流れでたどる|スクロールするたび、流れが一段ずつ動き出す。
血液から尿ができるまで
腎臓を流れでたどる
読み進めると、左の図が1段ずつ描き足されます。各段の終わりの問いの答えが、次の段です。図のブロックを押すと、その段へ移動します。
1
血液が腎臓に入る
心臓から送り出される血液のおよそ5分の1が、腎臓に流れこみます。
この血液を、まずどこでこす?
2
糸球体でこす
毛細血管のかたまり糸球体で、血液から水と小さな物質がこし出され、原尿になります。血球やタンパク質は残ります。
なぜタンパク質は出ない?
こしとる膜の目が細かく、マイナスの電気も帯びていて、大きなタンパク質を通さないからです。
原尿は大量。そのまま捨てたら?
3
近位尿細管で大部分を戻す
原尿の水とNa⁺のおよそ3分の2、ブドウ糖やアミノ酸はほぼすべてを、血液に戻します。
なぜ先に大量に戻す?
必要なものをまとめて回収し、残りを後ろの段で細かく調節するためです。
尿を濃くするしくみは、どこにある?
4
ヘンレループで濃さの勾配をつくる
下りる部分は水だけを通し、上る太い部分はNa⁺・K⁺・Cl⁻を汲み出します(水は通さない)。腎臓の奥ほど濃い環境ができます。
なぜ濃い環境をつくる?
あとで水を引き戻して、尿を濃くできるようにするためです。
体の状態に合わせた調節は、どこで?
5
遠位尿細管で微調整
Na⁺とCl⁻をさらに取り戻し、上皮小体ホルモン(PTH)の働きでCa²⁺も取り戻します。
なぜここで微調整?
大部分はすでに回収済みなので、残りを体の必要に合わせて加減すればよいからです。
最後の仕上げは?
6
集合管でホルモンが仕上げる
アルドステロンがNa⁺を取り戻してK⁺を捨て、ADHが水の通り道を開いて水を引き戻します。
なぜ最後の段をホルモンで変える?
ここで量を決めれば、その日の水分や塩分に合わせて、尿の量と濃さを変えられるからです。
できた尿は、どこへ?
7
尿として出ていく
腎盤 → 尿管 → 膀胱 → 尿道へ。原尿の99%ほどは取り戻され、残りが尿になります。
なぜ膀胱にためる?
少しずつ流し続けず、まとめて出せるようにするためです。
腎臓の働きは、尿のどこでわかる?
8
尿比重で濃縮の力を見る
尿をどれだけ濃くできたかは尿比重でわかります。脱水なのに尿が薄ければ、濃縮の力が落ちています。
なぜ慢性腎臓病では尿が薄くなる?
働くネフロンが減り、濃さの勾配と水の引き戻しが弱まるからです。
流れの途中を薬で止めると?
9
利尿薬の作用点
- ループ利尿薬(フロセミド):ヘンレループの汲み出しを止める。作用がいちばん強い
- サイアザイド系:遠位尿細管のNa⁺・Cl⁻の取り戻しを止める
- K保持性利尿薬(スピロノラクトン):集合管でアルドステロンの働きを止める。図の「K保持性」
- マンニトール:こし出されたまま戻らず、水を引き連れて出る
予測してみよう:ループ利尿薬を使い続けると、血中のK⁺は上がる? 下がる?
答えを見る
下がりやすくなります。集合管に届くNa⁺が増え、Na⁺を取り戻す代わりにK⁺が尿へ捨てられるからです。
流れの全体:血液が入る → 糸球体でこす → 近位尿細管で大部分を戻す → ヘンレループで濃さの勾配 → 遠位尿細管で微調整 → 集合管でホルモンが仕上げ → 尿になる
流れでたどる シリーズ(シリーズの一覧へ)
- RAAS(血圧)
- 血液凝固
- 甲状腺ホルモン
- 尿ができるまで
- カルシウムの調節
- ビリルビンと黄疸
- 狂犬病ウイルスの旅
- 血糖の調節
- 副腎皮質の軸
- 性周期と排卵
- 分娩の始まり
- 刺激伝導系と心電図
- 酸素が細胞に届くまで
- 牛の第一胃の発酵
- I型アレルギー
- 痛みと鎮痛薬
- 発熱のしくみ
- ショックの悪循環
- 神経の興奮
- 筋肉が縮むしくみ
- 抗体ができるまで
- 傷が治るまで
- 骨折が治るまで
- 脂肪の消化と胆汁
- 血液型と輸血
- 薬が代謝されるまで
- 酸塩基の調節
- むくみのしくみ
- 嘔吐のしくみ
- 視覚が伝わるしくみ
薬は作用のしくみまでを扱い、用量は扱っていません。
執筆・編集:Vet Study Library 編集部 監修:獣医師(農林水産省 獣医師名簿第44733号登録)