流れでたどる|スクロールするたび、流れが一段ずつ動き出す。
吸った空気が、細胞のエネルギーになるまで
酸素の旅を流れでたどる
読み進めると、左の図が1段ずつ描き足されます。各段の終わりの問いの答えが、次の段です。図のブロックを押すと、その段へ移動します。
1
出発点:空気を吸いこむ(換気)
横隔膜が縮んで胸が広がり、空気が鼻・気管・気管支を通って肺胞に届きます。
肺胞で、酸素はどうやって血液に移る?
2
肺胞で拡散する
肺胞と毛細血管の壁はとても薄く、酸素は濃いほう(肺胞)から薄いほう(血液)へ拡散で移ります。二酸化炭素は逆向きに出ていきます。
なぜポンプなしで移れる?
濃さの差(分圧の差)があれば、高いほうから低いほうへ自然に動くからです。
血液の中で、酸素はどう運ばれる?
3
ヘモグロビンが運ぶ
酸素のほとんどは、赤血球のヘモグロビンに結合して運ばれます。血漿に溶けている量はごくわずかです。
SpO₂は何を表す?
ヘモグロビンのうち、酸素と結合しているものの割合です。
全身へは、誰が運ぶ?
4
心臓が全身へ送り出す
酸素を受けとった血液は、肺静脈から左心房・左心室へ入り、大動脈から全身へ送り出されます。
届く酸素の量は何で決まる?
血液に含まれる酸素の量と、心臓が送り出す血液の量のかけ算です。
組織に着いた酸素は?
5
組織で酸素を手放す
二酸化炭素が多く、酸性で、温度の高い組織ほど、ヘモグロビンが酸素を手放しやすくなります(ボーア効果)。
なぜ手放しやすくなる?
よく働いて酸素を必要とする場所ほど、多くの酸素を受けとれるようにするためです。
細胞は、酸素を何に使う?
6
ミトコンドリアでATPをつくる
細胞のミトコンドリアが、酸素を使って糖や脂肪を燃やし、エネルギー(ATP)をつくります。二酸化炭素と水ができます。
酸素がないと?
効率の悪い方法でしかATPをつくれず、乳酸がたまります。
できた二酸化炭素は?
7
二酸化炭素の帰り道
二酸化炭素の多くは、赤血球の炭酸脱水酵素で重炭酸イオン(HCO₃⁻)に変えられ、血漿に乗って肺へ戻り、息として出ていきます。
なぜ形を変える?
水に溶けやすい形にして、たくさん運べるようにするためです。
呼吸の速さは、何で決まる?
8
延髄が呼吸を調節する
延髄が、血液の二酸化炭素の増加(pHの低下)を感じとり、呼吸を速く深くします。酸素の低下は、頸動脈小体などが感じとります。
なぜ主にCO₂で調節する?
CO₂は血液のpHに直結し、少しの変化でも危険だからです。
酸素が届かなくなるのは、流れのどこ?
9
低酸素の4つの原因
- 取りこめない(低酸素血症):肺炎、肺水腫など
- 運べない:貧血、一酸化炭素中毒(COがヘモグロビンをふさぐ)
- 届けられない(循環不全):心不全、ショック
- 使えない:シアン化物中毒(ミトコンドリアが酸素を使えない)
予測してみよう:重い貧血の犬で、SpO₂が正常なら、組織の酸素は足りている?
答えを見る
足りていません。SpO₂は割合なので正常でも、ヘモグロビンの量が少なく、運べる酸素そのものが少ないからです。
流れの全体:換気 → 肺胞で拡散 → ヘモグロビンが運ぶ → 心臓が全身へ → 組織で酸素を手放す → ミトコンドリアでATP → CO₂はHCO₃⁻で肺へ → 延髄が呼吸を調節
流れでたどる シリーズ(シリーズの一覧へ)
- RAAS(血圧)
- 血液凝固
- 甲状腺ホルモン
- 尿ができるまで
- カルシウムの調節
- ビリルビンと黄疸
- 狂犬病ウイルスの旅
- 血糖の調節
- 副腎皮質の軸
- 性周期と排卵
- 分娩の始まり
- 刺激伝導系と心電図
- 酸素が細胞に届くまで
- 牛の第一胃の発酵
- I型アレルギー
- 痛みと鎮痛薬
- 発熱のしくみ
- ショックの悪循環
- 神経の興奮
- 筋肉が縮むしくみ
- 抗体ができるまで
- 傷が治るまで
- 骨折が治るまで
- 脂肪の消化と胆汁
- 血液型と輸血
- 薬が代謝されるまで
- 酸塩基の調節
- むくみのしくみ
- 嘔吐のしくみ
- 視覚が伝わるしくみ
薬は作用のしくみまでを扱い、用量は扱っていません。
執筆・編集:Vet Study Library 編集部 監修:獣医師(農林水産省 獣医師名簿第44733号登録)