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引き金を引くのは胎子
分娩の始まりを流れでたどる
読み進めると、左の図が1段ずつ描き足されます。各段の終わりの問いの答えが、次の段です。図のブロックを押すと、その段へ移動します。
1
出発点:胎子が育ちきる
分娩の引き金を引くのは、母親ではなく胎子です。
胎子は、どうやって合図を出す?
2
胎子のコルチゾールが増える
成熟した胎子の視床下部・下垂体・副腎が働き、胎子のコルチゾールが増えます。
なぜ胎子が決める?
外で生きられるほど育ったことを、胎子自身が知っているからです。コルチゾールは肺の成熟も進めます。
コルチゾールは、どこに働く?
3
胎盤のホルモンが切りかわる
胎子のコルチゾールが胎盤に働き、プロジェステロンが減り、エストロジェンが増えます。
なぜプロジェステロンが減ると始まる?
プロジェステロンは子宮を静かに保つホルモンなので、減ると子宮が動き出せるからです。
エストロジェンが増えると?
4
子宮がPGF₂αを出す
子宮がPGF₂αを出し、黄体を壊して、子宮の筋肉を収縮させ、子宮頸管をやわらかくします。
なぜ黄体を壊す?
黄体のプロジェステロンが残っていると、子宮が十分に収縮できないからです(黄体が妊娠を支える牛・犬など)。
収縮が始まると?
5
子宮頸管が押し広げられ、オキシトシンが出る
胎子が子宮頸管を押し広げると、その刺激が脳に伝わり、下垂体後葉からオキシトシンが出ます。
なぜ押されると出る?
押される刺激を合図に、収縮をさらに強めるためです。
オキシトシンが出ると?
6
正のフィードバックで強まる
オキシトシンで子宮が強く収縮 → 胎子がさらに押し出される → さらにオキシトシン…と、娩出まで強まり続けます(正のフィードバック)。
なぜ負ではなく正?
途中で止まらず、最後まで一気に押し出す必要があるからです。
娩出はどう進む?
7
分娩の3つの段階
開口期(子宮頸管が開く)→ 産出期(胎子が出る)→ 後産期(胎盤が出る)と進みます。
犬の分娩が近いサインは?
分娩の前日ごろ、プロジェステロンが下がって、体温が約1℃下がります。
生まれたあとのオキシトシンは?
8
分娩のあと:射乳
子が乳を吸う刺激でオキシトシンが出て、乳が出ます(射乳)。子宮も元の大きさに戻ります。
なぜ吸われると出る?
吸う刺激を合図に、必要なときだけ乳を出すためです。
うまく進まないときは?
9
難産と薬
- オキシトシン製剤:子宮の収縮が弱いとき(子宮頸管が開き、胎子の向きが正常な場合)
- PGF₂α製剤・デキサメタゾン:牛で分娩を誘発するとき(デキサメタゾンは胎子のコルチゾールの代わり)
- 帝王切開:胎子が大きすぎる、向きが悪いなどで出られないとき
予測してみよう:子宮頸管が開いていないのにオキシトシンを使うと?
答えを見る
子宮が強く収縮しても出口が開いていないため、子宮が破れるおそれがあります。
流れの全体:胎子が育ちきる → 胎子のコルチゾール → 胎盤(プロジェステロン↓・エストロジェン↑)→ 子宮のPGF₂α → 子宮頸管が押し広げられる → オキシトシン → 子宮の収縮(正のフィードバック)→ 娩出 → 射乳
流れでたどる シリーズ(シリーズの一覧へ)
- RAAS(血圧)
- 血液凝固
- 甲状腺ホルモン
- 尿ができるまで
- カルシウムの調節
- ビリルビンと黄疸
- 狂犬病ウイルスの旅
- 血糖の調節
- 副腎皮質の軸
- 性周期と排卵
- 分娩の始まり
- 刺激伝導系と心電図
- 酸素が細胞に届くまで
- 牛の第一胃の発酵
- I型アレルギー
- 痛みと鎮痛薬
- 発熱のしくみ
- ショックの悪循環
- 神経の興奮
- 筋肉が縮むしくみ
- 抗体ができるまで
- 傷が治るまで
- 骨折が治るまで
- 脂肪の消化と胆汁
- 血液型と輸血
- 薬が代謝されるまで
- 酸塩基の調節
- むくみのしくみ
- 嘔吐のしくみ
- 視覚が伝わるしくみ
薬は作用のしくみまでを扱い、用量は扱っていません。
執筆・編集:Vet Study Library 編集部 監修:獣医師(農林水産省 獣医師名簿第44733号登録)