流れでたどる|スクロールするたび、流れが一段ずつ動き出す。
血が固まるまでと、溶けるまで
血液凝固を流れでたどる
読み進めると、左の図が1段ずつ描き足されます。各段の終わりの問いの答えが、次の段です。図のブロックを押すと、その段へ移動します。
1
血管が傷つく
血管が傷つくと、まずその部分の血管が縮み、出血を減らします。
穴そのものは、まず何がふさぐ?
2
一次止血:血小板が集まる
血小板が、傷口に出たコラーゲンにvWFを介してくっつき、集まって血小板血栓をつくります。
これで止血は終わり?
血小板の塊はもろく、血流で崩れやすいからです。固めるための網が要ります。
網の材料をつくる反応は、何をきっかけに始まる?
3
外因系の開始
血管の外にある組織因子が血液にふれ、第Ⅶ因子と組んで、少量のトロンビンをつくります。
なぜ組織因子が合図?
ふだんは血管の外にしかないので、「血管が破れた」確かな印になるからです。
少量のトロンビンで足りる?
4
増幅
少量のトロンビンが、血小板と第Ⅴ・Ⅷ・Ⅺ因子を活性化し、次の反応の準備を一気に整えます。
なぜ増幅する?
はじめの合図は小さいので、雪だるま式に大きくする必要があるからです。
準備の整った血小板の上で、何が起きる?
5
トロンビンの大量生産
血小板の表面で、Ⅸa+Ⅷaが第Ⅹ因子を大量に活性化し、Ⅹa+Ⅴaがプロトロンビンを大量のトロンビンに変えます。トロンビンは増幅の段に戻り、さらに反応を加速させます。
なぜ血小板の表面で?
因子どうしが表面に集まり、傷の場所だけで速く反応が進むからです。
大量のトロンビンは、何をつくる?
6
フィブリンで固める
トロンビンがフィブリノゲンをフィブリンに変え、第ⅩⅢ因子が網を固く結びます。網が血小板の塊を包み、止血が完成します(二次止血)。
なぜ網で包む?
流れに負けない、丈夫な栓になるからです。
このまま全身で固まり続けたら?
7
ブレーキ
アンチトロンビンやプロテインCが、トロンビンや活性化した因子を止め、傷の場所以外で固まらないようにします。
なぜブレーキが要る?
全身で固まると、因子を使い果たして、逆に出血しやすくなるからです(DIC)。
傷が治ったあとの血栓は?
8
線溶:血栓を溶かす
傷が治ると、プラスミンがフィブリンを分解し、血の流れを戻します。分解でできるDダイマーは、血栓が溶けたしるしです。
なぜ溶かす?
栓を残したままでは、血管がふさがったままになるからです。
この流れのどこを、検査で見る?
9
検査と薬
- PT:外因系(Ⅶ)と共通経路を見る
- APTT:内因系(Ⅸ・Ⅷなど)と共通経路を見る
- ビタミンK:Ⅱ・Ⅶ・Ⅸ・Ⅹの合成に必要
- ヘパリン:アンチトロンビンのブレーキを強める
予測してみよう:殺鼠剤(クマリン系)を食べた犬で、先に延びるのはPT? APTT?
答えを見る
PTです。ビタミンKが働けなくなると、半減期のいちばん短い第Ⅶ因子から減るからです。
流れの全体:血管が傷つく → 血小板が集まる(一次止血)/組織因子+Ⅶa → トロンビン少量 → 増幅 → Ⅸa+Ⅷa・Ⅹa+Ⅴa → トロンビン大量 → フィブリン → 止血の完成(二次止血)→ ブレーキ → 線溶
流れでたどる シリーズ(シリーズの一覧へ)
- RAAS(血圧)
- 血液凝固
- 甲状腺ホルモン
- 尿ができるまで
- カルシウムの調節
- ビリルビンと黄疸
- 狂犬病ウイルスの旅
- 血糖の調節
- 副腎皮質の軸
- 性周期と排卵
- 分娩の始まり
- 刺激伝導系と心電図
- 酸素が細胞に届くまで
- 牛の第一胃の発酵
- I型アレルギー
- 痛みと鎮痛薬
- 発熱のしくみ
- ショックの悪循環
- 神経の興奮
- 筋肉が縮むしくみ
- 抗体ができるまで
- 傷が治るまで
- 骨折が治るまで
- 脂肪の消化と胆汁
- 血液型と輸血
- 薬が代謝されるまで
- 酸塩基の調節
- むくみのしくみ
- 嘔吐のしくみ
- 視覚が伝わるしくみ
薬は作用のしくみまでを扱い、用量は扱っていません。
執筆・編集:Vet Study Library 編集部 監修:獣医師(農林水産省 獣医師名簿第44733号登録)