流れでたどる|スクロールするたび、流れが一段ずつ動き出す。
水に溶けない脂肪を、どう運ぶ?
脂肪の消化と胆汁を流れでたどる
読み進めると、左の図が1段ずつ描き足されます。各段の終わりの問いの答えが、次の段です。図のブロックを押すと、その段へ移動します。
1
出発点:脂肪を食べる
食べ物の脂肪の多くは中性脂肪(トリグリセリド)で、水に溶けません。
水に溶けない脂肪を、どう消化する?
2
CCKの合図で胆嚢が縮む
脂肪が十二指腸に届くとコレシストキニン(CCK)が出て、胆嚢を縮め、胆汁を十二指腸へ送り出します。
胆汁はどこでつくる?
肝臓でつくられ、胆嚢でためて濃くされます。馬には胆嚢がなく、胆汁は肝臓から流れ続けます。
胆汁は、脂肪に何をする?
3
胆汁酸で乳化する
胆汁酸が脂肪を細かい粒に分けます(乳化)。
なぜ細かくする?
表面積が広がり、消化酵素が働きやすくなるからです。
細かくなった脂肪を、何が分解する?
4
膵リパーゼで分解する
膵臓から出るリパーゼが、中性脂肪を脂肪酸とモノグリセリドに分解します。
膵臓の働きが落ちると?
脂肪が分解されず、便に脂肪が多く出ます(犬の膵外分泌不全)。
分解された脂肪は、どう運ばれる?
5
ミセルになって運ばれる
脂肪酸などは胆汁酸とミセルという小さな集まりをつくり、小腸の絨毛の表面まで運ばれます。
小腸の細胞に入ると?
6
カイロミクロンに包まれる
小腸の上皮細胞で中性脂肪に組み直され、タンパク質に包まれたカイロミクロンになります。
なぜ包む?
水になじむ形にして、体の中を運べるようにするためです。
カイロミクロンは、どこへ?
7
中心乳び管からリンパ管へ
カイロミクロンは大きいので毛細血管に入れず、中心乳び管からリンパ管へ入り、胸管を経て静脈へ合流します。
食後の血液が白く濁るのは?
カイロミクロンが増えるからです(食後の高脂血)。
胆汁酸は、どうなる?
8
胆汁酸の腸肝循環
胆汁酸の多くは回腸で吸収され、門脈で肝臓に戻って再利用されます(腸肝循環)。
血中の胆汁酸で何がわかる?
肝臓の取りこむ力が落ちると血中に多く残るので、食前・食後の総胆汁酸が肝機能の検査に使われます。
流れのどこが崩れると?
9
流れが崩れる病気
- 膵外分泌不全:リパーゼが足りず、脂肪便と体重減少(膵酵素を補う)
- 胆管閉塞:胆汁が腸に届かず、脂肪と脂溶性ビタミン(A・D・E・K)の吸収が落ちる
- リンパ管拡張症:乳び管が詰まり、脂肪とタンパク質が失われる(蛋白漏出性腸症)
- 膵炎:高脂肪の食事が引き金になることがある
予測してみよう:胆管が詰まった犬で、血液が固まりにくくなるのはなぜ?
答えを見る
胆汁が腸に届かず、脂溶性のビタミンKを吸収できなくなるからです。ビタミンKは凝固因子づくりに必要です。
流れの全体:脂肪 → CCKで胆嚢が縮む → 胆汁酸で乳化 → 膵リパーゼで分解 → ミセル → 小腸の細胞でカイロミクロン → 中心乳び管からリンパ管へ/胆汁酸は腸肝循環で肝臓へ戻る
流れでたどる シリーズ(シリーズの一覧へ)
- RAAS(血圧)
- 血液凝固
- 甲状腺ホルモン
- 尿ができるまで
- カルシウムの調節
- ビリルビンと黄疸
- 狂犬病ウイルスの旅
- 血糖の調節
- 副腎皮質の軸
- 性周期と排卵
- 分娩の始まり
- 刺激伝導系と心電図
- 酸素が細胞に届くまで
- 牛の第一胃の発酵
- I型アレルギー
- 痛みと鎮痛薬
- 発熱のしくみ
- ショックの悪循環
- 神経の興奮
- 筋肉が縮むしくみ
- 抗体ができるまで
- 傷が治るまで
- 骨折が治るまで
- 脂肪の消化と胆汁
- 血液型と輸血
- 薬が代謝されるまで
- 酸塩基の調節
- むくみのしくみ
- 嘔吐のしくみ
- 視覚が伝わるしくみ
薬は作用のしくみまでを扱い、用量は扱っていません。
執筆・編集:Vet Study Library 編集部 監修:獣医師(農林水産省 獣医師名簿第44733号登録)