刺激伝導系と心電図を流れでたどる|P波・QRS波・T波と不整脈

流れでたどる|スクロールするたび、流れが一段ずつ動き出す。

電気の信号が心臓を一周するまで
刺激伝導系と心電図を流れでたどる

読み進めると、左の図が1段ずつ描き足され、下の心電図も1区間ずつ描かれます。各段の終わりの問いの答えが、次の段です。

洞房結節ペースメーカー心房心房が縮む(P波)房室結節ゆっくり通すヒス束・脚中隔を下りるプルキンエ線維心室が縮む(QRS)心室が戻る再分極(T波)次の拍へPPRQRST心電図(1拍分)房室ブロック心房細動β遮断薬ジゴキシンアトロピン洞房結節右心房から信号を出す心房信号が広がり心房が縮む(P波)房室結節信号をゆっくり通す(PR間隔)ヒス束・脚心室中隔を左右に分かれて下りるプルキンエ線維心室全体に一気に届く(QRS波)心室が戻る心室の筋肉が元に戻る(T波)次の拍へPPRQRST心電図(1拍分)房室ブロック心房細動アトロピンβ遮断薬・ジゴキシン

1

出発点:洞房結節が信号を出す

右心房の洞房結節が、規則正しく電気の信号を出します。心臓のペースメーカーです。

信号は、まずどこへ広がる?

2

心房に広がる(P波)

信号が左右の心房に広がり、心房が縮みます。心電図ではP波になります。

なぜ心房から先に縮む?

心房から心室へ血液を送りこみ、心室を満たしてから縮ませるためです。

心室へは、どこを通って伝わる?

3

房室結節でひと呼吸おく(PR間隔)

心房と心室のあいだは電気を通さず、信号は房室結節だけを通ります。ここで伝わる速さが遅くなり、心電図のPR間隔になります。

なぜわざと遅らせる?

心房が血液を送りきるまで、心室が縮むのを待つためです。

房室結節を出た信号は?

4

ヒス束から左右の脚へ

信号はヒス束を通り、心室中隔を左右の脚に分かれて下ります。

なぜ中隔を通る?

左右の心室に、同時に信号を届けるためです。

心室の筋肉の隅々へは?

5

プルキンエ線維で心室全体へ(QRS波)

プルキンエ線維が信号を一気に心室全体へ届け、心室が縮みます。心電図ではQRS波です。

なぜ一気に届ける?

心室全体がほぼ同時に縮まないと、血液を力強く押し出せないからです。

縮んだ心室は、どうなる?

6

心室が元に戻る(T波)

心室の筋肉が電気的に元の状態に戻ります(再分極)。心電図ではT波です。その間に、洞房結節が次の信号を準備します。

心房が戻る波は?

QRS波と重なるため、ふつうは見えません。

房室結節で信号が止まると?

7

房室ブロック

房室結節で信号が遅れたり止まったりします。1度はPR間隔が長いだけ、2度はP波のあとのQRS波がときどき抜け、3度は心房と心室がばらばらに動きます。

3度でも心室が動くのはなぜ?

心室の下のほうにも、遅いペースメーカーの力が残っているからです。

心房が細かく震えると?

8

心房細動

心房のあちこちから無秩序に信号が出て、P波が消え、QRS波の間隔が不規則になります。大型犬や、心臓が大きくなった犬に多くみられます。

なぜ脈がばらばらになる?

房室結節に届く信号がばらばらで、通った分だけ心室が縮むからです。

薬で、流れのどこを変える?

9

薬で信号の流れを変える

  • アトロピン:迷走神経のブレーキを外し、洞房結節と房室結節の働きを速める
  • β遮断薬:交感神経の刺激をおさえ、心拍数と房室結節の伝わり方をゆっくりにする
  • ジゴキシン:迷走神経の働きを強め、房室結節の伝わり方を遅くする(心房細動の心拍数の調節)
  • ペースメーカー(機械):3度房室ブロックなどで、外から信号を送る

予測してみよう:心電図でP波が見えず、QRS波の間隔がばらばら。考えられるのは?

答えを見る

心房細動です。心房が無秩序に震えてP波が消え、心室には不規則に信号が届きます。

流れの全体:洞房結節 → 心房(P波)→ 房室結節(PR間隔)→ ヒス束・脚 → プルキンエ線維(QRS波)→ 心室が戻る(T波)→ 次の拍へ

流れでたどる シリーズ(シリーズの一覧へ)

薬は作用のしくみまでを扱い、用量は扱っていません。
執筆・編集:Vet Study Library 編集部 監修:獣医師(農林水産省 獣医師名簿第44733号登録)