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かみ傷から脳へ、そして次の動物へ
狂犬病ウイルスの旅を流れでたどる
読み進めると、左の図が1段ずつ描き足されます。各段の終わりの問いの答えが、次の段です。図のブロックを押すと、その段へ移動します。
1
出発点:かまれる
狂犬病ウイルスは、感染した動物の唾液に含まれ、かみ傷から体に入ります。
入ったウイルスは、まずどこで増える?
2
傷の近くの筋肉で増える
しばらくは、傷の近くの筋肉で少しずつ増えます。
なぜすぐに症状が出ない?
血液にほとんど入らずゆっくり増えるので、免疫にも気づかれにくいからです。
次は、どこへ向かう?
3
末梢神経をさかのぼる
神経と筋肉のつなぎ目から末梢神経に入り、神経の中を脳の方向へさかのぼります。
なぜ潜伏期が長く、ばらつく?
神経の中を移動するので、かまれた場所が脳から遠いほど時間がかかるからです。
中枢神経に入ると?
4
脊髄から脳へ
脊髄を経て脳に届くと、ウイルスは一気に増えます。
なぜ中枢神経で一気に増える?
神経細胞がたくさん集まり、次々に広がれる場所だからです。
脳では何が起こる?
5
脳で増え、発症する
神経細胞の中にネグリ小体(ウイルスのかたまり)ができ、行動の変化やまひが現れます。前駆期のあと、興奮してかみつく狂躁型か、まひが目立つ麻痺型に進み、発症するとほぼ100%亡くなります。
なぜよだれが多くなる?
のどの筋肉がまひして、唾液を飲みこめなくなるからです。
脳で増えたウイルスは、どこへ?
6
唾液腺へ下り、次の動物へ
脳から神経をたどって外へ広がり、唾液腺で増えて唾液に出ます。かみつけば、次の動物にうつります。
なぜ唾液に出る?
かみつきで次の動物に入れる、ウイルスにとって都合のよい出口だからです。
この輪を断つには?
7
予防①:犬の予防注射
犬には毎年、狂犬病の予防注射(狂犬病予防法)。前もって抗体をつくれるよう準備させます。
なぜ多くの犬に打つ?
多くの犬が免疫をもてば、感染の輪そのものを断てるからです。
人がかまれてしまったら?
8
予防②:かまれたあとのワクチン
人がかまれたら、すぐに傷をよく洗い、かまれたあとのワクチン(暴露後接種)を受けます。
なぜ、かまれてからでも間に合う?
ウイルスが神経をさかのぼって脳に届くまでに時間がかかり、その間に抗体をつくれるからです。
人をかんだ犬は、どうする?
9
法律と診断
- 狂犬病予防法:犬の登録、毎年の予防注射、鑑札と注射済票の装着
- 人をかんだ犬は、一定の期間係留して観察する
- 診断は、脳のネグリ小体や、蛍光抗体法でウイルスを確かめる
予測してみよう:かまれた場所が頭に近いほど、潜伏期は長くなる? 短くなる?
答えを見る
短くなりやすくなります。神経をさかのぼって脳に届くまでの距離が短いからです。
流れの全体:かまれる → 傷の近くの筋肉で増える → 末梢神経を脳へさかのぼる → 脊髄から脳 → 脳で増えて発症 → 唾液腺から唾液へ → かみつきで次の動物へ
流れでたどる シリーズ(シリーズの一覧へ)
- RAAS(血圧)
- 血液凝固
- 甲状腺ホルモン
- 尿ができるまで
- カルシウムの調節
- ビリルビンと黄疸
- 狂犬病ウイルスの旅
- 血糖の調節
- 副腎皮質の軸
- 性周期と排卵
- 分娩の始まり
- 刺激伝導系と心電図
- 酸素が細胞に届くまで
- 牛の第一胃の発酵
- I型アレルギー
- 痛みと鎮痛薬
- 発熱のしくみ
- ショックの悪循環
- 神経の興奮
- 筋肉が縮むしくみ
- 抗体ができるまで
- 傷が治るまで
- 骨折が治るまで
- 脂肪の消化と胆汁
- 血液型と輸血
- 薬が代謝されるまで
- 酸塩基の調節
- むくみのしくみ
- 嘔吐のしくみ
- 視覚が伝わるしくみ
薬は作用のしくみまでを扱い、用量は扱っていません。
執筆・編集:Vet Study Library 編集部 監修:獣医師(農林水産省 獣医師名簿第44733号登録)