流れでたどる|スクロールするたび、流れが一段ずつ動き出す。
押す力と引く力のつり合い
むくみ(浮腫)ができるしくみを流れでたどる
読み進めると、左の図が1段ずつ描き足されます。各段の終わりの問いの答えが、次の段です。図のブロックを押すと、その段へ移動します。
1
出発点:毛細血管で水が出入りする
毛細血管では、血漿の水が組織へ出たり、血管へ戻ったりしています。
水を外へ押し出す力は?
2
外へ押す力:静水圧
心臓が送り出す圧(静水圧)が、毛細血管の動脈側で水を組織へ押し出します。
水を引き戻す力は?
3
内へ引く力:膠質浸透圧
血漿のアルブミンがつくる膠質浸透圧が、静脈側で水を血管へ引き戻します。
なぜアルブミン?
血管の壁を通りにくく、血漿に最も多いタンパク質だからです。
戻りきらなかった水は?
4
リンパ管が残りを回収する
戻りきらなかった水とタンパク質は、リンパ管が回収して静脈に戻します。
リンパ管は予備の通り道?
いいえ。毎日かなりの量を回収している、欠かせない通り道です。
このつり合いが崩れると?
5
原因①:静水圧が上がる
心不全や静脈の圧迫で静脈側の圧が上がると、水が戻れずにたまります。
右心不全で腹水、左心不全で肺水腫になるのは?
圧が上がる場所の手前の毛細血管で、水があふれるからです。
引き戻す力が弱まると?
6
原因②:膠質浸透圧が下がる
低アルブミン血症(肝臓でつくれない、腎臓や腸から失う、栄養不良)で、水を引き戻せなくなります。
なぜ全身にむくみやすい?
引き戻す力が、全身で同じように弱まるからです。
血管の壁が傷むと?
7
原因③:血管の透過性が上がる
炎症やアレルギー、敗血症などで血管の壁のすき間が広がり、タンパク質ごと水が漏れます。
炎症のむくみが局所的なのは?
炎症が起きている場所の血管だけが、漏れやすくなるからです。
回収が止まると?
8
原因④:リンパの流れが止まる
腫瘍やリンパ節の切除、生まれつきの異常でリンパ管が詰まると、水が回収されずにたまります(リンパ浮腫)。
むくみを見分け、治療するには?
9
見分け方と治療
- 押すとへこみが残る(圧痕性浮腫)
- 原因を探す:心臓(静水圧)、血中アルブミン(膠質浸透圧)、炎症(透過性)、リンパ
- 利尿薬:たまった水を尿として出す(心不全など)
- アルブミン・コロイド:膠質浸透圧を補う
予測してみよう:肝硬変の犬で腹水がたまる、2つの理由は?
答えを見る
門脈の圧が上がる(静水圧↑)ことと、肝臓でアルブミンをつくれない(膠質浸透圧↓)ことです。
流れの全体:毛細血管で水が出入り → 静水圧が押し出す → 膠質浸透圧が引き戻す → リンパ管が回収/静水圧↑・膠質浸透圧↓・透過性↑・リンパの停滞でむくみになる
流れでたどる シリーズ(シリーズの一覧へ)
- RAAS(血圧)
- 血液凝固
- 甲状腺ホルモン
- 尿ができるまで
- カルシウムの調節
- ビリルビンと黄疸
- 狂犬病ウイルスの旅
- 血糖の調節
- 副腎皮質の軸
- 性周期と排卵
- 分娩の始まり
- 刺激伝導系と心電図
- 酸素が細胞に届くまで
- 牛の第一胃の発酵
- I型アレルギー
- 痛みと鎮痛薬
- 発熱のしくみ
- ショックの悪循環
- 神経の興奮
- 筋肉が縮むしくみ
- 抗体ができるまで
- 傷が治るまで
- 骨折が治るまで
- 脂肪の消化と胆汁
- 血液型と輸血
- 薬が代謝されるまで
- 酸塩基の調節
- むくみのしくみ
- 嘔吐のしくみ
- 視覚が伝わるしくみ
薬は作用のしくみまでを扱い、用量は扱っていません。
執筆・編集:Vet Study Library 編集部 監修:獣医師(農林水産省 獣医師名簿第44733号登録)