流れでたどる|スクロールするたび、流れが一段ずつ動き出す。
軟骨の橋から、元の形の骨へ
骨折が治るまでを流れでたどる
読み進めると、左の図が1段ずつ描き足されます。各段の終わりの問いの答えが、次の段です。図のブロックを押すと、その段へ移動します。
1
出発点:骨が折れる
骨が折れると、骨の中や周りの血管も切れて出血します。
折れた端のあいだに、まず何ができる?
2
血腫ができる
折れた端のあいだに血腫ができ、炎症が起こります。
血腫は邪魔もの?
いいえ。修復を始める細胞や成長因子が集まる、足場と合図になります。
次に集まるのは?
3
修復する細胞が集まる
炎症細胞と、骨や軟骨のもとになる間葉系幹細胞が集まり、血管が伸びてきます。
折れた端を、まず何でつなぐ?
4
軟性仮骨で仮につなぐ
軟骨や線維でできた軟性仮骨が、折れた端どうしを仮につなぎます(数週)。
なぜ先に軟骨?
血流が少なく、動きもある場所では、まず軟骨で橋をかけるほうが早いからです。
軟骨は、どう変わる?
5
硬性仮骨で固くつながる
軟骨が骨に置きかわり(内軟骨性骨化)、ふくらんだ骨(硬性仮骨)で固くつながります。
X線で骨折線の周りが白くふくらむのは?
硬性仮骨ができているからです。
ふくらんだ骨は、どうなる?
6
リモデリングで元の形へ
破骨細胞が余分な骨を削り、骨芽細胞が必要な場所に骨をつくり、数か月〜年単位で元の形に近づきます。
なぜ元の形に戻れる?
骨にかかる力に合わせて、削る・つくるをくり返すからです(ウォルフの法則)。
固定のしかたで、治り方は変わる?
7
一次骨癒合と二次骨癒合
プレートなどで隙間なく強く固定すると、仮骨をほとんどつくらずに直接つながります(一次骨癒合)。少し動く固定では、仮骨を経て治ります(二次骨癒合)。
どちらがよい?
骨折の型や部位、動物に合わせて選びます。
治りを遅らせるのは?
8
治りを遅らせるもの
- 固定が不十分:動きすぎて仮骨が壊れる
- 血流不足:細胞と酸素が届かない
- 感染(骨髄炎)、隙間が大きい、高齢・低栄養
- 治りが遅れると遷延癒合、つながらないと偽関節になる
動物で、特に注意することは?
9
動物での注意
- 若い動物は治りが早い
- トイ種の前腕(橈尺骨の遠位)の骨折は、血流が乏しく骨も細いため、癒合不全を起こしやすい
- 成長板の骨折は、その後の骨の成長に影響することがある
- カルシウム・リン・ビタミンDの栄養も、骨の修復を支える
予測してみよう:トイ種の前腕の骨折で、治りが悪くなりやすいのはなぜ?
答えを見る
骨の遠位端の血流が乏しく、骨も細くて固定が難しいため、仮骨がつくられにくいからです。
流れの全体:骨折 → 血腫 → 修復する細胞が集まる → 軟性仮骨 → 硬性仮骨 → リモデリング(強い固定では仮骨を経ずに一次骨癒合)
流れでたどる シリーズ(シリーズの一覧へ)
- RAAS(血圧)
- 血液凝固
- 甲状腺ホルモン
- 尿ができるまで
- カルシウムの調節
- ビリルビンと黄疸
- 狂犬病ウイルスの旅
- 血糖の調節
- 副腎皮質の軸
- 性周期と排卵
- 分娩の始まり
- 刺激伝導系と心電図
- 酸素が細胞に届くまで
- 牛の第一胃の発酵
- I型アレルギー
- 痛みと鎮痛薬
- 発熱のしくみ
- ショックの悪循環
- 神経の興奮
- 筋肉が縮むしくみ
- 抗体ができるまで
- 傷が治るまで
- 骨折が治るまで
- 脂肪の消化と胆汁
- 血液型と輸血
- 薬が代謝されるまで
- 酸塩基の調節
- むくみのしくみ
- 嘔吐のしくみ
- 視覚が伝わるしくみ
薬は作用のしくみまでを扱い、用量は扱っていません。
執筆・編集:Vet Study Library 編集部 監修:獣医師(農林水産省 獣医師名簿第44733号登録)