流れでたどる|スクロールするたび、流れが一段ずつ動き出す。
効く形から、出せる形へ
薬が代謝されるまでを流れでたどる
読み進めると、左の図が1段ずつ描き足されます。各段の終わりの問いの答えが、次の段です。図のブロックを押すと、その段へ移動します。
1
出発点:薬が吸収される
口から入った薬は、小腸で吸収されます。
吸収された薬は、まずどこへ?
2
門脈から肝臓へ(初回通過効果)
吸収された薬は門脈を通り、全身に出る前に肝臓を通ります。ここで一部が代謝され、効く量が減ります(初回通過効果)。
静脈注射の薬は?
肝臓を通る前に全身に入るので、同じ薬でも、飲む場合と効く量が変わります。
肝臓では、まず何をする?
3
第Ⅰ相反応:形を変える
シトクロムP450などの酵素が、酸化などで薬の形を少し変えます(第Ⅰ相反応)。
代謝されると効かなくなる?
ふつうは弱まりますが、代謝されて初めて効く薬(プロドラッグ)もあります。
次に、何をつける?
4
第Ⅱ相反応:抱合で水に溶ける形に
グルクロン酸などを結合させて(抱合)、水に溶けやすくします。
猫が苦手なのは?
猫はグルクロン酸抱合の働きが弱く、アセトアミノフェンなどを処理しきれず中毒を起こします。
水に溶けやすくなった薬は?
5
胆汁から便へ
一部は胆汁に出され、腸から便として出ます。腸で再び吸収されて肝臓へ戻るものもあります(腸肝循環)。
残りは、どこから出る?
6
腎臓から尿へ
水に溶けやすくなった代謝物の多くは、腎臓でこされて尿に出ます。
腎臓が悪いと?
薬や代謝物が体に残りやすく、効きすぎや副作用に注意が必要です。
肝臓の酵素が増えたり減ったりすると?
7
酵素の誘導と阻害(薬の相互作用)
フェノバルビタールなどはP450を増やし(酵素誘導)、ほかの薬の代謝を速めます。反対に、P450の働きを止める薬もあります(酵素阻害)。
一緒に使うと何が起こる?
併用する薬が効きにくくなったり、効きすぎたりします。
肝臓の働きが落ちていると?
8
肝臓の働きが落ちていると
肝臓病や門脈体循環シャント、幼い動物や高齢の動物では代謝が遅く、薬が体に残りやすくなります。
シャントで麻酔薬に注意するのは?
血液が肝臓を通らないので代謝されにくく、効きすぎたり覚めにくかったりするからです。
動物で、特に注意する例は?
9
動物による違い
- 猫:グルクロン酸抱合が弱い。アセトアミノフェンは禁物で、一部のNSAIDsにも注意
- コリー系の犬(MDR1遺伝子の変異):イベルメクチンなどが脳に入りやすい(代謝ではなく、薬を外へ出すポンプの違い)
- 牛などの産業動物:薬が肉や乳に残らないよう、休薬期間を守る
予測してみよう:猫にアセトアミノフェンを与えてはいけないのはなぜ?
答えを見る
グルクロン酸抱合が弱く、処理しきれずに有害な代謝物がたまり、赤血球や肝臓が傷むからです。
流れの全体:吸収 → 門脈から肝臓(初回通過効果)→ 第Ⅰ相反応(P450)→ 第Ⅱ相反応(抱合)→ 胆汁から便へ・腎臓から尿へ
流れでたどる シリーズ(シリーズの一覧へ)
- RAAS(血圧)
- 血液凝固
- 甲状腺ホルモン
- 尿ができるまで
- カルシウムの調節
- ビリルビンと黄疸
- 狂犬病ウイルスの旅
- 血糖の調節
- 副腎皮質の軸
- 性周期と排卵
- 分娩の始まり
- 刺激伝導系と心電図
- 酸素が細胞に届くまで
- 牛の第一胃の発酵
- I型アレルギー
- 痛みと鎮痛薬
- 発熱のしくみ
- ショックの悪循環
- 神経の興奮
- 筋肉が縮むしくみ
- 抗体ができるまで
- 傷が治るまで
- 骨折が治るまで
- 脂肪の消化と胆汁
- 血液型と輸血
- 薬が代謝されるまで
- 酸塩基の調節
- むくみのしくみ
- 嘔吐のしくみ
- 視覚が伝わるしくみ
薬は作用のしくみまでを扱い、用量は扱っていません。
執筆・編集:Vet Study Library 編集部 監修:獣医師(農林水産省 獣医師名簿第44733号登録)