流れでたどる|スクロールするたび、流れが一段ずつ動き出す。
血中のカルシウムを一定に保つ
カルシウムの調節を流れでたどる
読み進めると、左の図が1段ずつ描き足されます。各段の終わりの問いの答えが、次の段です。図のブロックを押すと、その段へ移動します。
1
出発点:血中のCa²⁺が下がる
血液中のカルシウムイオン(Ca²⁺)が下がると、筋肉や神経が興奮しやすくなり、けいれんが起こります。
最初に気づくのは、どこ?
2
上皮小体がPTHを出す
上皮小体がCa²⁺の低下を感じとり、上皮小体ホルモン(PTH)を出します。
なぜ上皮小体が見張り役?
細胞の表面に、Ca²⁺を直接感じとるセンサーをもっているからです。
PTHは、まずどこからCa²⁺を集める?
3
① 骨から取り出す
PTHは破骨細胞の働きを強め、骨に貯めたCa²⁺を血液に出させます。
なぜ骨から?
骨は体のCa²⁺のほとんどを貯める貯金箱で、すぐに引き出せるからです。
尿に捨てられる分は、どうする?
4
② 腎臓で取り戻す
腎臓でCa²⁺を取り戻し、代わりにリン(P)を尿へ捨てます。
なぜリンを捨てる?
リンが多いとCa²⁺と結びつき、血中のCa²⁺が増えないからです。
食べ物からの吸収を増やすには?
5
③ ビタミンDを働く形にする
PTHは、腎臓でビタミンDを働く形(カルシトリオール)に変えます。犬や猫は皮膚でビタミンDをほとんどつくれず、食べ物からとります。
なぜ腎臓で最後に変える?
PTHの指令で、必要なときだけ働く形にできるからです。
働く形のビタミンDは、どこに効く?
6
腸で吸収を増やす
働く形のビタミンDが、腸でCa²⁺の吸収を増やします。
なぜ腸も使う?
骨から借りた分を、食べ物から補って返すためです。
Ca²⁺が戻ったら、流れはどうなる?
7
Ca²⁺が戻ると止まる
Ca²⁺が戻ると、上皮小体はPTHを止めます(負のフィードバック)。高すぎるときは、甲状腺のカルシトニンが骨からの取り出しをおさえます。
なぜ止める必要がある?
骨から取り出し続けると、骨がもろくなるからです。
急にCa²⁺が出ていくと、どうなる?
8
乳熱・産褥テタニー
分娩後に乳へ大量のCa²⁺が出ると、取り出しが追いつかず、低カルシウム血症になります(牛の乳熱、犬の産褥テタニー)。
なぜ分娩の直後に多い?
乳をつくり始めると、Ca²⁺が出ていく量が急に増えるからです。
腎臓が悪くなると、流れはどう崩れる?
9
腎臓病で崩れる流れ
腎臓病では、リンを捨てられず、ビタミンDもつくれないため、Ca²⁺が下がりやすくなります。上皮小体はPTHを出し続け(腎性二次性上皮小体機能亢進症)、骨が溶けやすくなります。
予測してみよう:慢性腎臓病の猫に、リンを減らした療法食がすすめられるのはなぜ?
答えを見る
リンが減るとCa²⁺が下がりにくくなり、PTHの出すぎをおさえられるからです。図の②の流れをたどると導けます。
流れの全体:Ca²⁺が下がる → 上皮小体(PTH)→ ①骨から取り出す・②腎臓で取り戻す・③ビタミンDを活性化 → 腸で吸収 → Ca²⁺が戻る → PTHが止まる
流れでたどる シリーズ(シリーズの一覧へ)
- RAAS(血圧)
- 血液凝固
- 甲状腺ホルモン
- 尿ができるまで
- カルシウムの調節
- ビリルビンと黄疸
- 狂犬病ウイルスの旅
- 血糖の調節
- 副腎皮質の軸
- 性周期と排卵
- 分娩の始まり
- 刺激伝導系と心電図
- 酸素が細胞に届くまで
- 牛の第一胃の発酵
- I型アレルギー
- 痛みと鎮痛薬
- 発熱のしくみ
- ショックの悪循環
- 神経の興奮
- 筋肉が縮むしくみ
- 抗体ができるまで
- 傷が治るまで
- 骨折が治るまで
- 脂肪の消化と胆汁
- 血液型と輸血
- 薬が代謝されるまで
- 酸塩基の調節
- むくみのしくみ
- 嘔吐のしくみ
- 視覚が伝わるしくみ
薬は作用のしくみまでを扱い、用量は扱っていません。
執筆・編集:Vet Study Library 編集部 監修:獣医師(農林水産省 獣医師名簿第44733号登録)