流れでたどる|スクロールするたび、流れが一段ずつ動き出す。
3つの入り口、1つの司令塔
嘔吐のしくみを流れでたどる
読み進めると、左の図が1段ずつ描き足されます。各段の終わりの問いの答えが、次の段です。図のブロックを押すと、その段へ移動します。
1
出発点:吐く刺激が入る
胃腸の刺激、血液中の毒素や薬、乗り物酔い、脳の病気など、さまざまな刺激が嘔吐のきっかけになります。
刺激は、どんな道で伝わる?
2
経路①:胃腸から迷走神経
胃腸の粘膜が刺激されると(胃炎、異物、腸の閉塞など)、迷走神経などを通って脳に伝わります。
腸が詰まっても吐くのは?
腸が引きのばされる刺激も、迷走神経が脳に伝えるからです。
血液中の毒素や薬は?
3
経路②:化学受容器引き金帯(CRTZ)
脳の化学受容器引き金帯(CRTZ)は血液脳関門の外にあり、血液中の毒素、尿毒症物質、薬(抗がん剤など)を感じとります。
腎不全で吐くのは?
たまった尿毒症物質を、CRTZが感じとるからです。
乗り物酔いは?
4
経路③:前庭
乗り物酔いや前庭の病気では、内耳の前庭からの信号が嘔吐を起こします。
犬と猫で違う?
犬では主にCRTZを経由し、猫では直接嘔吐中枢へ向かうとされます。
3つの道の信号は、どこに集まる?
5
嘔吐中枢に集まる
信号は延髄の嘔吐中枢に集まり、ここが吐くかどうかを決めます。
脳の病気で吐くのは?
脳圧の上昇などで、嘔吐中枢が直接刺激されるからです。
嘔吐中枢は、体にどう指令する?
6
前ぶれ(悪心)
よだれ、くり返しの飲みこみ、唇をなめるなどの前ぶれが出ます。
吐出との違いは?
吐出は前ぶれやお腹の力を伴わず、食道の中身が出てくるものです(巨大食道症など)。
吐くとき、体は?
7
吐く:腹筋と横隔膜
声門が閉じ、腹筋と横隔膜が強く縮んで、胃の中身が押し出されます。
意識が落ちていると危ないのは?
気道を守る働きが弱まり、誤嚥性肺炎を起こしやすいからです。
吐き続けると?
8
吐き続けると
水分とともに、胃液のH⁺・Cl⁻・K⁺を失い、脱水、低Cl⁻・低K⁺、代謝性アルカローシスになります。
薬で、流れのどこを止める?
9
制吐薬の作用点
- マロピタント:嘔吐中枢などのNK₁受容体をふさぐ(いろいろな経路に効く)
- メトクロプラミド:CRTZのD₂受容体をふさぎ、胃の動きも促す
- オンダンセトロン:5-HT₃受容体をふさぐ(抗がん剤による嘔吐など)
- 抗ヒスタミン薬:前庭からの経路をおさえる(犬の乗り物酔い)
予測してみよう:腸閉塞が疑われる犬に、胃腸の動きを促すメトクロプラミドを使うのは?
答えを見る
避けます。詰まった腸の動きを強めると、腸を傷めるおそれがあるからです。まず閉塞を確かめます。
流れの全体:刺激 → ①胃腸(迷走神経)・②CRTZ(血中の毒素)・③前庭 → 嘔吐中枢(延髄)→ 前ぶれ → 吐く → 吐き続けると脱水・低Cl⁻・低K⁺・代謝性アルカローシス
流れでたどる シリーズ(シリーズの一覧へ)
- RAAS(血圧)
- 血液凝固
- 甲状腺ホルモン
- 尿ができるまで
- カルシウムの調節
- ビリルビンと黄疸
- 狂犬病ウイルスの旅
- 血糖の調節
- 副腎皮質の軸
- 性周期と排卵
- 分娩の始まり
- 刺激伝導系と心電図
- 酸素が細胞に届くまで
- 牛の第一胃の発酵
- I型アレルギー
- 痛みと鎮痛薬
- 発熱のしくみ
- ショックの悪循環
- 神経の興奮
- 筋肉が縮むしくみ
- 抗体ができるまで
- 傷が治るまで
- 骨折が治るまで
- 脂肪の消化と胆汁
- 血液型と輸血
- 薬が代謝されるまで
- 酸塩基の調節
- むくみのしくみ
- 嘔吐のしくみ
- 視覚が伝わるしくみ
薬は作用のしくみまでを扱い、用量は扱っていません。
執筆・編集:Vet Study Library 編集部 監修:獣医師(農林水産省 獣医師名簿第44733号登録)