流れでたどる|スクロールするたび、流れが一段ずつ動き出す。
Ca²⁺がスイッチを入れる
筋肉が縮むしくみを流れでたどる
読み進めると、左の図が1段ずつ描き足されます。各段の終わりの問いの答えが、次の段です。図のブロックを押すと、その段へ移動します。
1
出発点:運動神経からの信号
運動神経の終末からアセチルコリンが出て、筋線維のニコチン受容体に結合します(神経筋接合部)。
信号を受けとった筋線維は?
2
筋線維の膜が興奮し、T管で奥へ
筋線維の膜に活動電位が起こり、T管を通って筋線維の奥まで伝わります。
なぜT管がある?
太い筋線維の内部まで、一瞬で信号を届けるためです。
奥に届いた信号は、何を起こす?
3
筋小胞体からCa²⁺が出る
信号を受けた筋小胞体が、蓄えていたCa²⁺を細胞の中に放出します。
心筋も同じ?
心筋では、細胞の外から入るCa²⁺も引き金になります。
Ca²⁺は、何に結合する?
4
トロポニンにCa²⁺が結合する
Ca²⁺がトロポニンに結合すると、トロポミオシンがずれて、アクチンの結合部位が現れます。
ふだん縮まないのは?
トロポミオシンが、結合部位をふさいでいるからです。
現れた結合部位に、何がつく?
5
ミオシンが首を振る(クロスブリッジ)
ミオシン頭部がアクチンに結合し、首を振ってアクチンを引き寄せます。
ATPは何に使う?
ミオシンがアクチンから離れ、次の首振りの準備をするのに使います。
これをくり返すと?
6
サルコメアが短くなる
首振りをくり返し、アクチンがミオシンの間に滑りこんでサルコメアが短くなり、筋が縮みます(滑走説)。
フィラメント自体は縮む?
いいえ。長さは変わらず、重なりが増えるだけです。
信号が止まると?
7
Ca²⁺を戻して、ゆるむ
信号が止まると、Ca²⁺はATPを使うポンプで筋小胞体に戻され、トロポミオシンが再び結合部位をふさいで筋がゆるみます。
死後硬直が起こるのは?
ATPがなくなり、ミオシンがアクチンから離れられなくなるからです。
筋の種類で、しくみは違う?
8
骨格筋・心筋・平滑筋
骨格筋は神経の指令で、心筋は自分のリズム(刺激伝導系)で縮みます。平滑筋はゆっくり縮み、トロポニンではなくカルモジュリンがCa²⁺を受けとります。
心筋が疲れにくいのは?
ミトコンドリアが多く、休みなく酸素を使ってATPをつくれるからです。
流れのどこが崩れると、病気になる?
9
病気と薬
- 重症筋無力症:アセチルコリン受容体への自己抗体で、信号が伝わりにくくなる(巨大食道症を伴う犬も)
- 筋弛緩薬:ニコチン受容体をふさぎ、手術中に筋をゆるめる
- 悪性高熱症:吸入麻酔薬などで筋小胞体からCa²⁺が出続け、体温が急上昇する
- 低カルシウム血症:神経と筋が興奮しやすくなり、けいれんが起こる
予測してみよう:悪性高熱症にダントロレンが効くのはなぜ?
答えを見る
筋小胞体からのCa²⁺の放出を止め、止まらなくなった収縮と熱の産生をおさえるからです。
流れの全体:運動神経(アセチルコリン)→ 筋線維の膜・T管 → 筋小胞体からCa²⁺ → トロポニン → クロスブリッジ → サルコメアが短くなる → ATPでCa²⁺を戻して弛緩
流れでたどる シリーズ(シリーズの一覧へ)
- RAAS(血圧)
- 血液凝固
- 甲状腺ホルモン
- 尿ができるまで
- カルシウムの調節
- ビリルビンと黄疸
- 狂犬病ウイルスの旅
- 血糖の調節
- 副腎皮質の軸
- 性周期と排卵
- 分娩の始まり
- 刺激伝導系と心電図
- 酸素が細胞に届くまで
- 牛の第一胃の発酵
- I型アレルギー
- 痛みと鎮痛薬
- 発熱のしくみ
- ショックの悪循環
- 神経の興奮
- 筋肉が縮むしくみ
- 抗体ができるまで
- 傷が治るまで
- 骨折が治るまで
- 脂肪の消化と胆汁
- 血液型と輸血
- 薬が代謝されるまで
- 酸塩基の調節
- むくみのしくみ
- 嘔吐のしくみ
- 視覚が伝わるしくみ
薬は作用のしくみまでを扱い、用量は扱っていません。
執筆・編集:Vet Study Library 編集部 監修:獣医師(農林水産省 獣医師名簿第44733号登録)