血を行います。酸素も吸わせます。
なぜ最初に輸液?
減った血液の量を戻すことが、悪循環の入り口を断つことになるからです。
それでも血圧が上がらないと?
9
治療②:原因と状態に合わせる
- 昇圧薬(ノルアドレナリンなど):輸液のあとも血圧が低いとき、血管を締める
- 強心薬(ドブタミンなど):心臓の働きを助ける(心原性ショック)
- アドレナリン:アナフィラキシーショック
- 原因への治療:止血、感染源の除去と抗菌薬
予測してみよう:出血性ショックの初期の犬で、心拍数は上がる? 下がる?
答えを見る
上がります。交感神経が働き、心拍数を上げて送り出す血液を保とうとするからです。
流れの全体:血液が足りない → 代償(心拍↑・血管収縮)→ 組織の酸素不足(乳酸)→ 血管が開き漏れる → 心臓が弱る → 血圧がさらに下がる → 酸素不足へ戻る悪循環 → 多臓器不全・DIC
流れでたどる シリーズ(シリーズの一覧へ)
- RAAS(血圧)
- 血液凝固
- 甲状腺ホルモン
- 尿ができるまで
- カルシウムの調節
- ビリルビンと黄疸
- 狂犬病ウイルスの旅
- 血糖の調節
- 副腎皮質の軸
- 性周期と排卵
- 分娩の始まり
- 刺激伝導系と心電図
- 酸素が細胞に届くまで
- 牛の第一胃の発酵
- I型アレルギー
- 痛みと鎮痛薬
- 発熱のしくみ
- ショックの悪循環
- 神経の興奮
- 筋肉が縮むしくみ
- 抗体ができるまで
- 傷が治るまで
- 骨折が治るまで
- 脂肪の消化と胆汁
- 血液型と輸血
- 薬が代謝されるまで
- 酸塩基の調節
- むくみのしくみ
- 嘔吐のしくみ
- 視覚が伝わるしくみ
薬は作用のしくみまでを扱い、用量は扱っていません。
執筆・編集:Vet Study Library 編集部 監修:獣医師(農林水産省 獣医師名簿第44733号登録)